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July 20, 2011

不公正行為の認定要件(MaterialityとIntent to deceive)

Therasense, Inc. v. Becton, Dickinson & Co. 2008-1511 -- On May 25, 2011 CAFC en banc判決:

 判事Rader, Newman, Lourie, Bryson, Gajarsa, Linn, DYK, Prost, Moore, O'Malley and Reyna
 
多数意見:Rader, Newman, Lourie, Linn, Moore, Reyna
 
一部賛成一部反対:O'Malley
 
少数派意見:Bryson, Gajarsa, DYK, and Prost

(大法廷における争点)

1)不公正行為の判断で、materiality重要性とIntent欺く意図とのバランシングは変更すべきかまたは置き換えるべきか?
2)もしそうなら、どのように変更すべきか、どのようなものと置き換えるべきか?もしそうならば、フロードまたはunclean handの適正な基準は何か?
3)Materialityの適正な基準は何か? 特許庁の規則はどのような役割を果たすべきか? materialityであるとするために、追及されている不適切行為ではないが、1以上のクレームに特許付与しなかったということが要求されるか?
4)Materialityから意図があったと判断するのに適正な状況とは何か?
5)materiality重要性とIntent欺く意図とのバランシングは捨て去るべきか?
6)他の連邦機関におけるmateriality重要性とIntent欺く意図の基準であろうと、コモンローに基づくmateriality重要性とIntent欺く意図の基準であろうと、それらは、特許におけるmateriality重要性とIntent欺く意図の基準を明らかにする。

(大法廷の多数派意見)

①アンクリーンハンド論(Doctrine of unclean hand)

     とんでもない不品行(Egregious misconduct)

過去の判例

 Keystone事件

出願時に先使用者の存在を知っていたが、その情報を提出しなかった。先使用者に賄賂を支払って、虚偽の宣誓供述書(affidavit)にサインさせた。⇒先使用者との贈収賄取引が判明し、unclean handとされた。

 Hazel-Atlas事件

特許弁護士が当該技術分野において本発明が先進的であることを示す文書を作成した。Clarke氏がその文章について彼自身が所持し開示した文書であるとしてサインした。地裁一審は非侵害、控訴時にClarke氏の文書を証拠として主張、地裁二審で侵害。和解によって裁判は終了したが、その後に、特許権者はClark氏に多額の支払いをしたことが明るみに出た。判決の無効を地裁に訴えた。支払いを隠匿していたことはunclean handである。

 Precision事件

抵触審査において、相手方が、着想、開示、図示、実施などの日付を虚偽に記載した供述書を提出した。抵触審査手続で、その虚偽日付を証言した。虚偽証言の事実を知りながら、和解に持ち込み、相手方から特許権を譲り受けた。その特許権に基づいて第三者を訴えた。

Intent to deceive Materiality

(混乱期)

Should have known Standard (Orthopedic 1983)

 知っていたまたは知るべきであった文献を開示しなかったことは特許庁を誤導する意図の存在を示す証拠として十分である。

Reasonable Examiners Standard 1977年版PTO Rule

 通常の審査官が特許するか否かを判断するのに重要と考えるもの=Material

Am. Hoist 1984

 Materialityが高い場合は意図が低くても不公正行為になる(Sliding Scale:意図と重要性とのバランス)

(指針)

 ・Kingsdown 1988

 その後、不公正行為主張によって権利不行使にするというのが、訴訟戦略において常套手段化。

 そこで、今回、大法廷で見直し。

③欺く意図について

  重要性だけから欺く意図を認定することはできない。

  重要性の解析とは、独立に欺く意図の評価をしなければならない。

  証拠から導きだせる、理に適った一つの推理があれば、欺く意図があったとすることはできる。

  二つ以上の推理がある場合には、欺く意図があったとはしない。

  被疑侵害者が、先に、欺く意図を明確に且つ説得力ある証拠で立証しなかったら、権利者は、善意行為であったとの反証をする必要がない。(立証責任の分担)

  重要文献不提出だけで欺く意図があったとしない。

④重要性について

  But-for Materiality Standard  もし、この非開示文献を特許庁が知っていたら特許発行しなかったであろう場合にはMaterialityがあったとする。

  裁判所において、特許無効となる文献は、Materialityがある。特許無効は、明確に且つ説得力ある証拠(Clear and Convincing Evidence)を基準としている。これに対して不公正行為におけるMaterialityは特許庁の証拠基準(preponderance of the evidence)で特許発行しないとなるものである。

  unclean hand またはegregious misconduct materiality がある。

  悪意ある行為によって特許になると信じていなかった場合には、PTOを欺こうとはしていなかった傾向がある。

  裁判所は、PTOのMaterialityの基準を適用しない。PTOの規則56Fraud Standard から Reasonable Examiner Standard へと変遷している。

  他の法域における基準でもあるBut-for test for materiality との整合性がある。

(一部賛成一部反対)

 Sliding Scaleを適用してはならない。欺く意図の立証は間接的および状況証拠から意図を推理することができる。(これらについては多数派に賛成)

「証拠から導かれる単一の理にかなった推理」を判断基準とすることについては反対。

 

(少数派意見)

 欺く意図は、怠慢(negligence)だけでは不十分。、

  Sliding Scaleを適用してはならない。MaterialityIntentとは独立に立証要。

  materialityの判断基準:PTO規則56(1992年版)

  ・prima facieケースを生じさせる文献

  ・出願人の立場と矛盾するまたは否定する文献

以上

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