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January 21, 2011

25%ルールだけに依拠することを否定

Uniloc USA, Inc. v. Microsoft Corp., 2010-1035 -- On January 4, 2011

25%ルール

事件の概要:
 U社保有のUSP5490216をM社が侵害しているとU社が提訴した。該USPはソフトウェアのコピー防止方法に関する特許である。インターネット経由でユーザー登録するときにIDを発行して、適正なユーザーかどうか判断し、適正なら、USEモードに、不適正なDEMOモードになるというもの、M社のWordなどがこれを使用しているというものである。 地裁陪審は、侵害を認定し、但し、故意侵害はないとしている。388百万ドルの賠償を命令した。
 CAFCでは、地裁判断の侵害を支持、故意侵害なしも支持。賠償額の決定法(25%ルール依拠)について差し戻した。 米国特許法 284条 有効な特許権が侵害された場合、侵害を補償するのに適切な損害賠償額を認定しなければならない。
 *遺失利益の算定には、"But For"テストが適用される。「侵害がなかったら、特許権者がどれだけ利益を上げていたか"特許権者が立証しなければならない。

 立証要件:
  1)特許製品に対する需要があること
  2)非侵害の代用品が存在しないこと
  3)需要に対する製造
および販売の能力があること
  4)侵害が無ければ得られたであろう利益  損害賠償額として、リーズナブルロイアルティを下回らない額、利子、裁判費用を、侵害者に対して請求できる旨を規定している。3倍限度として増額できる。 リーズナブルロイアルティは、「侵害時点に両者が行うであろう、仮想的交渉に基づいて定められれるであろう額」である。 

ロイアルティ額算定の考慮要素:
  1)侵害時点において市場に非侵害の代替品が存在していたか否か
  2)代替製品との競争の厳しさから特許製品の価格を維持できていたか否か  など エンタイヤーマーケットバリュールール、特許された構成部分と特許されていない構成部分から装置であるとき、装置全体の価値に基づいて計算された損害賠償額を認めるというものである。 これは、特許された構成部分が「顧客の需要の根拠」となっている場合に適用される。
 25%ルールは、リーズナブルロイアルティを定める際の一つのツールとして使われてきた。 製品の予測利益に25%を掛けたもの実施料とするものである。
  利益を予測総売上で割って、利益率(例えば、16%)を算出し、その結果に25%を掛けた率を実施料率(例えば、4%)とするものである。
 この4%を総売上げに掛けて、その額をロイアルティ額とする。  ライセンシーに残された75%= 開発、操業、販促、  利益4分法= 人、物、金、知 それぞれを4分割し、知(特許権)部分を特許権の価値とする考え方。 利益3分法= 物、金、人(知) の考え方もある。

(本事件におけるCAFCの25%ルールに対する判断) 
「25%ルールは、仮想交渉での基準実施料率を決定する手段として根本的に欠陥がある。」 損害賠償額の分析において過去のライセンス契約を使用することは適切でないという近時の他の判決を支持した。過去のライセンスで使用された実施料と本件で争点となっている特定の仮想交渉とを関係付ける実際の根拠がなければならない。抽象的かつ著しく理論的な概念としての25%ルールは、この基本的な要件を充足しない。
 損害賠償額として認定されるべき合理的な実施料の計算において専門家が用いる方法を正当化するために、事案特定の証拠が重要であることを強調した。 「抽象的かつ著しく理論的な概念としての25%ルールは、この基本的な要件を充足しない。」 「本件の事実関係とは無関係の恣意的かつ一般的な規則として25%ルール」を不適切に用いた。
 連邦地裁は、25%ルールの適用を裏付ける事案特有の具体的な事実関係がない限り、25%ルールに基づく証拠が陪審に提出されることを防止する門番的な機能を果たさなければならない。
 本事件におけるCAFCの全体市場価値ルール(「entire market value rule」)に対する判断 「主張対象特許が侵害被疑製品の需要を喚起しない場合、製品の全体市場価値を参照することは不適切である」

*参考
 “余剰収入アプローチ”とは、問題の特許技術を採用した製品が生み出す利益と、旧製品・代替品あるいは別の技術を使用する後継品など当該特許技術を使用しない同種の製品が生み出す利益とを比較して、当該特許技術の価値を計る方法。このアプローチの実施には当該製品や関係する製品の予測価格や実勢価格、売り上げ、コスト、事業計画、競合分析、利益予測といった、企業にとってセンシティブな情報の閲覧が必要になる。

*参考:日本の近時判決で注目したもの
 東京地裁 平19年(ワ)3494 102条2項に基づく損害算定。 特許権者は、特許発明を実施していない。特許発明に類する製品を製造販売している。 侵害者が特許発明に係る製品を製造販売している。
 102条2項は、損害額の推定規定であり、損害の発生までを推定する規定ではないため、侵害行為による遺失利益が発生したことの立証がない限り、適用されないものと解される。もっとも、侵害行為による逸失利益が生じるのは、権利者が当該特許を実施している場合に限定されるとる理由はなく、諸般の事情により、侵害行為が無かったならば、その分得られたであろう利益が権利者に認められるのであれば、102条2項が適用されると解すべきである。
 被告製品は、腎疾患治療薬である原告製品の後発製品として製造承認を受け販売されているものであり、被告製品が製造販売されることで新たな需要を生み出すものではなく、腎疾患治療薬の市場において原告製品と競合し、シェアを奪い合う関係にあること、球状活性炭の腎疾患治療薬における原告製品のシェアが高いことが認められ、被告製品が無かったとした場合に原告製品ではなく他の後発医薬品が売れたであろうとの事情を裏付ける証拠もない本件においては被告らによる侵害行為が無ければ得られたであろう利益が原告に認められるので、102条2項が適用されるものと解する。

 

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