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May 18, 2010

Therasense Inc. v. Becton, Dickinson and Co. 2008-1511 Jan. 25, 2010

不公正行為に関する大法廷審理開始 CAFC en banc April 26, 2010

(概要)欧州特許出願の審査時に主張した内容をIDSしなかったということで、不公正行為が認定された事件について、CAFCは大法廷審理を開始することを決定しました。

対象US特許は、全血試験紙に関する発明についてのUSP5820551です。この特許の最初出願は1984年になされ拒絶と継続出願とを繰り返していた。6回目の継続出願時の審査において、出願人は「保護膜を有さない」という限定をし、引例は保護膜が必須なので本願は特許性があると主張しました。その結果、特許されました。

551特許の審査引例として挙げられたUSP4545382(A社出願)に対応する欧州特許EP0078636の審査において、別の引例が挙げられていた。この引例に対して、出願人は「保護膜は必要に応じて在ればよい」という旨の主張をしました。

地裁は、この欧州特許庁への主張内容は、米国特許庁への主張内容と矛盾し、米国特許審査に重大な影響を与える内容なのでMaterialityを有すると認定しました。また、総合的な状況判断から、騙す意図もあったと認定しました。

その結果、地裁は権利行使不能の判決をしました。その後の控訴審は地裁の判断を追認しました。

が、Therasenseが大法廷審理を申立てました。CAFCはen banc 審理の開始決定をしました。

en banc での論点は、以下のとおりです。

1)不公正行為の判断で、materiality重要性とIntent欺く意図とのバランシングは変更すべきかまたは置き換えるべきか?
2)もしそうなら、どのように変更すべきか、どのようなものと置き換えるべきか?もしそうならば、フロードまたはunclean handの適正な基準は何か?
3)Materialityの適正な基準は何か? 特許庁の規則はどのような役割を果たすべきか?不正行為であるとされる行為が無かった場合に、1以上のクレームに特許付与しなかったということが、Materialityであるために必要か?
4)Materialityから意図があったと判断するのに適正な状況とは何か?
5)materiality重要性とIntent欺く意図とのバランシングは捨て去るべきか?
6)他の連邦機関におけるmateriality重要性とIntent欺く意図の基準であろうと、コモンローに基づくmateriality重要性とIntent欺く意図の基準であろうと、それらは、特許におけるmateriality重要性とIntent欺く意図の基準を明らかにする。

以上。

(私見)

 米国特許事務所に居たときに、同様の事件に出くわしたことがあります。

 その特許は米国と欧州に出願されていた。欧州では進歩性無しに対する応答に際して、請求の範囲を限定し且つ実験成績報告書を提出した。その結果が特許になった。欧州の実験成績報告書には、米国特許請求の範囲に包含されるものが、比較例(欧州特許発明でない態様例)として提示されていた。

 米国でも、進歩性無しの拒絶を受けたのだが、別の実験成績報告書を提出して、これも特許になった。米国特許の請求の範囲は、欧州の請求の範囲に追加された限定は記載されず、広い権利範囲となった。

 このとき、今は亡き米国特許弁護士に、欧州の実験報告書の比較例データを米国特許庁に提出しないのは、不公正行為ではないのかと質問したところ、不公正行為であると主張するのには無理があると意見され、Kingsdown事件を勉強しなさいと判決文のコピーを手渡されたことを思い出しました。もう10年以上前のことです。

 Therasense事件のen bancの結論がどうなるか、監視を続けていきたいと思います。

 

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May 05, 2010

秩父 羊山公園に行ってきました。

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天然色は、癒されます。

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