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July 01, 2006

審査指南(=中華人民共和国専利法審査基準) 第二部分 実質審査、第三章 新規性(抄訳)

中華人民共和国 専利法 審査指南 は、

第一部分 初歩審査
第二部分 実質審査
第三部分 PCT出願の国内段階の審査
第四部分 復審及び無効請求の審査
第五部分 専利出願手続及び事務手続

からなる。

この中で、実務上重要と思われる点だけを今週から暇をみて順不同で抄訳してみます。忙しくなったら、中断するかもしれませんが、ご参考までに。

今回は新規性に関するものです。
 

第二部分 実質審査、第三章 新規性(抄訳)

3.2 審査基準
3.2.1 相同内容(実質的に同一)の発明又は実用新案
 クレームされた発明と公知文献記載の発明とが完全に同一な場合、単なる文字表現の置換に過ぎない場合は、クレームされた発明は新規性が無い。
 上記の同一内容は、文献中に直接に、同じであると疑義を生じる技術的内容との対比から、包括的に理解しなければならない。
 例 発明:電気回転子の鉄心が ネオジウム-鉄-ホウ素-合金製、該合金が四方晶構造で Nd2Fe14B。
   文献:「ネオジウム-鉄-ホウ素-合金磁性体製の鉄心を電気回転子に使った」
 当業者であれば、文献記載のネオジウム-鉄-ホウ素-合金磁性体がNd2Fe14Bを指し、四方晶構造であることを熟知しているから、新規性がない。

3.2.2 下位概念は上位概念を与える
 下位概念、例えば「銅製」と記載されていたら、上位概念、例えば「金属製」と書いたものは新規性がない。
 逆に、上位概念で記載されていても、下位概念が記載されているとは、しない。

3.2.3 慣用手段の直接置換
 慣用手段を直接置換したものは新規性を有しない。
 例 公知文献にネジ釘で固定する方式が記載されていて、本発明がボルトで固定する方式に置き換えただけのものであるとき、新規性を有しない。

3.2.4 数値と数値範囲
 (1)文献の数値又は数値範囲が本発明の数値又は数値範囲に包含される場合は、新規性を有しない。
 例1、本発明:亜鉛10~35% アルミニウム2~8%
   文献: 亜鉛20%、アルミニウム5%
 例2、本発明:厚さ100~400mm
    文献 :厚さ180~250mm
 (2)文献の数値範囲と重複又は境界点が一致する場合、新規性を有しない。
 例1、本発明:焼成時間1~10時間
    文献 :焼成時間4~12時間
    4~10時間の範囲が重複している。
 例2、本発明:プラズマ放電時の出力20~50kW
    文献 :プラズマ放電時の出力50~80kW
    50kWで、一致している。
 (3)文献の数値範囲の境界点が一致する、数値を規定する発明は新規性を有しない。但し、数値範囲内の数値は新規性を否定されない。
 例  本発明:乾燥温度40℃、58℃、75℃及び100℃
    文献 :乾燥温度40~100℃
    40℃と100℃は新規性を有しない。58℃と75℃は新規性を否定されない。
 (4)文献の数値範囲内に本発明の数値が包含される場合でも
新規性を否定されない。
 例1、本発明:内燃機関用のピストン環の直径95mm
    文献 :内燃機関用のピストン環の直径70~105mm
       新規性を否定されない。
 例2、本発明:エチレン-プロピレン共重合体 重合度100~200
    文献 :エチレン-プロピレン共重合体 重合度50~400
       新規性を否定されない。

3.2.5 性能、パラメーター(参数)、用途又は製法等で特定した発明クレーム
 性能、機能などのパラメーターで限定した発明、用途限定した発明、製法限定した発明については、パラメーター、用途又は製法による限定が、特定の構造又は組成を暗示するものでなければならない。暗示するものでないときは新規性が無いと推定される。この推定がはたらいたとき、出願人は、本発明と引用発明とが、構造及び・又は組成において相違していることを示す必要がある。

(弁理士 菊間 @ 特許事務所)

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