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June 03, 2007

Medimmune, Inc. v. Genentech, Inc. 05-608 -- On January 9 2007 (米国連邦最高裁判所判決)

(上告までの経過)

 Genenteck社(以下G社)は、USP 4,816,567Cabilly I1特許)と、その継続出願特許USP 6,331,415Cabilly II特許)を所有していた。 Cabilly I1983年に出願されたもの、Cabilly II1988610日に出願されたものである。

 Celltech社(以下C社)は1983325日の英国出願を優先権の基礎とするUSP 4,816,397Boss特許)を所有していた。

 135条の規定により、Cabilly IIBossとの間でインターフェアレンスが宣言され、米国特許庁において7年半の間審理された結果、米国特許庁はBoss特許が先発明であるとの決定をした。

 G社はCA北地区地裁に146条に基づきインターフェアレンスの決定に不服を申し立て提訴した。地裁はG社とC社に調停(Mediation)による解決を促し、両者は調停手続に移行した。その結果両者はCabilly IIBossに対して先発明であることで和解合意した。さらに両者はクロスライセンスを行うことでも合意した。地裁は特許庁に決定を取り消し、Bossを無効にし、Cabilly IIを特許登録するように指示した。

 G社とC社は地裁判決を以って特許庁に申請した。特許庁はBoss特許を無効とした。Cabilly IIについては1991年のIDSが未審査であったとして、再審査を行い、20011218日に特許登録された。

 Medimmune社(以下M社)は1997年にG社からCabilly IおよびCabilly IIのライセンスを受ける契約をした。1998年にC社からBossのライセンスを受ける契約をした。Cabilly IIが特許登録された後、G社はM社にM社製品SynagisCabilly IIに包含されており、実施料を支払うように求めた。

 M社はライセンス契約が無効になることを避けるために、実施料の支払いを続けた一方で、Cabilly IIの特許無効および非侵害の確認の訴えをCA中央地裁に起こした。

 地裁は、2004年のProbe判決(CAFC)に従って、実施料を支払っている間は「実際の紛争」が存在しないので、確認の訴えをすることができない。確認の訴えは、契約を解除し、両者間に実際の紛争が生じたときにできる、として、確認の訴えを却下した。

 G社とC社の和解(登録が遅れたG社特許権を残すことで特許権の存続期間が延びるような和解)は、独占禁止法違反または不正競争に相当するとのM社の申し立てを略式判決で認容している。

 CAFCは同じ理由で確認訴訟の控訴棄却した。また地裁の略式判決を支持した。

 M社は上告した。

(事件の背景)

 Probe以前:

 Alvater事件(最高裁判決1943):差止命令回避のために実施料支払いを継続した場合は争訴性がある。

 Lear事件(最高裁判決1969年):実施料を支払っているライセンシーはライセンス対象の特許の有効性を争うことができると判示した。また有効性の争いが解決するまで実施料を支払い続ける義務は無いとした。

 C.R.Bard事件(CAFC1983):ライセンシーは確認訴訟を提起する前にライセンス契約を解除する必要がないと判示した。

 Probe以降:

 Probe事件(CAFC2004):ライセンス契約に重大な違反がない限り、ライセンサーがライセンシーに対して特許侵害で訴えるという合理的懸念は生じない。また差止命令が存在しないのだからAlvater事件の適用もない。ライセンス契約を遵守しているライセンシーがライセンス対象の特許に関する確認の訴えを起こすことはできないとした。

(最高裁の判断)

 M社が仮に実施料の支払いを停止したら、「実際の紛争」が生じ、確認訴訟の要件を満たすことになる。

 また、G社はM社が特許を使用しているから実施料を支払う義務がM社にあると主張している。一方、M社は特許無効または非侵害であるから実施料を支払う義務が無いと主張し、さらに実施料の支払いを実際に拒否すれば、差し止められるおそれ、(3倍)賠償支払のおそれがあると主張している。

 M社は、事前に異議を唱えて、実施料を支払っている。(差し迫った危険な状態にならないように一先ず回避している。) Alvater事件から、支払いが自発的でない、または強制によるものであった場合には支払った金額を回収しまたは支払い請求の適法性を争う権利は失われない。

 実施料の支払い義務があるのか否かについて両者間に「実際の紛争」があり、差し止め請求訴訟を起こされる合理的懸念もある。

 この合理的懸念には、差し止め請求等が差し迫ったような危険な状態になっていることまでを要求していない。

 以上のことから、M者は確認訴訟を起こすことができると、最高裁は判決した。

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