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February 17, 2009

Acumed LLC v. Stryker Corp. 2008 - 1124 -- On December 30 2008 差止請求の4要件

Acumed LLC v. Stryker Corp. 2008 - 1124 -- On December 30 2008
差止請求の4要件
MAYER LOURIE and GAJARSA(判決LOURIE)

(概要)Acumed社の求めた差止を認めたオレゴン地裁の決定に対してStryker社がCAFCに控訴した。CAFCは地裁の決定に誤りはないとして地裁決定を支持した。

(背景)Acumed社は米国特許5472444を所有している。該特許は上腕骨の骨折の治療に用いられる上腕骨近位端側のくぎ(PHN)に関する発明をカバーするものである。PHNを折れた上腕骨のシャフト部に刺し込むことによって、骨破片を相互に螺着し、固定することができる。Acumed社はPHNを製品名「Polarus」で販売していた。
 2004年春、Stryker社の「T2PHN」が444特許を侵害しているとして、Acumed社は提訴した。
 2005年9月20日、陪審はStryker社が故意に侵害していること及びAcumed社の遺失利益及び合理的実施料に基づく損害賠償請求を認めることを評決した。
 2006年2月22日、地裁判事は、Acumed社が申立ていた差止請求を認める決定をした。この決定は、「差止請求を拒否する正当な理由があるという特殊な状況でないかぎり、一旦特許が有効で且つ特許が侵害されているとの判決が成されたら差止請求を認めるという原則」に基づいて行われた。

 Stryker社はこの決定に対してCAFCに控訴した。このころ、最高裁がe-bay事件において、特許事件における差止請求を認めるための4要件を示した。
 2007年4月12日、CAFCは地裁の故意判断を支持したが、差止請求についてe-Bay事件を踏まえ再考するように地裁に差し戻した。

 2007年6月14日、Acumed社は「T2PHN」の差止請求を新たに地裁に申し立てた。Stryker社は5人の医師たちの宣誓証言に支持された差止請求申立に反論する書類を提出した。Acumed社は未提出であった「Polarus」に関する図面やパンフレット等に基づき、弁駁を行った。2007年7月27日、Stryker社はAcumed社の提出した新証拠及び新主張(時機に遅れた主張)を認めるべきでないとの申立を行った。
 2007年11月20日、Stryker社の申立が地裁によって拒否された。理由:Acumed社の提出した新証拠等はStryker社の答弁に対するものである。Stryker社は口頭審理においてAcumed社が提出した新証拠に対する反証機会が十分に与えられている。

 地裁は4要件の判断を行った。
 ①Acumed社は回復不能な損害を被ったか?
 ②法律で認めらた補償によってもその損害を補うには不十分であるか?
  陪審は遺失利益と遺失販売について既に決定している。444特許をライセンスしているという意義が下がってしまった。また遺失占有市場に基づき差止を認めた判例を地裁は考慮に入れた。
 ③原告と被告との困窮具合のバランスは適切か?
  当事者の相対的企業規模を考慮した。Acumed社は小さい企業で、「Polarus」は該社の主力商品であった。Stryker社は「T2PHN]の開発に要した費用を考慮すべきであると反論したがこれは拒否された。なぜなら、Stryker社は侵害を避けるための設計努力をしていなかった。
 ④公共の利益が害されるか否か?
  医師は「Polarus」を使いたくなかったら、他に存在する非侵害品を使用できる。
 以上のことから、地裁は、差止請求を認めるとの判決をした。

 Stryker社はこの判決に対してCAFCに控訴した。

(CAFCの判断)
A. e-Bay判決で確認された差止の4要件は以下のものである。『
①回復不能の損害を被っていること(it has suffered an irreparable injury)
②法によって適用可能な補償だけでは、その損害を補うには不十分であること(remedies available at law are inade-quate to compensate for that injury)
③原告及び被告に与える困窮度合の均衡を考慮し、衡平法に基づく補償を認めるのが当然であること(considering the balanceof hardships between the plaintiff and defendant, a remedy in equity is warranted)
④差止を認めることによって公共の利益が害されないこと(the public interest would not be disserved by a permanent injunction)

 差止による保護を認めるか又は拒否するかの決定は、地裁による衡平法上の裁量行為である。裁量の濫用に対しては、上訴によって再審理できる。この原則は特許法における争いにも適用される。衡平法の実務運用の永い伝統を変えるものではない。』

 そこで、本事件について、地裁の判断を再検証する。
1)①Irreparable Harm and ②Lack of Adequate Remedy at Law
 Acumed社は2つの大きな間接競業会社(スミスとジムマー)に444特許のライセンスを行っている。Acumed社のライセンスを行った意図はスミスに対する訴訟の和解のためであり、適正補償は合理的実施料による金銭的補償でなされたことを示しているとStryker社は主張した。だから直接の競業会社にライセンスしなかったことを主張することは禁反言で許されないのである。また、過去の3つの判例(遺失占有市場に基づき差止を認めた判例)に依拠したのは誤りであるともStryker社は主張した。
 これについて、CAFCは、特許権は、競業会社の侵害行為を排除するためのものである。このような観点から、回復不能な損害が生じ、それを法律的な補償だけでは補えないことも起こりえる。権利者は侵害の補償として合理的実施料を示して特許ライセンスをすることもできるが、それは地裁の判断できる一つのことに過ぎない。先行するライセンスの存在、過去の実施権者の特定、実施権者による市場での知識技術、および新たな侵害者の登場は、侵害の補償として合理的実施料が十分な補償になっているかどうかの判断に影響する。金銭的な損害賠償は過去のStrykerの侵害行為についてだけのものである。将来の侵害についての法的補償がなされていない。そのために、地裁は差止が必要であると判断したのである。
 地裁はAcumed社の行った2つのライセンスについて重きをおいてないので、検討する。スミスに対するライセンスはスミスに対する訴訟における和解で行われた。ジムマーに対するライセンスがなされたときジムマーは直接的な競業会社ではなかった。けれどもいずれも地裁の管轄下で行われている。特許をライセンスしたという過去における特許権者の意図は、新たな侵害者に対してライセンスすれば回復不能な損害が生じないことを意味していない(最高裁)。
 444特許についての先行する二つのライセンスは、新たな競業会社であるStryker社にライセンスして、その補償として実施料だけを受け取ればよいということを意味していない。
 そして、地裁が依拠した3つの判例はe-Bay後になされたものである。地裁の判断に裁量権の濫用はない。
2)③Balance of Hardships
 「T2PHN」の製造、使用、販売、販売申出および輸入を禁止することがStryker社、顧客および患者に甚大な困窮をもたらすことを地裁は見落としているとStryker社は主張した。ライセンスしている二つの会社はStryker社と同程度の大きさであり、Acumed社はそれらによって支障をきたしてない。Stryker社の顧客の多くはAcumed社と取引できないので、Acumed社は二社の実施料を受け取ることで利益を得ているとStryker社は主張した。
 一方、Stryker社は世界的にも大きな企業であり、「T2PHN」はStryker社の売り上げのほんの一部に過ぎないとAcumed社は主張した。Acumed社の「Polarus」は旗艦商品である。また、Stryker社は「T2PHN」以外の非侵害設計品をオプションとして持っていて、その設計品を適用することで困窮を低減できるとAcumed社は主張した。
 これについて、CAFCは、まず困窮のバランスは原告と被告との間の問題である。だから、顧客や患者の困窮はバランス判断においては関係ない考慮事項である。Acumed社の主張にCAFCは同意する。
3)④Public Interest
 本事件では、Stryker社が「T2PHN」は「Polarus」よりも安全で優れていると主張した。外科医の証言や宣誓書、「Polarus」の治験などが証拠として示され、「Polarus」には、「screw back-out」の問題があると指摘した。また、スクリュー式の代替品の存在をAcumed社が主張するのは禁反言に反するとStryker社は主張した。
 これについて、CAFCは、バイアスされた証言であるか否かについて考慮すべき点があるとし、公衆衛生の問題について十分な証拠は示されていないとした地裁判断を支持した。また、実施権者のジムマーのくぎなどが代替品としてあることをStryker社は認めざるを得なかった。Acumed社の主張にCAFCは同意する。

B.Stryker社はAcumed社の提出した新証拠及び新主張(時機に遅れた主張)を認めるべきでないとの申立を拒否した件について
 一般的に、裁判所は、答弁に対して相手方に反論する機会を与えずに、該答弁における新たな主張や証拠を考慮すべきでないといわれている。
 本事件では、Stryker社が提出した新たな証拠に対する応答機会をAcumed社に与えAcumed社が新たな証拠を付けて応答しているが、該Acumed社の応答に対してStryker社に書面による応答機会を与えていない。しかし、Acumed社の新たな証拠については口頭による反証機会がStryker社に与えられている。よって、地裁の決定に裁量権濫用はない。

 以上の理由により、地裁の差止請求を認める判決を支持する。
以上。

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