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February 25, 2008

中国の発明特許の権利範囲

 発明特許の権利範囲

 (原則)発明特許権の保護範囲は、その権利請求の内容を基準とし、明細書および添付図面は権利請求の解釈に用いることができる。(専利法56条)

 ①権利請求の内容基準の原則

  保護範囲は権利請求書の記載を離れて解釈してはならない。

  記載された文言に厳格に縛られるものでもない。

  保護範囲に多少の弾力性を持たせている。

  権利請求書に記載された各請求項の技術的特徴(エレメント、構成)を全部備えているものを特許権の保護範囲内としている。 文言侵害。

  被疑侵害品または方法の構成が権利請求書の構成よりも多い場合でも被疑侵害品は保護範囲内に包含される。被疑侵害品または方法が利用関係にある場合、これも保護範囲内に包含される。

 ②明細書等の参酌の原則(弾力性)

  権利請求書中の意義不明確な用語の意味を確定するためにのみ用いるとの解釈をしてはならない。

  権利請求書を指針として明細書等の記載から範囲を拡大できるとの解釈をしてはならない。

  周辺限定的解釈でもないし、中心限定的解釈でもない。折衷的解釈である。

 *前提部分の説明と特徴部分の説明は同等に十分に行っておくことが必要である。

 *辞書としての役割 → 権利請求書の補正を要求されることがある。

 *技術分野、技術課題、および効果を総合的に判断して保護範囲を確定させていくので、技術分野は正確な用語を用いて記載すべきであり、技術課題および効果は、発明によって実現可能であることを示すような記載をすべきである。

 ③均等の原則

  被疑侵害品と、権利請求書に記載の発明とが、1またはいくつかの技術的特徴において異なるとき

  1)その対応する異なる技術的特徴が、基本的に同一の手段を採用し、基本的に同一の機能を実現し、基本的に同一の効果を奏する場合(Way-Function-Result Test)は、被疑侵害品は特許権の保護範囲内にあると解釈する。(グレーバータンク事件)

 機能と効果は完全に一致する必要はない。

 手段=関連する技術特徴の機能や効果を実現する時に採られる手段と基本的に同じもの

  2)その対応する異なる技術的特徴が明細書を読むことで容易(創造的作業無しに)に想到できるものである場合には均等と解釈される。(ワーナージェンキンソン事件)

   侵害時における置換容易性(日本最高裁)に相当

  均等の判断は侵害時を基準にする。侵害時には出願時に無かった新しい均等物が出現し、これによって権利逃れが可能になるのは、権利者に酷であるから。

 技術的特徴の置換

 前提部分の技術的特徴の置換と、特徴部分の技術的特徴の置換の両方について均等があり得る。日本の「本質的部分でないこと」という要件はない。

 エレメントバイエレメントで均等が判断される。

 エレメントのきり方(分説の仕方)によって均等判断に影響がでる場合もある。

 全体均等の適用はしない。(As a whole基準)公衆の利益を害する。

 

 数値範囲の均等はない。数値範囲は厳格に解釈され、たとえ境界値外のすぐ近くの数値であっても均等ではないとされる。(数値に関しては日米よりも厳格な解釈)

  *エレメントを意識してクレームを作製することが肝要である。

   主語述語の関係を明確にし、一文を短く簡潔にすることが肝要である。

   修飾語(形容詞、副詞)の係り具合を明確にした表現が肝要。

       ~的、  得~、  

 過去の判決例では、均等の主張を権利者が明確に行っていなくても、裁判所が自主的に判断して均等を適用し、侵害を認定しているケースがある。

 (民事訴訟の原則の一つである当事者主義は、中国の裁判所では通用しないようだ。

  すなわち、権利者は侵害の証拠物件の提出、被疑侵害者の行為の立証、特許侵害の主張をすればよく、技術的相違点についての均等を詳細に立証する必要がないようだ。

  被疑侵害者としては、権利者が主張立証した内容だけでなく、裁判所が立証するかものしれない争点についても答弁を行っておく必要がある。)

 ④禁反言の原則

  特許権者が特許審査の過程で陳述した意見および提出した補正は特許権の保護範囲に対して一定の限定的作用が働く。

  審査過程で明確に放棄した内容を再び権利範囲内に含めることは許されない。

  被疑侵害者の主張がなければ、禁反言の原則は働かない。

  均等による拡大解釈に歯止めを掛ける。

 「意識的に除外されたものでない」(日本最高裁)に相当

  出願時の広いクレームAを補正で限定し、クレームaで特許になった場合と

  出願時に記載したクレームaで特許になった場合とで、保護範囲に相違が出てくる可能性がある。

 ⑤余計指定の原則

  権利者側が主張した場合にこの原則の適用が考慮される。

  付加的(余計)な技術的特徴が、発明の目的、効果、手段などを総合的に勘案し、それがミスにより記載してしまったことが明らかな場合に適用がある。

  本原則は廃止すべきとの意見がある。本原則が適用されることは稀と思われる。

 ⑥自由技術の抗弁

  被疑侵害者が主張した場合に本原則の適用が考慮される。

  出願時公知の技術から均等なもの(出願時に容易に成し得たもの)も抗弁として認められることもあるが、基本的に裁判所は進歩性の判断をしないことにしている。したがって、公知技術そのものを含む範囲に保護範囲が均等で広がることを抑制されるに留まる可能性が高い。公知技術から容易に想到できる範囲には均等論で保護範囲が及ぶ可能性がある。

  均等による拡大解釈に歯止めを掛ける。

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February 12, 2008

Int’l Gamco, Inc. v. Multimedia Games, Inc. 2007-1034 Oct. 15, 2007

Int’l Gamco, Inc. v. Multimedia Games, Inc. 2007-1034 Oct. 15, 2007

Rader, Friedman and Moore (判決Rader) CAFC

(概要)
 独占事業ライセンス"Exclusive Enterprise License"(独占地域"teritorial"ライセンスと独占的使用範囲"field of use"ライセンス)を持つGamco社(G社)がMultimedia Game社(M社)を米国特許5,324,035の侵害で提訴した。M社はライセンシーには裁判を起す人的管轄権がないとのモーションをしたが、地裁がM社モーションを却下した。M社はこれに対して控訴した。CAFCは地裁の判断は誤りであるとして差し戻した。

(背景)
1. A gaming system network comprising:
a master processing unit, the master processing unit operative to distribute game plays from a finite pool of game plays
a memory device coupled to the master processing unit, the memory device operative to store at least one finite pool of game plays, each finite pool containing a predefined number of winning and loading play records wherein each game play record contains an indication of whether the particular play constitutes a winning or losing play and the amount won;
a communication interface coupled to the master processing unit;
a plurality of slave terminals, each slave terminal coupled to the communication interface to receive game play records in response to a game play request received from a player;
a plurality of player-controlled selection devices, each player-controlled selection device coupled to a slave terminal and operative to transmit game play requests from the player to the master processing unit; and
a plurality of output devices, each output device coupled to a slave terminal and operative to communicate to the player the receipt of a winning or losing play and the amount won.

 035特許の最初の譲受人:Infinatinal Technologies社、社名変更によりOasis technologies社。
 2001年12月:Oasis社はGamco社に権利譲渡。
 2003年2月:Gamco社はInternational Game Technology(IGT)社との資産売却契約において、IGT社に権利譲渡するが、ニューヨーク州宝くじ市場における035特許をサブライセンスする権利とその市場における侵害に対する訴権を保持するという契約をした。
 2004年5月:Gamco社単独でMultimedia社(ニューヨーク州宝くじにおける唯一の宝くじゲーム業者)を特許侵害で提訴した。
 地裁は、Gamco社が035特許の所有権をIGT社に売却し、IGTに代わってサブライセンス交渉する権利だけを維持しているだけであることを考慮し、Gamco社は人的管轄権が無いとして訴えを却下した。
 2005年11月:Gamco社とIGT社は新しい契約を締結した。Gamco社は独占的ライセンスとして特徴付けられる権利をIGT社から受け取ったとの契約を結んだ。
 契約書には「領域"territory"内において、製造、使用、販売、販売申出をする独占的権利、第3者が製造、使用、販売、販売申出をするためのサブライセンスをする権利をIGTはGamcoに与えた。但し、IGTは、不合理でないかぎり、Gamcoのサブライセンスの申出を拒否しない。」と記載されていた。
 2005年11月:"territory"を"the lawful operation of lottery games authorized by the New York State Lottery in the state of New York(ニューヨーク州におけるニューヨーク州宝くじによって認可された宝くじゲームの合法的事業)"と定義する、修正契約を行った。該修正契約では、Gamcoに過去、現在および未来における領域内での特許侵害に対して提訴する独占的権利を与えるとされていた。
 修正契約締結から2-3日後にGamcoはMultimedia社への訴状を修正し、特許侵害を再び主張した。
 M社はもう一度、管轄権が無いとのモーションをしたが、地裁はこんどは管轄権が無いとはしなかった。Gamcoのライセンスは、地域に限定または実施態様に限定というよりは、ニューヨーク州宝くじの営業または事業に限定されている。独占的事業権者は自らの名前で訴訟を起せると判断した。

(CAFC)
 特許法261条:Applications for patent, patents, or any interest therein, shall be assignable in law by an instrument in writing. The applicant, patentee, or his assigns or legal representatives may in like manner grant and convey an exclusive right under his application for patent, or patents, to the whole or any specified part of the United States.

 実質的な権利をすべて許諾された独占的ライセンシーは、権利の譲受人と実質的に同じであるから、ライセンシー単独で訴訟を提起できる。
 地域限定のライセンシーと使用範囲限定のライセンシーについて:261条は地域的に限定した譲渡を想定している。地域限定ライセンシーには訴訟を単独で提起する権限があるとの最高裁判例がある。

 一方、使用範囲限定のライセンシーについての人的管轄権についての判断は、明確になっていないが、Pope事件において、最高裁が次のような指針を示している。
 Pope事件では、複数ある請求項のうち、一つの請求項についてのライセンスが成された。このライセンスに基づいて訴訟が提起された。最高裁は、このようなライセンスは、実質的に同じ範囲となる実施権を多数に分割する結果となる。そのため、一の侵害行為に対して異なるライセンシーから侵害訴訟を起されるという問題が生じる。
 請求項の一部だけの許諾を受けただけの者に原告適格を認めると、被疑侵害者を過度に煩わせることになるので、このようなライセンシーは単独で訴訟を提起できないとしている。

 本件について、Gamco社の受けている独占事業ライセンスは、NY州と宝くじに限定されている。特許権の範囲は宝くじ以外のものにも及ぶ。ライセンスは使用範囲限定のライセンスである。
 NY州で認可されているゲームシステムでは、ブラックジャック、ケノ、マージャン、および宝くじができる。該システムの使用によって宝くじに限定されたGamco社のライセンスと抵触することになる。
 例えば、IGTによって第3者に他のゲームに限定されたライセンスが成されると、該システムの使用は該第3者のライセンスと抵触する。この結果、複数のライセンシーが、該システムの使用に対して訴訟を起す可能性があることになる。

 したがって、Gamco社は、単独で訴訟を提起する権限を有しない。

         以上。

(参考)

特許権侵害訴訟の原告適格

(侵害訴訟を提起できる者)

1)特許権所有者

2)特許権に関し十分な当事者適格または利害関係を有する者

 特許権に関するすべての権利を第3者に譲渡した特許権所有者は譲渡日以降訴訟を提起することができない。譲渡日以降は譲受人または譲受人の独占的実施権者のみが訴訟を提起できる。

 譲渡日以前に発生している侵害行為に対しての訴訟:譲渡人が訴訟を提起する権限を持つ。譲受人はその権限を別途譲り受けていない限り、譲渡日以前の侵害に対する訴訟を起せない。

 独占的実施権者:ライセンス契約で独占実施が認められた地域において、何ら正当な権限を持たない第3者の実施に対して侵害訴訟を提起できる。

 裁判所は、特許権所有者を必要的当事者として訴訟に参加することを要求することが多い。参加形態①共同原告として訴訟に参加;②訴訟提起後に参加。

 特許権の共有となっている場合、共有者全員によって訴訟を提起しなければならない。途中参加はできない。

 非独占的実施権者は侵害行為に対する訴訟を提起することができない。

(確認訴訟を提起できる者)

1)正当な権利を有する者により侵害行為を行っていると脅されている者

  「訴訟への相当なおそれ」「利害」

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February 04, 2008

中国の特許要件

 特許要件(拒絶理由、無効理由) 

 ①発明でないもの(実施細則2条)、

 発明でない物(科学的発見:万有引力の発見、

              知的活動の規則:数学理論、交通規則、身体の鍛錬法、コンピュータのプログラム自身

 ②公序良俗(専利法5条)、

 {賭博用の装置器具、麻薬吸飲用器具、紙幣等の偽造装置

                             クローン人間、泥棒を失明させる防犯装置、胎盤の工業上商業上の利用}

       治療方法、診断方法など:人・動物を対象

 *人だけでなく動物も対象となっていることに注意。

 ③不特許事由(専利法25条)、

                             動物植物の品種(動物植物の生産方法は発明)

                             原子核変換の方法によって得た物質) 

 ④新規性、創造性、実用性欠如(専利法22、23条)、

 新規性(国内公知、国内公用、国内外刊行物、抵触出願) 新規性喪失の例外

 創造性 突出した実質的な特徴と顕著な進歩があること

 実用性  産業上で製造または使用することができることが可能で、積極的(プラス)効果がうまれるもの

 明細書記載明確完全(専利法26条3項)、

 権利請求書サポート要件(専利法26条4項)、

 権利請求書明瞭簡潔、必須構成要件欠如(実施細則20条1項、21条2項)、

 補正が新規事項追加(専利法33条)、

 ⑨重複権利付与(専利法9条、実施細則13条1項)

 ⑩単一性(専利法31条)*無効理由ではない

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