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September 21, 2011

侵害誘引&寄与侵害(Intent)

Global-Tech Appliance, Inc. v. SEB S.A. 2008-1511 -- On May 31, 2011最高裁判決:

(背景)

 権利者SEB社(フランスの調理器具会社)

 被告Global社の親会社(Pentalpha:香港)がSEB社製のFryer(揚げ鍋)を購入し、外観以外はすべてSEB社製品をコピーした製品を製造した。該コピー品を米国Sunbeam社に販売する契約した。その後、Pentalpha社は米国特許侵害の有無を米国弁護士に分析依頼した。この際に、コピー品であることを告げなかった。

 米国弁護士の分析においては、SEB社の当該特許権は対象外となった。その結果、非侵害の鑑定書が提示された。

 Sunbeam社は米国でコピー品を販売したことに対してSEB社が特許侵害で訴えた。SEB社とSunbeam社間は和解金で決着した。

 その後、Pentalpha社はコピー品の改変品を製造し、再び他の米国会社に販売した。この改変品も特許侵害で差止命令が下された。

 SEB社はPentalphaに対して侵害誘引(271(b))を行ったとして訴えた。

 CAFCは、Pentalpha社は、deliberate indifference(故意あるいは計画的な無関心)の基準によって意図の有無を判断した。その結果、侵害誘引を認定した。

 Pentalpha社はこれについて最高裁に上訴した。

(侵害誘引と寄与侵害)

 米国特許法には大きく3つの侵害行為を挙げている。

  ①直接侵害271(a)

  ②侵害誘引271(b)

  ③寄与侵害271(c)

(過去の判例)

 271(b)271(c)とは、特許製品の製造、使用、販売の申出または販売をしていないが、被告の行為が十分過失があり侵害者として責任を負うべき場合に適用される。

 271(c)は、販売者が特許製品の構成部分を販売していたとき、構成部分自体は特許クレームの範囲に含まれないが、特許製品以外には用途がない場合に適用される。

 271(b)271(c)に該当する行為以外のすべての行為に適用される。

 271(b)の侵害となるには、被告は侵害となる行為を引き起こす意図(intentを持っていたことを証明されなければならない。

 271(c)の侵害となるには、被告が、1)構成部分は特定の用途のために製造されていること、2)その構成部分をその特定の用途にしようすることが特許侵害となることを知っていることが立証されなかればならない。

 また、寄与侵害となるには、被告の構成部分が特許発明の構成部分にまさしく適していなければならない。販売される構成部分が特許を侵害することにも使用され、また他の合法な使用にも適合する場合には、その構成部分の販売者を寄与侵害とするには不十分である。

(最高裁判決)

争点: 271(b)の意図とは?

 特許侵害を誘引することを意識せずに単に他者の直接侵害を積極的に誘引したことを示すだけで十分か? ×

 誘引した他者の行動が特許侵害となる危険性を実際に認識していたことを示すことが必要か? ○

 ただし、

 最高裁は271(c)271(b)とを同じ基準で判断すべきと判示し、271(c)の意図にwillful blindness(故意に目を瞑る)の基準を採用した。

 willful blindnessの基準:

 違法行為と疑われる行為が高い確率で存在することに気付いていながら、そのような違法行為を認識することを故意に避けること =違法行為が存在しないと現実に信じていない限り、実際に違法行為を認識している状態と同等視すること。

 他者の違法行為を実際に認識していたことを立証できない場合でも、willful blindnessを示すことによって、違法行為を実際に認識していたと示唆できる。

 

 willful blindnessの立証には、ある事実が高い確率で存在することを被告が主観的に信じていたこと、被告がその事実を知ることを避けるために計画的な行動をとっていたこと、が要求される。

 この立証によれば、「未必の故意recklessness(違法行為が存在するという重大かつ正当化できないリスクを単に認識していた場合)」、「過失negligence(違法行為が存在するという重大かつ正当化できないリスクが存在することを気付くべきであったが、気付かなかった場合)」を除外できる。

 

 deliberate indifference(故意あるいは計画的な無関心)の基準による場合には、誘引した他者の行為が特許侵害になるという危険性が単に認識されているだけで、侵害誘引と認定されてしまう可能性がある。また、誘引した他者の行為が持つ特許侵害としての性質について認識することを避けるために積極的な努力を払っていない場合でも、侵害誘引と認定されてしまう可能性がある。

 判決:willful blindnessの基準に基づいて判断し、侵害誘引を認定した。

(日本の間接侵害)

 101条1項&4項 専用品「にのみ用いる」

     2項&5項 発明による課題の解決に不可欠なもの

           発明の実施に用いられることを知っていた

   直接侵害を要しないとする説と、要するとする説とがある。

(ドイツの間接侵害)

 10条1項 発明の使用に適し

       その使用に当てられることを知っている

          または周囲の状況から明らかであるとき

       発明の本質的部分を

  直接侵害の恐れ、実際の直接侵害は不要

  以上

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