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September 29, 2008

中国特許法 改正案 2008

国務院常務会議において改正案が採択された模様です。

主な改正点は次の通りです。

1.遺伝資源の取得と利用による発明の特許付与を制限。
     生物多様性条約に対応するための改正

2.実用新案出願と特許出願との二重出願の扱いを明確化。
   同一対象を同一出願人が実用新案出願と特許出願とをした場合に、先に取得した実用新案権が消滅しておらず且つ実用新案権を放棄するとの意思を表明した場合には特許権を付与する。

3.中国内でなされた発明の外国出願の制限を緩和

4.共有特許権の扱いを明確化
  1)原則、共有者間の約定に従う。
  2)共有者単独で特許発明を実施でき、通常実施権を許諾できる。
  3)実施権を許諾した場合実施料を共有者で分配しなければならない。
  4)特許権の行使は、すべての共有者の同意を得なければならない。

5.特許要件
 新規性:従来の技術に該当しない。従来の技術=出願日前に国内外で公に知られている技術。
   すなわち、「国内公知、国内公用、国内外刊行物」⇒「国内外公知、国内外公用、国内外刊行物」

6.強制実施権の要件明確化
  1)不実施特許発明の強制実施権 
  2)未発達国への医薬品の輸出許諾
  3)半導体技術の強制許諾

7.特許権非侵害の立証
    実施技術が従来の技術であることを証明できる場合は当該実施は侵害としない。

8.損害賠償額の算定法
  1)当事者の協議に基づいて算定。
  2)協議不調の場合は、権利者が侵害により受けた損害または侵害者が侵害により受けた利益に基づいて算定。
  3)上記算定困難な場合は、実施許諾料の倍数を参照し合理的に算定。
  4)上記すべての算定困難な場合は、侵害に関る要素(侵害の性質、経緯など)に基づいて1万元以上100万元以下の賠償額を算定する。
  5)損害額には権利者が侵害差止に要した合理的支出を含むべきである。

9.提訴前証拠保全

10.侵害としない行為に、医薬品または医療装置の製造承認申請のためにそれらを製造する行為を追加

など。
 
 

  

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September 22, 2008

韓国特許法改正案 2008

改正法案は2つからなり、改正法案(I)は国内事情によるもの、改正法案(II)は韓米FTAに関連するものである。

改正法案(I)の主な内容:

ア.特許出願明細書または図面の補正に対する制限を緩和(第47条)
  最後の拒絶理由の通知後の明細書または図面の補正で、明細書に記載した特許請求の範囲を減縮した場合は、実質的変更とはみなさないとする。

イ.再審査請求制度を導入(第67条の2 新設)
 拒絶査定後、明細書または図面の補正と同時に、再審査を請求できるようにする。この請求で審査官が再審査を行う。再審査を請求した場合は先の拒絶決定は取り消しになったものとみなされる。
 補正をしない場合は再審査を経ずに審判を請求する。
 再審査により拒絶査定となった場合は不服審判を請求できるが補正の機会は与えられない。

ウ.分割出願が可能な時期の拡大(第52条)
 絶決定謄本の送達後30日以内にも分割出願が可能
 特許決定謄本の送達後の分割出願は不可

エ.追加納付料の区分制度の導入(第81条第2項、第81条の2第3項)
  (1) 特許料の納付期間が経過して特許料を追加納付する時の納付金額を一律2倍から、特許料の2倍以内の範囲で知識経済部令に定める金額に基づいて区別して納付できるようにした。

オ.報償金の支給請求権などに関する国際公開の効力と国内公開の効力の統一化 (第207条)
   韓国語で出願した国際特許出願人は、国際公開があった後、その国際公開された発明を業として営んだ者に対し報償金の支給を請求できるようにし、国際公開時に韓国語で国際特許出願された発明が韓国内で公開されたことと見なす。

改正法案(II)の特許法関連の主な内容:
(1)存続期間の調整
 出願日から4年または審査請求後3年より遅延して特許権の設定登録がなされた場合、遅延した期間と同程度存続期間を延長する。

(2) 新規性喪失の例外規定の適用期間を12ヶ月に延長する。

(3) 秘密維持命令制度の導入
 侵害訴訟と関連して必要な情報が営業秘密である場合、裁判所が訴訟当事者等に秘密維持を命じることを可能とする。

以上(情報元:JETRO)

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September 15, 2008

欧州特許のクレーム記載形式

欧州特許の手数料が大幅に上がったことは既にご存知のことと思います。

特に追加クレームあたりの手数料は非常に高くなりました。

特許に掛かるコスト低減のためにクレーム数を減らすことを考えている方が多いのではないかと思います。

これに関して、先日、欧州特許代理人から、下記のような情報を得ましたので、ご紹介します。

 日本では、1クレームに1つの主題を記載することが求められます。

 例えば、
 【請求項1】 ポリエチレンとポリスチレンとを含有する樹脂組成物。
 のように記載します。
 これに対して、
 【請求項1】 ポリエチレンとポリスチレンとを含有する樹脂組成物または成形体。
 のように記載すると、発明内容が不明瞭であるとして記載不備の拒絶理由を受け取ることになります。この基準はすべての請求項に適用されます。

 さて、欧州では、どうか。

 欧州では、独立請求項については、日本と同様に、1クレームに1つの主題を記載することが求められます。ところが、従属請求項の記載については、1クレームに2以上の主題を記載することを禁止する法規が無く、また知る限りにおいても禁止する判例が無いそうです。

 例えば、
 【請求項1】 ポリエチレンとポリスチレンとを含有する樹脂組成物。
 【請求項2】 ポリエチレンとポリスチレンとを含有する成形体。
 【請求項3】 さらにアクリル樹脂を含有する請求項1に記載の樹脂組成物または請求項2に記載の成形体。
 のように記載できるようです。

 そして、1クレームに2以上の主題を記載した従属請求項を含めたことによって、実務上、悪い結果になったことが無いとのことです。ただ、内容が不明瞭であるとのオブジェクションを受ける可能性はあるとのことですが、適切に説明すればオブジェクションは解消できるとのことです。

 クレーム手数料の節約の一手段として、活用できると思いますので、試してみてください。

以上。(情報元:Vossius&Partner)

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September 08, 2008

補正可能な範囲 「明細書又は図面に記載した事項」~平成18年(行ヶ)第10563号&平成20年(行ヶ)第10053号

1.特許法172項(特許法1342項)には、補正(訂正)は「願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」しなければならないことを定めている。特許法172項の趣旨は、出願当初から発明の開示が十分に行われるようにして、迅速な権利付与を担保し、発明の開示が不十分にしかされていない出願と出願当初から発明の開示が十分にされている出願との間の取扱いの公平性を確保するとともに、出願時に開示された発明の範囲を前提として行動した第三者が不測の不利益を被ることにないようにし、先願主義の原則を実質的に確保しようとしたものである。

2.特許庁の審査基準には、「明細書又は図面に記載した事項」について、以下のように記載されている。

 「当初明細書等に記載した事項」とは、「当初明細書等に明示的に記載された事項」だけではなく、明示的な記載がなくても、「当初明細書等の記載から自明な事項」も含む。

 補正された事項が、「当初明細書等の記載から自明な事項」といえるためには、当初明細書等に記載がなくても、これに接した当業者であれば、出願時の技術常識に照らして、その意味であることが明らかであって、その事項がそこに記載されているのと同然であると理解する事項でなければならない。

 周知・慣用技術についても、その技術自体が周知・慣用技術であるということだけでは、これを追加する補正は許されず、補正ができるのは、当初明細書等の記載から自明な事項といえる場合、すなわち、当初明細書等に接した当業者が、その事項がそこに記載されているのと同然であると理解する場合に限られる。

 当業者からみて、当初明細書等の複数の記載(例えば、発明が解決しようとする課題についての記載と発明の具体例の記載、明細書の記載と図面の記載)から自明な事項といえる場合もある。 例:明細書には、特定の弾性支持体について開示されることなく、弾性支持体を備えた装置が記載されているが、図面の記載及び技術常識からみて、当業者であれば、「弾性支持体」とされているものは当然に「つるまきバネ」を意味しているものと理解するという場合は、「弾性支持体」を「つるまきバネ」にする補正が許される。

 当初明細書等に記載された多数の選択肢の範囲で特定の選択肢の組み合わせを請求項に追加するとき、あるいは選択肢を削除した結果として特定の選択肢の組み合わせが請求項に残るときに、その特定の選択肢の組み合わせが当初明細書等に記載されていたとは認められない場合がある。

3.平成18(行ヶ)10563号の判決で、「明細書又は図面に記載した事項」について、新たな解釈がなされたように思う。

 判決によれば、「明細書又は図面に記載した事項」とは、技術的思想の高度の創作である発明について、特許権による独占を得る前提として,第三者に対して開示されるものであるから、ここでいう「事項」とは明細書又は図面によって開示された発明に関する技術的事項であることが前提となるところ、

 「明細書又は図面に記載した事項」とは,当業者によって,明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であるとしている。

 したがって、補正が,このようにして導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるときは当該補正は明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものということができると述べている。

 例えば,特許請求の範囲の減縮を目的として,特許請求の範囲に限定を付加する訂正を行う場合において、付加される訂正事項が当該明細書又は図面に明示的に記載されている場合や、その記載から自明である事項である場合には、そのような訂正は、特段の事情のない限り、新たな技術的事項を導入しないものであると認められ「明細書又は図面に記載された範囲内において」するものであるということができると述べている。

 さらに、「ただし、…を除く」などの消極的表現(いわゆる「除くクレーム」)によって特許出願に係る発明のうち先願発明と同一である部分を除外する訂正を請求する場合、このような訂正も、明細書又は図面の記載によって開示された技術的事項に対し、新たな技術的事項を導入しないものであると認められる限り「明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」する訂正であるというべきであると述べている。


4.平成18(行ヶ)10563号の判決文で示された基準を適用して、平成20(行ヶ)10053号の判決がなされた。該事件での一争点は、特許請求の範囲に対して行った訂正事項が明細書又は図面に記載した事項か否かである。

(1)争点となった訂正事項は、請求項1の

 「衣服の身頃,襟,襟口,ポケット又はポケットフラップの周縁に沿って袋を形成し」

 「衣服の襟,ポケット又はポケットフラップの周縁に沿って,衣服の表側を構成する主布の裏側に別布を縫合して,袋を形成し」 と訂正するものであった。

(2)特許庁審決では、本件特許の願書に添付された明細書及び図面に記載されておらず、当該明細書又は図面の記載から自明の事項ということもできないから新規事項の追加であるとして、訂正を認めなかった。

(3)これについて、知財高裁は、次のように判断している。

 【請求項1】には,衣服の身頃,襟,襟口,ポケット又はポケットフラップの周縁に沿って袋を形成することが記載されており,

 段落【0017】には,ワイヤの取付位置として,襟,襟口(襟の開き部分),袖の下部,身頃の下部,ポケットの縁,ポケットフラップの縁が記載されており,

 段落【0019】には,ワイヤの取付構造(方法)として,衣服の表側を構成する主布の裏側に,別布を縫合して袋を形成し,この袋の内部にワイヤを挿通させることが記載されており,

 段落【0021】には,ワイヤの取付位置として,襟の周縁,襟口の周縁が記載されており,

 段落【0022】には,ワイヤの取付位置として,ポケットの開口の周縁,ポケットフラップの周縁が,それぞれ記載されていると認められる。

 すなわち,本件明細書には,

 ①「衣服の襟,ポケット又はポケットフラップの周縁に沿って袋を形成」することが記載され(【請求項1】),

 ②ワイヤの取付位置として,「衣服の襟,ポケット又はポケットフラップの周縁」が記載され(段落【0017】,【0021】及び【0022】),

 ③ワイヤの取付構造(方法)として,「衣服の表側を構成する主布の裏側に別布を縫合して,袋を形成」すること,この袋の内部にワイヤを挿通させることが記載されている(段落【0019】)といえる。

 そうすると,「衣服の襟,ポケット又はポケットフラップの周縁に沿って袋を形成」して,「衣服の襟,ポケット又はポケットフラップの周縁」にワイヤを取り付けるに当たり,「衣服の表側を構成する主布の裏側に別布を縫合して,袋を形成」し,この袋の内部にワイヤを挿通させるようにすることは,本件明細書の記載を総合することにより導かれる技術的事項であり,当業者であれば,本件明細書の記載から自明である事項として,認識することができるというべきである。

 よって、該訂正は「明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」する訂正であると、判断している。

5.考察

 特許庁の審査基準によれば、「当初明細書等に記載した事項」は、「当初明細書等に明示的に記載された事項」と「当初明細書等の記載から自明な事項」とに限定されている(東京高判平15..1(平成14年(行ケ)第3号審決取消請求事件))。そして、「当初明細書等の記載から自明な事項」は、出願時の技術常識に照らして、その意味であることが明らかであって、その事項がそこに記載されているのと同然であると理解する事項である。その事項について説明を受ければ簡単に分かる、という程度のものでは、自明ということはできないとしている。

 審査基準における、「事項」は「発明を特定するために必要と認められる事項」のことを指しているように思える。したがって、たとえ、当初の請求項記載の範囲が補正で導入された事項(境界線)によって縮減される補正であっても、その境界線が明細書等に記載した事項でないときは、新規事項の追加として扱っているように思う。したがって、「除く」という境界線が明細書に記載されていないのが普通であるから、審査基準では消極的表現である「除くクレーム」を例外的扱いとしている。

 一方、平成20(行ヶ)10053号判決では、明細書等に具体的な記載の無かった袋形成方法と取付位置との特定な組み合わせに訂正することを適法とした。平成18(行ヶ)10563号判決では、除くクレームは例外的扱いによるものではなく、訂正の基本原則から導かれることであるとしている。

 そして該判決では、「当初明細書等に記載した事項」は、当業者によって、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項としている。そして、その例として、「当初明細書等に明示的に記載された事項」と「当初明細書等の記載から自明な事項」とを示している。

 そして、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるときに、当初明細書等に記載した事項の範囲内でする補正と判断している。

 該判決における「事項」は「技術的事項」である。この技術的事項は先に述べたような境界線を指しているようでもあるが、明細書等から把握される発明の技術的範囲に近い観念を指しているかのようでもある。したがって、判決では「除くクレーム」は、例外的扱いではなく、原則に則る場合もあると判示しているように思量する。

 判決における「当初明細書等に記載した事項」は、審査基準における「当初明細書等に記載した事項」よりも若干広い概念になっているように思う。

 訂正または補正できる範囲が、今後、どのように運用されることになるのか、今後の審査の状況を見極める必要があるように思う。

以上。

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September 01, 2008

散歩コース(2)

P1010003_2源氏山公園から海蔵寺への道です。P1010004源氏山公園山頂の源頼朝像、休憩に最適。P1010007化粧坂切通し、源氏山の難所の一つ。P1010041_2化粧坂を下りきった先に海蔵寺があります。P1010035有名な十六の井は境内左手に入り、洞窟を抜けるとあります。P1010042P1010036海蔵寺の裏庭には入れなかったですが、本堂左手の洞窟から海蔵寺裏庭を眺めはまた格別。 山門右手には底脱の井があります。 十六の井と底脱の井は鎌倉十井に数えられてます。P1010046 P1010047 化粧坂を下らずに頼朝像の前を横切り下りきると寿福寺へ出ます。鎌倉五山第3位のお寺で立派です。 写真は参道です。

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