« June 2006 | Main | August 2006 »

July 31, 2006

今週の羅針盤《91》

もしだれかが「できない」と言ったら
それはあなたに何をなすべきかを言っているのだ
 ~ジョン・ケージ~

「それはできません。」と言われたら、

「どうしてできないの?」と問いたくなるのだが、

「できる」ようにすることを考えるというのは、

なかなかですよね。

私にジョンの真似ができるかな。ガンジーも同じこと言ってるよ。

あなたが他の人々に求める変化を
自ら実践しなさい。
~マハトマ・ガンジー~

(弁理士 菊間 @ 特許事務所)

|

July 29, 2006

審査指南(=中華人民共和国専利法審査基準) 第二部分 第四章 創造性(抄訳)

3. 発明創造性の審査
 特許出願発明が創造性を有するか否かは、新規性の要件を具備する発明である場合に検討する。

3.1 審査原則
 専利法第22条第3項の規定に基づき、発明が創造性を具備するか否か審査し、発明が突出した実質的特徴を有するか否かを審査すべきであり、同時に発明が顕著な進歩を有するかどうかを審査すべきである。
 
 発明創造性が有るか無いかを評価するとき、審査官は発明の技術規則自身を考慮するだけでなく、発明の所属する技術領域、解決すべき技術的問題及び生み出される技術的効果、発明による貢献を全体として扱い、考慮すべきである。

 新規性での「単独対比」の審査原則とは異なり、創造性の審査時には、1件又は複数件の技術中の異なる技術的内容を組み合わせ一緒にして、保護を求める発明と対比し評価を行う。
 
 もし、一項独立請求項が創造性を具備していれば、その独立請求項に従属する請求項は創造性の審査をしない

3.2 審査基準

3.2.1 突出した実質的特徴の判断
3.2.1.1 判断方法
(1)最も近い現有技術の確定
(2)発明を識別する特徴と発明が実際に解決する技術的問題の確定
(3)保護を求める発明が本領域の技術者から聞いた簡単な意見に対する判断
3.2.1.2 判断事例

3.2.2 顕著な進歩性の判断

4.幾種の特徴的な類型発明の創造性判断
4.1 開拓性発明
 全てが新しい発明は、現有技術に比し、突出した実質的特徴と顕著な進歩があり、創造性を具備する。

4.2 組合せ発明
 (1)明らかに分かる組合せ
 組み合わせられる各要素の効果が、そのまま組み合わされて、効果の総和として発現するだけの発明等は、創造性がない。
 (2)明らかには分からない組合せ
 効果の総和を越える効果が発現する発明は、突出した実質的特徴と顕著な進歩があり、創造性を具備する。

4.3 選択発明
 現有技術中の公開された広範囲中に、ある目的をもって要素を選択し、未提案の狭い範囲にした発明
 (1)既知の可能性の中から選択又は相同可能性の技術方案から選択したものである場合、予想できない技術的効果をもたらさない場合は創造性を具備しない。
 (2)可能な有限な範囲内から具体的サイズ、温度範囲又はその他パラメータを選択し、これら選択が本技術領域の技術者が通常採る手段によって行き着き且つ予想できない技術的効果をもたらさない場合は創造性を具備しない。
 (3)現有技術中から直接論証して(結論を導き出し)選択できる発明は、創造性を具備しない。
 (4)選択によって、予想できない技術的効果をもたらす場合、突出した実質的特徴と顕著な進歩があり、創造性を具備する。

4.4 転用発明
 ある技術分野の技術を他の技術分野に転用した発明
 (1)類似技術分野又は相近技術分野の間で転用が行われた場合で、且つ予想できない技術的効果をもたらさない場合は創造性を具備しない。
 (2)予想できない技術的効果をもたらした場合又は該技術分野で到底解決できなかった課題を克服した場合には創造性を具備する。

4.5 既知物質の新用途発明
 (1)既知物質の既知の性質を利用した用途発明は創造性を具備しない。
 (2)既知物質の新規性質を利用し、且つ予想できない技術的効果をもたらす場合、この種の用途発明は突出した実質的特徴と顕著な進歩があり、創造性を具備する。

4.6 要素変更の発明
4.6.1 要素関係改変の発明
 現有発明の形状、サイズ、比例、位置、作用関係などを変えた発明
 (1)要素関係の改変によって効果に変化が無い又は、その効果の変化が予想できるものであるとき、発明は創造性を具備しない。
 (2)要素関係の改変で予想できない技術的効果をもたらす発明に至った場合は発明は突出した実質的特徴と顕著な進歩があり、創造性を具備する。

4.6.2 要素代替の発明
 既知物質又は方法の一部要素を、他の既知要素に代替した発明
 (1)ある効果を持つ又はある技術的問題を解決するための既知手段を代替した結果、やはり同じ効果または問題解決がなされ、予測できない技術的効果がもたらさなければ発明は創造性を具備しない。
 (2)予想できない技術的効果をもたらす発明に至った場合は発明は突出した実質的特徴と顕著な進歩があり、創造性を具備する。

4.6.3 要素省略の発明
 既知物質又は方法中の一要素又は複数要素を省いた発明
 (1)一要素を省くことによって効果がなくなった場合は創造性を具備しない。
 (2)一要素を省いても、元の効果全部を依然保持し、又は予測できない技術的効果をもたらす場合は、発明は突出した実質的特徴と顕著な進歩があり、創造性を具備する。

5. 発明創造性判断時のその他因子の判断
5.1 人々に渇望されていたが永く解決できていなかった技術的難題を解決した
5.2 発明が技術偏見を克服した
5.3 発明が予想できない技術的効果を取得した
 質的効果の変化と、量的効果の変化とがある。
5.4 発明が商業上の成功をおさめた
 発明自身によって商業的成功をおさめていることが示されれば創造性がある。しかし、他の要因で商業的成功をおさめている場合は創造性判断の根拠にできない。

6.創造性審査時に注意しなければならない問題
6.1 発明完成までの過程
6.2 「事後諸葛亮(事が終わってから偉そうなことを言う)」は避けなければならない。
6.3 予想できない技術的効果に体する考慮
6.4 保護を求める発明に対する審査の進行

以上。

(弁理士 菊間 @ 特許事務所)

|

July 28, 2006

Louisville Bedding Co. v. Pillowtex Corp. 05-1595 CAFC [Jul. 25, 2006]

時機を逸した主張

LOURIE, SCHALL, and PROST(判決:LOURIE)

(背景)マットレスパッドに関するUSP5,249,322の特許権者Louisville(L社)はマットレスパッドを含むホーム家具を製造販売している。L社は1994年にPillowtex(P社)を322特許の侵害で提訴した。P社はマットレスパッドの製造販売をしている。1997年10月地裁はP社非侵害の略式判決を出した。1998年3月P社はL社所有の複数の特許権のライセンスを受けるために実施料を払い、販売するマットレスにL社のライセンスを受けている旨を表記するという和解契約によって終了し、地裁はP社マットレスパッドは非侵害の最終判決をした。1998年の和解契約後の2000年と2003年にP社は不渡りを出し倒産、マットレスパッド事業を撤退し、解散した。P社はXymid(DuPontの分社;X社)からマットレスパッド材料を独占供給される契約をしていた。P社解散によりX社は独占供給契約に縛られなくなり、他の販売会社(Perfect Fit Industries, Inc.(Pe社)など)にマットレスパッド材料を供給し始めた。
 L社は1998年にPe社を322特許の侵害で提訴した。Pe社はマットレスパッドの製造販売をしている。Pe社はP社の地裁判決を引用し、禁反言(collateral estoppel)が働くと申し立てた。Pe社が販売するマットレスパッドにL社特許権のライセンス表記をすること、将来起きるかもしれない両者間の322特許の争いはADRにより解決する旨の和解契約を結んだ。2003年Pe社はX社からの材料の供給を受け始めた。L社とPe社とは仲裁人によるADRを開始した。仲裁人は先の訴訟のクレーム解釈には拘束されないとして、侵害の決定をした。地裁はADRの結果を判決に取り入れた。
 L社はP社との訴訟における判決がADRと抵触していることに気付き、2005年P社との訴訟を再開することを地裁に求めた。地裁はL社の申立は時機を過ぎているとして棄却した。

(CAFC)1998年と現在として業務状況が大きく変化している。1998年当時のP社との間には争点があったが、現在P社との間に争点がない。最高裁は“[p]ublic policy dictates that there be an end of litigation; that those who have contested an issue shall be bound by the result of the contest, and that matters once tried shall be considered forever settled as between the parties.”のように述べている。地裁判決を支持する。

(弁理士 菊間 @ 特許事務所)

|

July 24, 2006

今週の羅針盤《90》

宮中には平安時代同様の生活をしている女性がいるそうです。
堀江宏樹著の「後宮の世界」で知りました。

彼女たちは「内掌典」という官職の方々です。

後宮は大正時代まで住み込み制でしたが、
昭和天皇の後宮改革によって、ほとんどの女官が通勤制になりました。
ところが内掌典だけは、宮中三殿の賢所の北側、内掌典候所という部屋に寝泊りしてます。

内掌典は、三種の神器(剣、鏡、璽)と、皇祖皇宗以来の神様にお仕えするのが主業務です。
毎日のお祈り、年30回ほどある皇室行事には無くてはならない人たちです。
内掌典は、いわゆる巫女なのですが、一般神社の巫女とは異なり、
清と次(穢れ)との厳別した生活をされており、
次である臍から下の部分(下半身)を触った手は、
一旦清水で清めてからでないと
清である上半身を触らないんだそうです。

57年間、内掌典としてお仕えされた、
高谷朝子氏の著書「宮中賢所物語」で
知られざる世界を、もっと知ろうと思います。

勉強することとは
自分の無知を徐々に発見していくことである
~ウィル・デュラント~

(弁理士 菊間 @ 特許事務所)

|

July 22, 2006

Regents of the University of California v. University of Iowa Research Foundation 05-1374 CAFC [Jul. 17, 2006]

抵触審査(Interference)

RADER, BRYSON, and LINN(判決:RADER)

(経過)2001年3月27日にI大学の6207646特許が発行された。646特許発行時にC大学の出願09/265191は特許庁に系属中であった。646特許発行から7ヶ月目の2001年10月31日にC大学がクレーム202~204を追加する補正をし、646特許との抵触審査を請求した。特許庁はクレーム202~204の請求を拒絶した。C大学は審査官との面談等を継続し、646特許発行から1年以上経過した2002年5月9日にクレーム205を追加し、202~204を削除した。特許庁はC大学のクレーム205とI大学の646特許との間での抵触審査を行うことを決定(declare)した。
 ところが、クレーム205は発行から1年以上経過後のクレームであるから、135条(b)(1)の規定によりC大学特許出願は特許性がないとのモーションをI大学が提出した。
 特許庁審判部はC大学にクレーム205が発行から1年以内に提出されていたクレームとリンクするものでなければ抵触審査は受けられないと説示し、クレーム205とクレーム202~204とを対比した。が、クレーム205は基本的にクレーム202~204と違うものであり、クレーム205は1年以内に提出されていたものとすることができないとして、特許庁審判部は抵触審査を拒絶した。C大学は控訴した。
(CAFC)特許庁審判部の決定を支持した。
なお、35USC135(b)(1)は次のとおりである。

A claim which is the same as, or for the same or substantially the same subject matter as, a claim of an issued patent may not be made in any application unless such a claim is made prior to one year from the date on which the patent was granted.

(弁理士 菊間 @ 特許事務所)

|

July 21, 2006

Intel Corp. v. Commonwealth Scientific and Industrial Organisation (CSIRO) 06-1032; Microsoft Corp. v. CSIRO 06-1040 CAFC [Jul. 14, 2006]

外国政府機関の裁判管轄権

MICHEL, PLAGER, and BRYSON(判決:MICHE)

(背景)
〔Intelケース〕オーストラリアの政府機関であるCSIROはワイヤレスローカルエリアネットワークに関するUSP5487069の譲受人である。CSIROは米国企業数社(Intel,Dell,Microsoft,HP,Netgear)にこの特許権のライセンスを試みた。先ず2004年1月にDellにライセンスを打診した。しかし、Dellは供給メーカー(Intel)から部品を購入して販売しているだけなので、Intelに打診するようにCSIROに回答したが、CSIROはIntelに直接打診しなかった。2004年6月、CSIROの代理人はDellにライセンスの条件を伝えた。その条件には、90日以内に締結すれば実施料は50%割引きにし、120日以内であれば37.5%割引き、180日以内であれば12.5%割引き、それ以降は割引き無しということが記載されていた。さらに、CSIROは187日目以降に申込は失効し、訴訟を考えていると説明した。このときまでにDellはIntelがCSIRO特許侵害について補償することを要求した。Intellはそれに同意した(IntelはHPに補償することも同意していた。)。
 2004年9月28日、CSIROは187日間の期限付きライセンスの申込みを正式に行った。2004年12月20日、CSIROは30日間の期限延長に同意した。2004年5月8日にライセンス申込みが失効した。2005年5月9日にIntelとDellは069特許の非侵害及び該特許無効を求め確認訴訟を起こした。
 CSIROは①ライセンスはまだ交渉中であり、当時者間に争いはなく確認裁判を訴える利益がないから訴えは却下されるべきであると、②FSIA(Foreign Sovereign Immunities Act.)の規定によって外国政府は米国裁判から免除されるとのモーションを起こした。
 地裁はライセンス交渉は終わっており、当事者間に争いがあるとして①のモーションを却下した。②に関して、CSIROはDellとの間で商活動(commercial activity)を行っているとして、Dellに関しての②は却下した。CSIROは直接的にIntelと商活動(commercial activity)を行っていない。ライセンス交渉を行っているのはDellであるとして、Intelに関しては②を認めた。CSIROは控訴した。
〔Microsoftケース〕2003年4月11日CSIROはHPとのライセンス交渉を開始した。HPに対しても187日期限付きのライセンス申込を行った。CSIROの代理人はHPの社内弁護士に契約締結しなければ訴えると脅した。しかしHPは拒否、期限が過ぎ申込みは失効した。
 2003年4月14日CSIROはNetgearとのライセンス交渉を開始した。Netgearは対案を提出したが合意に至らず、2005年2月に期限が過ぎた。
 2003年9月29日CSIROはMicrosoftとのライセンス交渉を開始した。しかし、2005年3月交渉期限が過ぎた。
 2005年5月9日、Microsoft、HP及びNetgearは、069特許の非侵害、特許無効、権利濫用、、禁反言及びラチェスを求めた確認訴訟を起こした。CSIROは①Intelケース同様に確認裁判を訴える利益がないこと、②FSIAの規定により裁判から免除されるとのモーションをしたが、Intelケース同様に却下された。CSIROは控訴した。
(CAFC)FSIA(28USC1605(a)(2)の規定は、次のとおりである。

[a] foreign state shall not be immune from the jurisdiction of courts of the United States or of the States in any case . . . in which the action is based upon a commercial activity carried on in the United States by the foreign state; or upon an act performed in the United States in connection with a commercial activity of the foreign state elsewhere; or upon an act outside the territory of the United States in connection with a commercial activity of the foreign state elsewhere and that act causes a direct effect in the United States.

 争点は、CSIROのライセンス交渉が商活動(commercial Activity)に該当するか否かである。
 最高裁判例によれば、裁判から免除されないという例外は、(a)外国政府機関が主権者固有の力を実施したのではなく、むしろ、(b)非公式な市民によって行われるような力だけを実施した場合に適用されると判示している。CSIROの(1)米国特許権を取得する行為、(2)特許権を行使して利益を得る行為は、前記の(b)に該当する。また特許権者がライセンス交渉をしようする行為は商活動であるとの判例(Phillips Plastics Corp. v. Hatsujou Kabushiki Kaisha, 57 F.3d 1051, 1054 (Fed Cir. 1995).)がある。取引(transaction)は完結していない取引も含む。未締結のライセンス交渉であっても商活動になる。∴地裁の判断を支持した。

(弁理士 菊間 @ 特許事務所)

|

July 17, 2006

今週の羅針盤《89》

インドから仏教とともに日本に伝来した、梵鐘。
撞木で撞き鳴らし、重く余韻のある響きがでる。

この響きには、黄鐘(おうしき)調と、盤捗(ばんしき)調とがあるらしい。
黄鐘調は437Hz:ちょっと高めの音調である。カ~ン~ァ~という感じの音。祇園精舎の鐘はこちらの音調らしい。
盤捗調は123Hz:低く、長く余韻を引く音調である。ゴ~ン~ウオン~ゥォ~~って感じの音。

科学的に分析してしまうと、単なる、空気の振動にすぎないのだが、
鐘の音は、人々に、無常、怨親平等、非戦などの願いを伝え、
心を振動させる。 そんな気がする。

鐘は撞きすぎると凹んでしまうらしい。
凹みすぎると別の場所を撞く、
終いには、45度間隔に凹みが並ぶということにもなるらしい。

さて、今週の羅針盤ですが、

気を抜かず 手も抜かず
力だけを上手に抜く
    ~ねじめ正一~

我武者羅に無我夢中でやってると、無駄な力が掛かっているのかも、

もう一息で夏休みです。

(弁理士 菊間 @ 特許事務所)

|

July 15, 2006

Flex-Rest, LLC v. Steelcase, Inc. 05-1354, -1367 CAFC [Jul. 13, 2006]

102(g)の隠す(suppressed)又は秘する(concealed)

BRYSON, LINN, and PROST(判決:LINN)

(背景)コンピューターのキーボードの位置決め装置に関する特許権5,709,489、5,961,231の所有者Flex(F社)が、Steelcase(S社)を権利侵害として提訴した。Flex
 1990年11月半ばにS社はKBS装置を実施(reduction to practice)し、その後1991年6月の通商展示会で開示するまでの間、該発明者が発明を隠した(suppressed)か又は秘密にした(concealed)かということが争点となった。なおKBS装置に関する発明は1991年5月31日に米国出願されている。
(地裁)231特許は非侵害、489特許は先になされたS社のKBS装置によって102(g)に基づき無効との判決及び評決をした。
(CAFC)B社は発明実施から展示又は出願に向けた努力をしており、その期間は6ヶ月半である。この期間、すなわちKBS装置が秘密にされていた期間は、reasonable delayであり、102(g)の意図的に隠した又は秘密にしたことに相当しない。Dow Chemical, 267 F.3d at 1339や、Id. at 1342や、Fujikawa, 93 F.3d at 1567.やによれば、102(g)の意図的に隠した又は秘密にしたと結論するには発明を開示するための期間がunreasonable delayであったことを十分に立証できるものでなければならない。発明を商業化するために発明の開示が遅れることはreasonable delayである。Dow Chemicalでは2年半開示が遅れたがそのことがそのまま102(g)の意図的に隠した又は秘密にしたと結論していない。要は開示に向けた適切な努力(rasonabel effort)をしていたかである。4年の遅れでもreasonable delayとした判例もある。

(弁理士 菊間 @ 特許事務所)

|

July 14, 2006

LG Electronics, Inc. v. Bizcom Electronics, Inc. 05-1261 to 1264, 05-1302 to 1304 CAFC [Jul. 7, 2006]

ライセンス契約と消尽

MICHEL, NEWMAN, and MAYER(判決:MAYER)

(背景)Bizcom Electronics他数社(B社)はインテル社(I社)から購入したマイクロプロセッサー及びチップセットを販売した。I社は、LG Electronics(L社)との契約で、これら製品を被告に販売する許可を得ている。この契約に従って、I社は、この契約によって製品販売がライセンスされたが、I社製品以外の製品と組み合わせることは許されていないことをB社に通知した。
L社は、他コンピュータにマイクロプロセッサー及びチップセットとを組み合わせたことは、USP4,918,645、5,077,733、4,939,641、5,379,379及び5,892,509の侵害であるとしてB社を提訴した。
(地裁)クレーム解釈後、地裁は非侵害の略式判決をした。'509特許権はB社に対して黙示ライセンス(Implied License)していないが、L社の'509特許権は消尽(exhaust)しているとした。他の特許権は非侵害であるとした。L社は控訴した。
(CAFC)I社がB社にL社からライセンスされた製品を販売できるとしても、他コンピュータに購入した製品を組み合わせることまでB社に黙示ライセンスしたとは言えない。L社特許権は製品に関するものではなく、製品とコンピュータとの組み合わせに関するものである。地裁は509特許は消尽したとしたが、方法クレームに消尽論は適用されない。消尽は、条件の付いていない販売(unconditional sale)によって、発生する。条件付販売や条件付ライセンスにおいて消尽は適用されない。
 L社とI社の契約において、I社が製品を販売することは自由となったが、製品販売は条件付きである。すなわち、I社顧客はL社の組み合わせに関る特許を侵害してはいけないという条件である。∴509特許は消尽していない。
 CAFCはマイクロソフト社のライセンスを受けているのかどうかについての事実関係が明確になっていないとして、地裁での審理の必要性があると結論した。

(弁理士 菊間 @ 特許事務所)

|

中国特許 ~「以上」「以下」の意

外国出願で気になることは、各国の法制度ですが、

実務的に最も注意しなければならないのは、翻訳です。

曲がりなりにも、中学、高校、大学と10年間英語を学んできたと言う方は多いと思います。
でもそれ以外の外国語となると、、、、お寒い限りです。

漢字は中国から輸入された文字で、日本では日常的に使われてますが、
輸出元の中国と、輸入先の日本とでは、意味や使い方が違うことが多々あります。

例えば、日本語の「待つ」は 中国語で「等」と表記します。

日本語の「以上」「以下」は境界値を含むと、中学の数学で習ったかもしれませんが、
中国語の「以上」「以下」は境界値を含むとは限りません。前後の文章から判断するようです。

数値限定の出願をされるときは、
例えば、「5以上」を、英語で表現するときのように "5 or more"とするか、
「5以上(5を含む)」と注釈しておくか
本明細書では「以上」「以下」はその境界値を含むと、注書きしておくことがお勧めです。

「~」も境界値を含むか、含まないか曖昧ですので、これも留意しておいた方がよいでしょうね。

(弁理士 菊間 @ 特許事務所)

|

July 10, 2006

今週の羅針盤《88》

マザーグースの歌の中に史実を反映したものもあるようです。

There was a crooked man
Who walked a crooked mile.
He found a crooked sixpence
Against a crooked stile.
He bought a crooked cat
Which caught a crooked mouse,
And they all lived together
In a crooked little house.

この歌はスコットランドのSir Alexander Leslie 将軍(crooked man)とチャールス1世(crooked sixpence)とがイングランドとスコトランドの境界(crooked stile)で和解したということを歌ったものらしい。

となると、マザーグースの十人のインディアンは、

One little, two little, three little Indians
Four little, five little, six little Indians
Seven little, eight little, nine little Indians
Ten little Indian boys.

Ten little, nine little, eight little Indians
Seven little, six little, five little Indians
Four little, three little, two little Indians
One little Indian boy.

米国の西部開拓時、白人の前に立ちはだかるインディアンが現われ、
それを次々に白人がやっつけたことを歌ったものなんだろうか?

さて、今週の羅針盤:

奥行きが深いものに関しては
体系的に学習してみないとほんとのところはわからない
- 田崎 真也 -

(弁理士 菊間 @ 特許事務所)

|

July 09, 2006

Agfa Corp. v. Creo Products Inc. 05-1079 CAFC [Jun. 26, 2006]

不公正行為(Inequitable Conduct)

NEWMAN, LOURIE, and RADER(判決:RADER;反対意見:NEWMAN)

(背景)Agfa(A社)は、CTPシステム(コンピュータのイメージを印刷版に直接に移すシステム)に関する特許(USP5655452,5738014,5788455,5791250,5992324,6000337)を侵害しているとして、Creo(C社)を訴えた。CTPシステムはコンピュータ12、画像処理装置14、及び印刷版セット装置16からなる。C社はA社特許は不公正行為(重要な公知技術を開示しなかった行為)によって権利行使不能であるとして反訴した。
Agfa_2 (地裁)不公正行為の争点について裁判官による公判(Bench Trial)を開き、A社特許は権利行使不能との宣言した。さらに地裁はA社の不公正行為は例外的事件であり、弁護士費用の支払を要するものであると結論した。
(CAFC)地裁裁判官は、特許の無効及び侵害に関する陪審員による公判の前に、米国特許商標庁での不公正行為の争点を別個に決定する自由裁量がある。

(弁理士 菊間 @ 特許事務所)

|

July 08, 2006

審査指南(=中華人民共和国専利法審査基準) 第二部分 実質審査、第一章 不特許事由(抄訳)

第二部分 実質審査、第一章 不特許事由(抄訳)

3.1 
 以下は特許保護の対象外
 法令に反する発明: 例、賭博用設備、機器若しくは工具; 吸毒の器具; 偽造設備(貨幣、公文書、印章など)
 法令に反しないが、濫用されることによって法令に反する発明: 但し、次のようなものは除く、例 医療用の各種毒薬、麻酔品、鎮静剤、興奮剤;娯楽用の駒、石、牌、カード
 国が禁止又は制限している発明: 但し次は除く、例 国防用の各種武器の生産、販売、使用が法令で制限されていたとしも、これら武器自身及びその製法は依然特許保護の客体となる;

3.2
 以下は特許保護の対象外
 社会の公徳に反する発明: 例 暴力・虐殺又は淫猥な図又は写真、医療目的外の人造性器官又はそれに代わる物、動物の人工交配方法、人間生殖系遺伝同一性の改変方法又は改変された人間、クローン(克隆)人間或いは人間のクローン方法、人胚胎の工業又は商業目的での応用、動物に痛苦を引き起こすが実質的に益の無い人又は動物の医療の動物遺伝同一性を改変する方法等

3.3
 以下は特許保護の対象外
 公共の利益に反する発明:

4.1
 以下は特許保護の対象外
 科学の発現(=自然現象) 自然界に客観的に存在する物質、減少、変化過程及びその特性と法則。

4.2
 以下は特許保護の対象外
 智力、頭脳の働きによる法則及び方法(=人為的取極及び方法)

4.3
 以下は特許保護の対象外
 疾病の診断及び治療方法
 生きている人又は動物に対するもの
 診断又は治療に用いる医療装置は特許保護対象となる。

4.3.1 診断方法
4.3.1.1 診断方法の発明になるもの
 (1)生きている人又は動物を対象とするもの
 (2)疾病診断結果又は健康状況を得ることを直接目的とするもの
 例:血圧測定法、脈を診る方法、足診法、X線診断法、超音波診断法、胃腸造影診断法、内視鏡診断法、同位元素撮像診断法(NMR法?)、赤外線診断法、・・・・など

4.3.1.2 診断方法の発明にならないもの
 (1)既に死亡した人又は動物への病理解剖方法
 (2)診断結果又は健康状況を得ることを直接の目的にせず、ただ単に生きている人又は動物の (3)診断結果又は健康状況を得ることを直接の目的にせず、ただ単に人体又は動物から採取した組織、体液又は排泄物の処理若しくはそれらを検査して中間結果的情報を得る方法、又はその情報を処理する方法

4.3.2 治療方法
4.3.2.1 治療方法の発明になるもの
 (1)外科手術治療方法、薬物治療方法、心理療法
 (2)治療目的の針灸、麻酔、指圧、按摩、銅貨に油や水を付けて胸や背中を擦る治療法、気功、催眠、薬浴、空気浴、日光浴、森林浴及び看護方法
 (3)治療目的で、電気、磁気、音、光、熱などの種類の輻射を利用して人体又は動物に刺激或いは照射する方法
 (4)治療目的で、塗被、冷凍、透熱等の方式を採用した治療方法
 (5)疾病予防のための各種免疫方法
 (6)外科手術治療方法及び/又は薬物治療方法を行うために、採用される補助方法、例えば、同一主体の細胞、組織、若しくは器官を戻す処理方法、血液透析方法、麻酔深度の調整法、薬物の内服方法、薬物注射方法、薬物外用方法など
 (7)治療目的での、妊娠、避妊、精子数増加、体外受精、胚胎転移などの方法
 (8)治療目的での、整形、肢体の引張、減量、背丈を伸ばすなどの方法
 (9)人体又は動物体の傷口を処置する方法、例傷口消毒方法、包帯方法
 (10)治療の目的でのその他方法、例人工呼吸方法、酸素吸入方法

4.3.2.2 治療方法の発明にならないもの
 (1)義肢若しくは義体の製造方法、例、入れ歯の製造法、最終目的が治療でも、具合の良い義歯を製造することが目的であれば、治療方法の発明にならない。
 (2)非外科的手術の方式を経る動物体の処置で生長特性を改変する牧畜業生産方法、例、電磁刺激を羊に加えて生長を促進、羊肉の質量を増やし又は羊毛を生産量を増やす方法
 (3)家畜の屠殺方法
 (4)既に死亡している人体又は動物体に対し、採取処置する方法。例、解剖法、遺体の姿を整える方法、死体の防腐法、標本製作の方法
 (5)単純な美容方法、すなわち、人体に不介入又は傷を付けないで美容する方法、皮膚、毛髪、指、歯などの人に見られる外観部位の美容方法、治療目的でない、からだの消臭、保護、装飾又は修飾方法
 (6)病的状態でない人又は動物に使って、心地良い、愉快な感覚をさせるための方法又は例えば潜水、防毒等の特殊状況下での酸素、酸素陰イオン、水分の輸送方法。
 (7)人体又は動物体外部(皮膚若しくは毛髪上、但し、傷口及び感染部位は除く)の細菌、病毒、虱、蚤の殺滅方法、

4.3.2.3 外科手術方法
 機器を使用した、生きている人体又は動物体の解剖、切除、縫合などの創傷性又は介入性の治療又は処置方法

4.4
 以下は特許保護の対象外
 動物及び植物の品種

4.5
  以下は特許保護の対象外
 原子核変換方法及びその方法を用いて得られる物質
4.5.1 原子核変換方法
4.5.2 原子核変換方法を用いて得られる物質

(弁理士 菊間 @ 特許事務所)

|

Abbott Laboratories v. Andrx Pharmaceuticals, Inc. 05-1433 CAFC [Jun. 22, 2006]

仮差止め

NEWMAN, GAJARSA, and PROST(判決:PROST;反対意見:NEWMAN)

 クラリスロマイシン(Clarithromycin)はエリスロマイシンAから誘導される抗生物質である。大正製薬が1982年に米国特許4331803を取得し、1991年Abbott(A社)はそれのライセンシーとなり、速放散性のBioxinを導入した。この803特許は2005年5月23日に存続期間を満了する。2005年5月24日ジェネリック薬品メーカーの参入が可能になる。

 A社は徐放散性のクラリスロマイシン薬剤を開発し、特許出願し、USP6010718として特許された。この徐放散性薬は、エリスロマイシン誘導体を薬学的適合性のあるポリマーと結合させたものである。718特許出願を基礎にCIP出願を行い、胃腸への副作用を低減する方法で、USP6551616として特許された。A社は2000年にBioxin XLを販売開始した。

 Teva(T社)は2002年12月にBioxinXLに類似の新薬を申請した。2005年3月14日A社はT社を718及び616特許の侵害で提訴し、2005年5月18日に仮差止めを申し立てた。地裁は2005年5月26日及び6月1日に口頭弁論を開き、6月3日に仮差止めの四因子((1) the movant has some likelihood of success on the merits of the underlying litigation; (2) immediate irreparable harm will result if the relief is not granted; (3) the balance of hardships to the parties weighs in the movant’s favor; and (4) the public interest is best served by granting the injunctive relief)を示し、仮差止めを認めた。
(CAFC)A社特許は103条の自明性に関する争点があり、第一因子である、A社が勝つ見込みがあるという点を満たしていない。回復不能の損害が発生するとも言えない(第二因子)。よって、仮差止めを取り消す。

(弁理士 菊間 @ 特許事務所)

|

Honeywell International, Inc. v. ITT Industries, Inc. 05-1407 CAFC [Jun. 22, 2006]

限定要求(restriction requirement)とクレーム解釈

MAYER, LOURIE, and DYK(判決:LOURIE)

(背景)静電気除去燃料システム部品に関する特許USP5164879の権利侵害をHoneywell(H社)がITT(I社)に対して訴えた。I社の被疑侵害品"Quick connects"は、燃料ラインから燃料フィルターのような燃料噴射システムの様々な部品を接続するためのナット状構造物である。

(地裁)879特許は一見すると広い概念Fuel injection system componentを主題としている。しかし、Fuel injection system componentは明細書の記述、審査経過を参酌すると燃料フィルターに限定されると地裁は解した。I社製品は燃料フィルターではないから、非侵害の判決をした。

(CAFC)地裁の判断を支持。特許庁審査官が燃料フィルターと燃料システム部品とに限定要求した点をH社は主張するが、審査官はクレーム中の用語解釈を行っていない。単に審査便宜ののために審査対象とすべき発明を選択させたに過ぎない。

(弁理士 菊間 @ 特許事務所)

|

Gemmy Industries Corp. v. Chrisha Creations Limited 05-1110 CAFC [Jun. 22, 2006]

On Sale Bar

NEWMAN, MAYER, and SCHALL(判決:NEWMAN)

(背景)Gemmy(G社)とChrisha(C社)とは祝祭日等で用いられる装飾の事業において競業している。G社は空気で膨らまして使う装飾的な祝祭日用人形(図参照)の特許権(USP6644843)を侵害されたとしてC社を訴えた。
Gemmy この特許発明には次のような経緯がある。
 2000年 8月 G社は、中国での設計および製造設備によって、空気で膨らまして用いる装飾用人形の開発を始めた。
 2000年10月 ハロウィーンおよびクリスマス用人形のプロトタイプを顧客の反応を見るために香港で展示した。このプロトタイプはヘアドライヤーと長い管で繋いで空気を入れるようになっていた。特許のクレームはファンを備えていてそれで膨らますことが要件となっている。その展示で約30の小売業者がプロトタイプを見た。見積書には価格、寸法、重量などが書かれていた。香港展示会では販売注文はなかった。
 2001年 1月 G社社長Dan Flaherty(F氏)が香港を訪問した。そのときにヘアドライヤーと繋ぐ方式が箱型ファンが備わった方式に置き換えられていることに気付いた。
 2001年5月に商業的な発送が初めてあったと地裁が判断した。
 2001年   C社は中国上海の玩具メーカーに空気で膨らます装飾人形の開発を委託した。(このときに、C社はG社の人形を分析し模倣したとG社が主張している。)
 2002年1月9日 台湾のTsai Chin-Cheng(T氏)を発明者として米国特許出願された。
 2003年10月21日 該出願の特許はされた後だが登録発行される前のこの日に、G社はC社をトレードシークレットの侵害、著作権の侵害等でカンザス連邦地裁に訴えた。
 2003年11月7日  G社のF氏は、2000年10月から空気入り人形を販売していた旨の宣言書を裁判所に提出した。
 2003年11月11日 特許が登録発行された。
 2003年11月12日 C社は非侵害の確認を求めニューヨーク南地区連邦地裁に訴えた。
 2003年11月17日 G社は特許侵害をカンザス連邦地裁への訴えに加えた。
 2003年12月   C社はカンザス地裁には人的管轄権がないこと、特許はon sale bar(2000年10月からの販売)によって無効であるとの略式判決を求める申立をした。
 2004年1月28日 カンザス地裁からニューヨーク南地区連邦地裁に移送され、事件は統合された。
 2004年2月9日  F氏は2003年11月7日の宣言書を次のように修正した。「香港展示品はヘアドライヤー方式であった。G社はプロトタイプを出荷する意図は無かった。商業的に販売されるようになった箱型ファン方式の人形は、香港展示品から幾度かの設計変更を経て出来上がったものである。」
 2004年10月13日 C社はG社品に特許表示がされていないことを理由に、G社品の販売仮差止め、特許表示のためのリコールをするように求めた。

(地裁) 2000年10月に販売のために見積書を顧客に示したことはon sale barに当たり、特許は無効との略式判決を地裁は下した。

(CAFC) 102条(b)のOn Sale と言えるためには、米国特許出願の日の一年より前に、①製品が特許するための準備がされていたこと、および②販売の商業的申出があったこと、の両方が満たされなければならない。(for the on sale bar to arise there must be both a commercial offer of sale and the product must be ready for patenting).
 ①の"ready for patenting"は、販売された製品に特許発明の構成が全て備わっていなければならない(the patented invention must be "fully disclosed" in the product that was on sale.)ということである。すなわち、販売された製品が特許でクレームされた製品である必要がある。香港展示品はクレームされた製品ではない。
 従って①"ready for patenting"を満たさない。 地裁のon sale barによる特許無効の判断は誤りであり、それを取消、差し戻す。

(弁理士 菊間 @ 特許事務所)

|

July 03, 2006

今週の羅針盤《87》

6月30日は大祓会があります。

企業も株主総会でお祓いをしたんでしょうか。

勝ち組と、負け組とが、さらにはっきりし、
これも格差社会?という感じです。
勝ち組の会社に居る従業員(世の中では会社員という)は勝ち組の人か?2770_1

日本の自殺者数は年間3万人超。日本は世界の中で自殺率10位(2004年WHO)。
旧ソ連だった国が上位を占めているので、日本も旧ソ連と同じ社会状況なんだろうか?

ライブドアや、村上ファンド、それに絡んだ政財界の皆さんが、お騒がせをやってます。

何が勝ち組なんだろう。

さて、今週の羅針盤:

勝ちに不思議の勝ちあり
負けに不思議の負けなし
        
- 松浦 静山 -

負けの原因を究めないと、また負けます。

(弁理士 菊間 @ 特許事務所)

|

July 01, 2006

審査指南(=中華人民共和国専利法審査基準) 第二部分 実質審査、第三章 新規性(抄訳)

中華人民共和国 専利法 審査指南 は、

第一部分 初歩審査
第二部分 実質審査
第三部分 PCT出願の国内段階の審査
第四部分 復審及び無効請求の審査
第五部分 専利出願手続及び事務手続

からなる。

この中で、実務上重要と思われる点だけを今週から暇をみて順不同で抄訳してみます。忙しくなったら、中断するかもしれませんが、ご参考までに。

今回は新規性に関するものです。
 

第二部分 実質審査、第三章 新規性(抄訳)

3.2 審査基準
3.2.1 相同内容(実質的に同一)の発明又は実用新案
 クレームされた発明と公知文献記載の発明とが完全に同一な場合、単なる文字表現の置換に過ぎない場合は、クレームされた発明は新規性が無い。
 上記の同一内容は、文献中に直接に、同じであると疑義を生じる技術的内容との対比から、包括的に理解しなければならない。
 例 発明:電気回転子の鉄心が ネオジウム-鉄-ホウ素-合金製、該合金が四方晶構造で Nd2Fe14B。
   文献:「ネオジウム-鉄-ホウ素-合金磁性体製の鉄心を電気回転子に使った」
 当業者であれば、文献記載のネオジウム-鉄-ホウ素-合金磁性体がNd2Fe14Bを指し、四方晶構造であることを熟知しているから、新規性がない。

3.2.2 下位概念は上位概念を与える
 下位概念、例えば「銅製」と記載されていたら、上位概念、例えば「金属製」と書いたものは新規性がない。
 逆に、上位概念で記載されていても、下位概念が記載されているとは、しない。

3.2.3 慣用手段の直接置換
 慣用手段を直接置換したものは新規性を有しない。
 例 公知文献にネジ釘で固定する方式が記載されていて、本発明がボルトで固定する方式に置き換えただけのものであるとき、新規性を有しない。

3.2.4 数値と数値範囲
 (1)文献の数値又は数値範囲が本発明の数値又は数値範囲に包含される場合は、新規性を有しない。
 例1、本発明:亜鉛10~35% アルミニウム2~8%
   文献: 亜鉛20%、アルミニウム5%
 例2、本発明:厚さ100~400mm
    文献 :厚さ180~250mm
 (2)文献の数値範囲と重複又は境界点が一致する場合、新規性を有しない。
 例1、本発明:焼成時間1~10時間
    文献 :焼成時間4~12時間
    4~10時間の範囲が重複している。
 例2、本発明:プラズマ放電時の出力20~50kW
    文献 :プラズマ放電時の出力50~80kW
    50kWで、一致している。
 (3)文献の数値範囲の境界点が一致する、数値を規定する発明は新規性を有しない。但し、数値範囲内の数値は新規性を否定されない。
 例  本発明:乾燥温度40℃、58℃、75℃及び100℃
    文献 :乾燥温度40~100℃
    40℃と100℃は新規性を有しない。58℃と75℃は新規性を否定されない。
 (4)文献の数値範囲内に本発明の数値が包含される場合でも
新規性を否定されない。
 例1、本発明:内燃機関用のピストン環の直径95mm
    文献 :内燃機関用のピストン環の直径70~105mm
       新規性を否定されない。
 例2、本発明:エチレン-プロピレン共重合体 重合度100~200
    文献 :エチレン-プロピレン共重合体 重合度50~400
       新規性を否定されない。

3.2.5 性能、パラメーター(参数)、用途又は製法等で特定した発明クレーム
 性能、機能などのパラメーターで限定した発明、用途限定した発明、製法限定した発明については、パラメーター、用途又は製法による限定が、特定の構造又は組成を暗示するものでなければならない。暗示するものでないときは新規性が無いと推定される。この推定がはたらいたとき、出願人は、本発明と引用発明とが、構造及び・又は組成において相違していることを示す必要がある。

(弁理士 菊間 @ 特許事務所)

|

« June 2006 | Main | August 2006 »