May 27, 2009

平成20(許)36 秘密保持命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件

平成20(許)36 秘密保持命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
平成21年01月27日 最高裁判所第三小法廷 決定 破棄自判 知的財産高等裁判所

特許法においては,「訴訟」という文言が,本案訴訟のみならず,民事保全事件を含むものとして用いられる場合もあり(同法54条2項,168条2項),上記のような秘密保持命令の制度の趣旨に照らせば,特許権又は専用実施権の侵害差止めを求める仮処分事件は,特許法105条の4第1項柱書き本文に規定する「特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟」に該当し,上記仮処分事件においても,秘密保持命令の申立てをすることが許されると解するのが相当である。

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平成20(ネ)10061 損害賠償請求控訴事件 知財高裁

民訴法6条1項によれば,「特許権…に関する訴え」については,東京地裁又は大阪地裁の専属管轄である旨が規定され,ここにいう「特許権に関する訴え」は,特許権に関係する訴訟を広く含むものであって,特許権侵害を理由とする差止請求訴訟や損害賠償請求訴訟,職務発明の対価の支払を求める訴訟などに限られず,本件のように特許権の専用実施権や通常実施権の設定契約に関する訴訟をも含むと解するのが相当である。

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April 16, 2009

最近の知財高裁における進歩性判断の傾向 ~ 阻害事由から示唆等に

平成20年(行ケ)第10096号 審決取消請求事件 平成21年1月28日判決 知財高裁

飯村判事が担当された事件で、下記のような説示が判決文においてされておりましたので、ご紹介します。

********判決文(抜粋)******

2 判断
(1) 特許法29条2項が定める要件の充足性,すなわち,当業者が,先行技術に基づいて出願に係る発明を容易に想到することができたか否かは,先行技術から出発して,出願に係る発明の先行技術に対する特徴点(先行技術と相違する構成)に到達することが容易であったか否かを基準として判断される。ところで,出願に係る発明の特徴点(先行技術と相違する構成)は,当該発明が目的とした課題を解決するためのものであるから,容易想到性の有無を客観的に判断するためには,当該発明の特徴点を的確に把握すること,すなわち,当該発明が目的とする課題を的確に把握することが必要不可欠である。

そして,容易想到性の判断の過程においては,事後分析的かつ非論理的思考は排除されなければならないが,そのためには,当該発明が目的とする「課題」の把握に当たって,その中に無意識的に「解決手段」ないし「解決結果」の要素が入り込むことがないよう留意することが必要となる。

さらに,当該発明が容易想到であると判断するためには,先行技術の内容の検討に当たっても,当該発明の特徴点に到達できる試みをしたであろうという推測が成り立つのみでは十分ではなく,当該発明の特徴点に到達するためにしたはずであるという示唆等が存在することが必要であるというべきであるのは当然である。

********************

欧州の審査基準に類似した判断をしている感じです。この基準は、特許庁の現行審査基準よりも、進歩性があるとの(権利者に有利な)判断がなされやすい傾向になるのではないかと思われます。

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November 17, 2008

平成19年(行ケ)第10304号審決取消請求事件  ~記載不備~

平成19年(行ケ)第10304号審決取消請求事件
平成20年8月6日判決言渡

ザスキーペンズアイリサーチインスティテュートインコーポレイテッド v. 特許庁長官

(概要)原告が,特許出願の拒絶査定に対する不服審判請求を不成立とした審決の取消しを求める事案
 審決は記載要件を満たしていないというものである。
 本願の請求項1は、「局所適用において有効量のアンドロゲンまたはアンドロゲン類似体,および当該アンドロゲンまたはアンドロゲン類似体を患者の眼球表面または眼の直ぐ近傍に局所的に投与するための賦形剤を含む医薬的に許容できる物質を含む,当該患者の眼の乾性角結膜炎の症状を治療する治療組成物。」である。
 医薬についての用途発明においては,一般に,有効成分の物質名,化学構造だけからその有用性を予測することは困難であり,明細書に薬理データ又はそれと同視すべき程度の記載をしてその用途の有用性を裏付ける必要がある。
 ①本願にはテストステロンを全身投与した試験方法と試験結果が記載されており,有効であったことが記載されている。ところが、眼への局所投与を行った試験結果は一切記載されていなかった。シェーグレン症候群は,眼に症状が表れるが臓器非特異的な疾患,つまり全身性の自己免疫疾患である。したがって,シェーグレン症候群における乾性角結膜炎の症状の治療のためには,当業者であれば,一般的には,全身投与を考えるものであり,本件出願日前に,全身投与で治療効果が認められれば眼への局所投与でも治療効果があると推測できるとの技術常識は存在しなかった。
 眼への局所投与による,乾性角結膜炎の症状の治療の有用性を裏付ける記載がなされているとは到底認めることができない。
 ②本件出願日前には,眼への局所投与は知られておらず,当業者は,一般的には,全身投与を考えるものであるから,慣用的なプロトコルでアンドロゲンまたはアンドロゲン類似体の有効量を容易に決定できない。また,上記のとおり,眼への局所投与におけるアンドロゲンまたはアンドロゲン類似体の有効量がどのような量かということは当業者の技術常識ではない。
 「局所適用において有効量のアンドロゲンまたはアンドロゲン類似体」を,当業者が,本願明細書の記載と技術常識に基づいて容易に選定し,本願発明を容易に実施することはできない。
 知財高裁は、審決を支持した。 以上。

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November 10, 2008

Obviousness(MPEPの2141~2146)

35 U.S.C. 103. Conditions for patentability; non-obvious subject matter.
(a)A patent may not be obtained though the invention is not identically disclosed or described as set forth in section 102 of this title, if the differences between the subject matter sought to be patented and the prior art are such that the subject matter as a whole would have been obvious at the time the invention was made to a person having ordinary skill in the art to which said subject matter pertains. Patentability shall not be negatived by the manner in which the invention was made.
(b)(1)Notwithstanding subsection (a), and upon timely election by the applicant for patent to proceed under this subsection, a biotechnological process using or resulting in a composition of matter that is novel under section 102 and nonobvious under subsection (a) of this section shall be considered nonobvious if-
  (A)claims to the process and the composition of matter are contained in either the same application for patent or in separate
applications having the same effective filing date; and
  (B)the composition of matter, and the process at the time it was invented, were owned by the same person or subject to an obligation of assignment to the same person.
(2)A patent issued on a process under paragraph (1)-
  (A) shall also contain the claims to the composition of matter used in or made by that process, or
  (B)shall, if such composition of matter is claimed in another patent, be set to expire on the same date as such other patent, notwithstanding section 154.
(3)For purposes of paragraph (1), the term “biotechnological process” means-
  (A)a process of genetically altering or otherwise inducing a single- or multi-celled organism to-
   (i)express an exogenous nucleotide sequence,
   (ii)inhibit, eliminate, augment, or alter expression of an endogenous nucleotide sequence, or
   (iii)express a specific physiological characteristic not naturally associated with said organism;
  (B)cell fusion procedures yielding a cell line that expresses a specific protein, such as a monoclonal antibody; and
  (C)a method of using a product produced by a process defined by subparagraph (A) or (B), or a combination of subparagraphs (A) and (B).
(c)(1) Subject matter developed by another person, which qualifies as prior art only under one or more of subsections (e), (f), and (g) of section 102 of this title, shall not preclude patentability under this section where the subject matter and the claimed invention
were, at the time the claimed invention was made, owned by the same person or subject to an obligation of assignment to the same person.
(2)For purposes of this subsection, subject matter developed
by another person and a claimed invention shall be deemed to have been owned by the same person or subject to an obligation of assignment to the same person if —
  (A)the claimed invention was made by or on behalf of parties to a joint research agreement that was in effect on or before the date the claimed invention was made;
  (B)the claimed invention was made as a result of activities undertaken within the scope of the joint research agreement;
and
  (C)the application for patent for the claimed invention discloses or is amended to disclose the names of the parties to the joint research agreement.
(3)For purposes of paragraph (2), the term “joint research agreement” means a written contract, grant, or cooperative agreement entered into by two or more persons or entities for the performance of experimental, developmental, or research work in the field of the claimed invention.

2141 >Examination Guidelines for Determining Obviousness Under< 35 U.S.C. 103**
このガイドラインでは、103条のObviousnessの判断を適切になすために、KSR事件における最高裁判決の観点からObviousnessの理由付け(論拠)を提供する。
ただし、このガイドラインは法律的効果を持つものではない。

Ⅰ KSR判決とObviousnessの法理
最高裁のKSR判決は、従来からの概念であるGraham基準を再確認した。連邦裁がTSMテストを硬直した形式的な適用をしたという誤りを犯していたと最高裁は述べている。
具体的に、最高裁は連邦裁が次の4つの誤りを犯したと指摘している。
1)裁判所および審査官は特許権者が解決を試みた課題だけを見るべきであるということで、
2)課題の解決を試みる当業者は、同じ課題を解決するために書かれた従来技術だけによって導かれるとする仮定をしたことで、
3)構成の組み合わせにすることが自明であるということを証明するだけでは特許クレームを自明としないということで、
4)”後知恵hindsight”によって拒絶してしまうという裁判所および審査官の危険性を過度に強調したことで、
  結果的に通常の感覚に基づく事実認定を否定する剛直な予防ルールを適用することになった。

最高裁は従来技術の組み合わせに係る発明のObviousnessについて、Graham判決以降の3つの判決を挙げている。
1)United States v. Adams : 特許クレームが従来技術において既に知られた構造の一部を、他の技術分野で知られている構成で置き換えただけのものである場合には、その組み合わせで予測される結果を超える結果が無い。
2)Anderson's Black Rock, Inc. v. Pavement Salvage Co.: 二つの公知の構成を組み合わせたものは、それらを分離したものまたは並べたものを超えていな。
3)Sakraida v. AG Pro, Inc.: 従来構成を単に組み合わせただけで、それら構成それぞれが、単独でなされる作用機能と同じ作用機能をなすだけで、組み合わせたことにより予測される効果を超えていない。
これらはObviousnessである。

Ⅱ Graham判決の基本-事実審理
Graham判決において下記のようなObviousnessの事実審理の方式が示された。
  A) 先行技術の範囲と内容の決定
  B) クレームされた発明と先行技術との相違点の確定
  C) 当技術分野の通常知識レベルの決定
そして、これら事実審理に基づいてObviousnessを決定するべきとしている。

A 先行技術の範囲と内容の決定
  ①審査官は出願明細書から発明者が何を発明したかを理解する。そして、出願明細書の記載から、最も広い道理に適った解釈をしてクレームの範囲を決定する。  ⇒クレーム解釈の手法
  ②先行技術の調査
   何を調べるか; クレームから予測される物(物質、機械)が包含されるものを調べる
   どこを調べるか; 先行技術は出願発明の技術領域とそれに関連する技術領域を調べる。連邦裁の誤り1)2)に陥らないこと。

B クレームされた発明と先行技術との相違点の確定
  発明と先行技術とを全体的に(as a whole)捉えて考慮する。

C 当技術分野の通常知識レベルの決定
   当技術分野の通常知識レベルを有する者として、仮想的な当業者を設定する。
その設定において考慮される因子は、下記のようなものである。
  (1) “type of problems encountered in the art;”  直面した課題の種類
  (2) “prior art solutions to those problems;”  従来技術における問題解決策
  (3) “rapidity with which innovations are made;”  革新の速さ
  (4) “sophistication of the technology; and”  技術の高度(精巧)さ
  (5) “educational level of active workers in the field. 直接に関る人々の教育水準
さらに、審査官の個人的な知識を加味することができる。

Ⅲ 103による拒絶をサポートする理由付け
先行技術は文献だけに限らない、当業者の知識である。
先行技術文献においてクレームのすべての構成を教示または示唆している必要はないが、クレーム発明と先行技術との相違が自明であるとの理由を審査官は説明しなければならない。単に相違があるというだけで非自明となるわけではない。
Obviousnessの決定はすべての事実を考慮して行う。TSMによる理由付けで拒絶してもよいが硬直した適用には注意すべきである。
理由付けの例として以下のものを挙げている。
(A)公知の方法に従って先行技術を組み合わせ予測された結果が得られた。
(B)ある公知の技術を他の公知技術に単に置換え予測された結果が得られた。
(C)類似装置、方法または物質の改良のために使われる公知の技法を同じように使用。
(D)公知の装置、方法または物質に公知技術を改善を期待して適用し予測された結果が得られた。
(E)「Obvious to try」 有限数の予測可能な特定解から選択し、成功にほどほどの期待がある。
(F)ある目的を目指した分野で知られた研究が、もし、変形が当業者においてありふれていたら、設計の動機または他の市場力の基に、同じ分野または異なる分野で使用するための変形を促すかもしれない。
(G)先行技術文献を修正または先行技術文献の教えを組み合わせることを、先行技術において教示、示唆、または動機付けがあり、クレームされた発明に到達する。

Ⅳ 出願人の応答
審査官がGraham事実審理を行い、自明であるとの認定に至ったときには、
(A)認定に誤りがあること、および(B)クレーム発明が非自明であるとの他の証拠を示す、責任は出願人に移る。
出願人の応答は、理由を付けなければならない。prima facie自明は成り立たない若しくは書証に基づいていないなどを単に主張するだけでは、実質的な応答(反証rebutment、否認/抗弁traverse)にならない。審査官は同じ拒絶を繰り返すだけである。

Ⅴ 出願人の反論証拠の考慮
反証が提出されたら、それを加味して、審査官は、総合的に再審理する。反証には、商業的成功、長期未解決課題、非予測的結果などの二次的考慮の資料を含む。
反論証拠の例として以下のものが挙げられる。
(A)当業者は公知の方法ではクレームされた構成の組み合わせにすることができなかった(技術的困難など)。
(B)構成が組み合わされたものは、それら構成単独でなす作用機能を単になすものでない。
(C)クレームされた組み合わせによる結果が予測できないものであった。

2141.01 Scope and Content of the Prior Art
Ⅰ 102条の先行技術は103条の先行技術になる

Ⅱ 先行技術の実質的内容
   動作不能な装置の利用可能性、先行技術が実施可能である程度、具体例ではなくそれより広い範囲の開示、自白などが考慮される。

Ⅲ 後知恵を防ぐために発明時基準で先行技術の内容を確定する。

Ⅳ 103(C)適用の条件
  先行技術が102(e)、(f)、(g)の場合には、発明した時に、クレーム発明が、同一者に所有されていたか、同一者に譲渡する義務があったことを証明することができる。

2141.01(a) Analogous and Nonanalogous Art
Ⅰ 103条の文献は、類似先行技術文献でなければならない。異なる技術分野のものであっても類似技術であれば103の文献として適正である。

Ⅱ 構造や機能が同様のものと、相違するものとに文献を分類する。

Ⅲ 化学分野での類似性
例1:発明:プロピオン酸をverxiteに吸収させたものを含む動物性食品の保存に適した組成物
    先行:担体に生物学的活性物質を吸収させたものが開示された文献
例2:発明:PTFEのチューブに炭化水素燃料を流すことで発生する静電気を防ぎ、燃料の漏れも防ぐ
    先行:ゴムホース 燃料を流すことによって発生する静電気防止が課題
例3:発明:染色浸透標記の改良および固定化が課題
    先行:カラー画像を得るために染料と現像物質を使用することを教示

Ⅳ 機械分野での類似性
例1:発明:特殊な毛の配置をしたヘアブラシ
    先行:歯ブラシ
例2:発明:交換バルブの取り外しが容易な複動高圧ガス変換圧縮器
    先行:複動ピストンポンプ、複動ピストン圧縮器
例3:発明:計器用マーカーペン本体 ペンアーム保持手段がヒンジ部と一体成形されている。
    先行:ヒンジ、ファスナー
例4:発明:ブレーキ部材
    先行:クラッチ

Ⅴ 電気分野での類似性
例1:発明:心臓ペースメーカー 高周波パルスによる機能不良(暴走)を防ぐ
    先行:高出力高周波装置における回路 発振器からのパルスによる暴走を防ぐ

Ⅵ デザイン分野での類似性の例(省略)

2141.02 Differences Between Prior Art and Claimed Invention
Ⅰ クレーム発明全体で考慮する
  本発明と先行技術との相違を決定するにあたり、103条は相違点が自明であったかどうかではなく、発明全体として自明であるか否かを考慮する。

Ⅱ 趣旨または目的によって発明を分説することは、全体考慮の要件を無視することになる。

Ⅲ 問題の根源/理由の発見は全体考慮の一部
  問題の根源(source)の発見は非自明の根拠となることがある。
  問題の理由(cause)の発見は必ずしも非自明の根拠とならない。

Ⅳ 問題の根源の発見を主張する出願人は具体的な証拠を提示しなければならない。
   実施例&比較例、実験証明書

Ⅴ 見出した本来的特性は全体考慮の一部
   審査官は先ず総合的に発明の範囲に線引きをする。この線引きにおいては、クレームに記載された文言だけでなく、明細書に記載された特性または本来的な特性に注意を向ける。
  たとえ、物の本来的特性が後に明らかになったとしても、発明時に知られていなかったことに基いて、自明と断定することはできない。
 obviousness based on inherentは発明時が基準。
 Anticipation base on inherentは後に明らかになったものでも適用可。

Ⅵ 先行技術は、クレーム発明から離れる(Teach away)開示を含むそのままで総合考慮しなければならない。 Teach awayの部分を無視して他の部分だけから自明とすることはできない。

2141.03 Level of Ordinary Skill in the Art
Ⅰ 考慮される因子は、下記のようなものである。
  (1) “type of problems encountered in the art;”  直面した課題の種類
  (2) “prior art solutions to those problems;”  従来技術における問題解決策
  (3) “rapidity with which innovations are made;”  革新の速さ
  (4) “sophistication of the technology; and”  技術の高度(精巧)さ
  (5) “educational level of active workers in the field. 直接に関る人々の教育水準
さらに、審査官の個人的な知識を加味することができる。

Ⅱ 特定のレベルを明示する必要はない

Ⅲ 確定した基準は維持しなければならない。

2142 Legal Concept of Prima Facie Obviousness
審査官が先ずObviousnessついての立証責任を負うが、審査官がPrima Facie Obviousnessによる拒絶をした場合には、立証責任が移動し、出願人は非自明であることを主張立証しなければならなくなる。このように立証責任を分担することで、審査資料を収集し、事実関係を明らかにして、それら資料全体を検討して結論を導くようになっている。

2143 >Examples of< Basic Requirements of a Prima Facie Case of Obviousness
Obviousnessを支持することができる理由付け
(A)公知の方法に従って先行技術を組み合わせ予測された結果が得られた。
例1: 本発明:アスファルト舗装装置 側面にバーナー設置。連続舗装を行うため
 先行文献:アスファルト舗装装置 継をするためにアスファルトを柔らかくするためのバーナーが設置。
例2: 

(B)ある公知の技術を他の公知技術に単に置換え予測された結果が得られた。
例1: 本発明:コーヒー豆の脱カフェイン方法 油にカフェインを吸収させ、蒸留法によって油からカフェインを除去
   背景技術:油にカフェインを吸収させ、水抽出法によって油からカフェインを除去
   先行技術:コーヒー豆を油に入れ、そのまま蒸留して脱カフェインする方法
例2: 
例3:
例4:

(C)類似装置、方法または物質の改良のために使われる公知の技法を同じように使用。
例1: 
例2: 本発明:基礎に打ち込む螺旋アンカーと、アンカー上に荷重を伝えるための金属ブラケットとからなるシステム
  先行技術:螺旋アンカー
  先行技術:アンカーに基礎の荷重を伝えるためのコンクリート製迫腰
  先行技術:基礎に埋め込むためのプッシュ橋脚 橋脚には金属ブラケットを用いることを提示、金属ブラッケトでプッシュ橋脚に荷重を伝える。
(D)公知の装置、方法または物質に公知技術を改善を期待して適用し予測された結果が得られた。
例1: 
例2:
例3

(E)「Obvious to try」 有限数の予測可能な特定解から選択し、成功にほどほどの期待がある。
例1:
例2: 本発明:医薬オキシブチニンの徐放性を24時間を超える特定の徐放速度で規定したもの
   従来技術1、水溶性医薬の徐放性製剤 水溶性医薬としてオキシブチニンも含まれることを開示
   従来技術2、オキシブチニンの徐放製剤、本発明とは異なる徐放速度
   従来技術3、24時間を超える医薬の放出(delivery)のための方法 医薬にはオキシブチニンが含まれることを開示、ただ、オキシブチニンに適用したことは非開示。
例3:

(F)ある目的を目指した分野で知られた研究が、もし、変形が当業者においてありふれていたら、設計の動機または他の市場力の基に、同じ分野または異なる分野で使用するための変形を促すかもし れない。
例1:
例2:
例3:

(G)先行技術文献を修正または先行技術文献の教えを組み合わせることを、先行技術において教示、示唆、または動機付けがあり、クレームされた発明に到達する。

2143.01 Suggestion or Motivation to Modify the References
Ⅰ. クレーム発明の望ましい状況を暗示〔提案〕
 
Ⅱ. 各先行技術の提案が矛盾する場合
     発明との関係の近さ、強さを考慮

Ⅲ. 先行技術の組合せまたは修正できるというだけの場合
Ⅳ. 当業者の技術の将来性の内にあるというだけの場合

 組合せや修正には論理的理由付けが必要。

Ⅴ. 提案された修正が、意図した目的に対して不十分である場合
 本発明:フィルターの底端に血液の入口と出口があり、フィルターの頂部にガスベントがある血液フィルター装置
 先行技術:汚れや水をガソリンから取り除くための液体ストレーナー;入口と出口が装置頂部にあり、汚れ等を抜き出すための閉止弁が底にある。分離は重力によって行われる.先行技術のものを逆さまにすると本発明と同じ構成になる。

Ⅵ. 提案された修正は、先行技術の操作原理を変えてしまう場合。
 本発明:オイルシール; 弾性シール部材に挿入された弾性バネ指が偏って外側に穴開き部が有る。
 先行技術:オイルシール; 筒状メタルケースで補強された穴開き部が有る。

2143.02 Reasonable Expectation of Success Is Required
Ⅰ 理に適った予測ができる場合は自明
Ⅱ 出願人は予測が理に適わないことを立証できる。
Ⅲ 予測可能性は発明時を基準にする。

2143.03 All Claim Limitations Must Be **>Considered<
 クレームの用語はすべて考慮対象とする。
Ⅰ 不明瞭な用語も考慮対象にする。
  2つ以上の意味が導き出せる用語について、そのうちの一つの意味で用語解釈して先行文献との関係で特許性が無いとすることができる。
Ⅱ 明細書にサポートの無い用語も考慮対象にする。
   除外クレーム

2144** Supporting a Rejection Under 35 U.S.C. 103

 Ⅰ 科学法則などで補足できる。
 Ⅱ 明示的な理由が文献に記載されている場合は
 Ⅲ 類似事件にだけ判例(LegalPrecedent)の適用可
 Ⅳ 出願人の考えた論理付けと異なる論理付け可

2144.01 Implicit Disclosure (間接的開示)
 
2144.02 Reliance on Scientific Theory
 科学原理に依拠
2144.03 Reliance on Common Knowledge in the Art or “Well Known” Prior Art
 A 書証によらずに拒絶理由通知できる場合
    瞬時に疑いない慣用技術、周知技術
 B 書証によらない場合は、明白に誤りない理由を付さなければならない。
 C 出願人が反証した場合、次の通知において書証を提示しなければならない。
 D NewIssueまたはNewGroundRejectionに成らない限り次の通知は「最後(final)」となる。

2144.04 Legal Precedent as Source of Supporting Rationale
 Ⅰ 感覚的な(美的)設計変更
 Ⅱ 工程または要素及び機能の除去
   A 要素の機能が望まれていない場合にその要素またはその機能を省略すること
   B 要素の機能を維持して要素を省略すること
 Ⅲ 手動操作を自動化
 Ⅳ 大きさ、形状または成分の添加順序の変更
   A 大きさ又は比率の変更
   B 形状の変更
   C 成分の添加順序の変更
              new or unexpected result
 Ⅴ 携帯可能化、集合可能化、分離可能化、調整可能化、連続化
   A 携帯可能化
   B 集合可能化
   C 分離可能化
   D 調整可能化
   E 連続化
              new or unexpected result
 Ⅵ 部品の 反転、重複、再配列
   A 部品の反転
   B 部品の重複
   C 部品の再配列
              new or unexpected result
 Ⅶ 従来品(化学物質等)の高純度化
  考慮因子:
    化学物質の用途
    化学物質の形態または構造
  例:本発明; 化合物Aの結晶
    先行技術; 化合物Aの粘性液 結晶化については非開示
  例:本発明; 分子量12000超の蛋白 同質になるまで精製したもの
    先行技術;望ましい状況として精製することが記載されていた。同様の精製方法が開示

2144.05 Obviousness of Ranges
  Ⅰ 数値範囲重複
  例: 本発明; 5%超(more than 5%)の一酸化炭素濃度
    先行技術; 約1~5%の一酸化炭素濃度
  例: 本発明; 保護フィルムの厚さ 50~100Å
    先行技術; 好適な保護フィルムの厚さ 約10nm以上

  例: 本発明; 合金(0.8%ニッケル、0.3%モリブデン、~0.1%鉄、残りチタン)
    先行技術; 合金(0.75%ニッケル、0.25%モリブデン、残りチタン)
          合金(0.94%ニッケル、0.31%モリブデン、残りチタン)

  例: 本発明; 3穴の板
    先行技術; 1穴の板
          2穴の板
          4穴の板

  Ⅱ 数値範囲最適化
    A 先行技術条件の範囲内または繰り返し実験を通しての最適化
   境界値が臨界性(critical)あることの立証
    B 結果有効価値(Result-Effective Variable)だけを最適化
   例: 本発明;  浄化槽  槽容量/敷設面積=0.12gal./sq.
     先行技術;  浄化槽  槽容量/敷設面積が処理量に影響することに気づいていなかった。

  Ⅲ Prima Facie Obviousnessへの反論
         criticality
         new or unexpected result

2144.06 Art Recognized Equivalence for the Same Purpose
  Ⅰ 均等物との組合せ
   例: 同じ目的を成すことが分かっている均等物を第三成分として追加
  Ⅱ 均等物との置き換え
   例: 本発明; 写真現像剤 セレニウム
     先行技術; 写真現像剤 フタロシアニン
           電子写真現像において同じ目的でフタロシアニンとセレニウムとを使用

2144.07 Art Recognized Suitability for an Intended Purpose
   最適材料の選択
    求められる目的に合う材料を公知物質の中から選択することはジグソーパズルの最後のピースを嵌めるために最後のピースを探すことよりも独創的でない

2144.08 Obviousness of Species When Prior Art Teaches Genus
   Ⅰ 単一引例に基ずく、化合物の種(Species)についての審査は
   Ⅱ 発明時基準
    A Prima Facie Obviousness
     (A)先行技術の範囲内容を確定する。
  (B)争点となるクレーム発明と先行技術との相違点を確かめる。
    (C)当業者の技術レベルを確定する。
  (D)二次的考慮事項を評価する。
    Prima Facieでは立証責任が出願人に移る。
  1. 先行技術の範囲内容を確定する。
         以下の点を先行技術の中から抽出する。
  (a)属(genus)の構造、明示された種(species)または副属(subgenus)の構造
  (b)開示された属の物理的又は化学的特性および用途、
   属の有用性について提案、
   属が取り組むと主張する課題
  (c)技術の予測性
  (d)族に属する種の数、変形可能な態様

   2. 争点となるクレーム発明と先行技術との相違点を確かめる。
     3. 当業者の技術レベルを確定する。
   4. 当業者が動機付けられるか、選択するかを確定する。
  (a)先行技術の属の大きさを考慮
   属に属する種の具体的開示の数
        (b)明示的教示を考慮
   選択理由の開示
  (c)構造的共通点の教示を考慮
   物理的または化学的特性の共通点
  (d)類似特性及び用途の教示を考慮
  (e)技術の予測性の考慮
  (f)種の選択における他の教示の考慮
  5. 最終判断
   全体を考慮

2144.09 Close Structural Similarity Between Chemical Compounds (Homologs, Analogues, Isomers)
 相同物(同族体)、類似物(同類物)、異性体
Ⅰ 構造に共通点のある化合物は共通の特性を示すであろうとの予測性による拒絶
Ⅱ 相同物または異性体は他の関連事項を考慮して自明であるとの決定をする。
Ⅲ 真の相同または異性体の関係が存在する必要はない。 構造の共通性
  Ⅳ クレーム化合物の製法を先行技術が提示しているか否かは、自明性判断に影響する。
       クレーム化合物の製法が示唆されていない場合には  ??。
       クレームされた新規化合物に対して、類似化合物の製法が先行技術に記載されている場合には、??
Ⅴ 構造の共通性から特性の共通性が予測できることを基にした拒絶は、共通特性の予測が理に適っていないことを示せば克服できる。
Ⅵ 先行文献開示の化合物に具体的な用途がない場合または反応中間体としての用途しか開示していない場合には、他の理由が無い限り、クレームされた類似構造化合物に対してPrima Facie Obviousはできない。
Ⅶ より優れた又は非予測的結果を示す証拠による反論

2145 Consideration of Applicant's Rebuttal Arguments
  Ⅰ 証拠が必要な場合に、代理人の主張は??
  Ⅱ 先行技術中の追加的優位性または潜在的特性を単に認めることは??
  Ⅲ 先行技術開示のものが物理的に組み合わせられないという主張は??
  Ⅳ 先行技術を個別に反論??
  Ⅴ 組み合わせる先行技術の数に関する主張  ??
  Ⅵ クレームにない要素を主張  ??
  Ⅶ 実用上の実行不可能性を主張  ??
  Ⅷ 先行文献の開示時期に関する主張  ??
  Ⅸ 先行文献の非類似性に関する主張 ??
  Ⅹ 先行技術の組合せの論理付けの不適切さに関する主張
A 後知恵
B Obvious to try
C 組合せの動機付けが無い
D Teach away
  1. 例 本発明: エポキシ樹脂からなる回路基板
  先行文献: ポリエステルイミド樹脂からなる回路基板、
  エポキシ樹脂からなる回路基板は安定性と柔軟性を持つが、ポリエステルイミド樹脂からなる回路基板に比べると劣るとの記載。?
  2. 文献が組み合わせることに反対の教示をしているときは、
  3. 反対向きの知恵
  本発明 127℃でジフェニルスルホンをスルホン化する方法
        先行技術 低温で最適な反応が可能 高温では収率低下する。 ??

2146 35 U.S.C. 103(c)
  2004年12月10日以降に容認された全特許
  1999年11月29日以降に提出された出願
  2004年12月10日以降に係属中の出願
  

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Anticipation(MPEP2131)&Inherent(MPEP2112)

MPEPでは、AnticipationとObviousnessはどのように扱われているのか。

InherentはMPEPの2112に、その基準が記載されている。
Anticipationは MPEPの2131に、その基準が記載されている。
Obviousnessは MPEPの2141に、その基準が記載されている。

そこで、それらを順次紹介する。

Anticipation(MPEP2131)

35 U.S.C. 102. Conditions for patentability; novelty and loss of right to patent
A person shall be entitled to a patent unless
(a)the invention was known or used by others in this country,
or patented or described in a printed publication in this or a foreign country, before the invention thereof by the applicant for a patent, or
(b)the invention was patented or described in a printed publication
in this or a foreign country or in public use or on sale in this country, more than one year prior to the date of application for patent in the United States, or
(c)he has abandoned the invention, or
(d)the invention was first patented or caused to be patented, or was the subject of an inventor’s certificate, by the applicant or his legal representatives or assigns in a foreign country prior to the date of the application for patent in this country on an application for patent or inventor's certificate filed more than twelve months before the filing of the application in the United States, or **>
(e)the invention was described in — (1) an application for patent, published under section 122(b), by another filed in the United States before the invention by the applicant for patent or (2) a patent granted on an application for patent by another filed in the United States before the invention by the applicant for patent, except that an international application filed under the treaty defined in section 351(a) shall have the effects for the purposes of this subsection of an application filed in the United States only if the international application designated the United States and was published under Article 21(2) of such treaty in the English language;or<
(f)he did not himself invent the subject matter sought to be patented, or
(g)(1)during the course of an interference conducted under section 135 or section 291, another inventor involved therein establishes, to the extent permitted in section 104, that before such person’s invention thereof the invention was made by such other inventor and not abandoned, suppressed, or concealed, or (2) before such person’s invention thereof, the invention was made in this country by another inventor who had not abandoned, suppressed, or concealed it. In determining priority of invention under this subsection, there shall be considered not only the respective dates of conception and reduction to practice of the invention, but also the reasonable diligence of one who was first to conceive and last to reduce to practice, from a time prior to conception
by the other.

2131 Anticipation (便宜上、「新規性が無い」と表現する。)— Application of 35 U.S.C. 102(a), (b), and (e)
新規性がないとするためには、単一の先行技術文献に特許発明の構成がすべて明示的または実質的に記載されていなければならない。
 Anticipation≠Novelty

2131.01 Multiple Reference 35 U.S.C. 102 Rejections
下記の場合には複数の引用文献を挙げることができる。
(A)クレームされた組成物または機械と同じようなものが一の文献に記載されているときに、その一の文献に記載のことが、使用可能な開示であることを示すための別の文献
(B)一の文献で使用されている用語またはフレーズの意味を説明する(拡張するためではなく)ために使用する文献
または、
(C)一の文献に、あるものが本来持っている特性について記載がないときに、その欠如を埋めるため(該特性を持っていることの証明のため)に提出する文献。 なお、Inherent Anticipationは、本来的特性が発明時に知られていなくても、適用される。  Inherency⇒2112

2131.02 Genus-Species Situations
もし先行文献にクレーム記載の属に含まれる種が記載されていたら、属のクレームは許されない。
属の開示があっても該属に含まれる種のクレームが必ずしも許されないということではない。
種の名が明確に指定されていたときは、他の種の名がたくさん示されていても、新規性に関係ない。
名前の記載が無いある化合物(種)を、一般化学式から瞬時に連想できる(“AT ONCE ENVISAGED”)ときは、該種は該化学一般式によって新規性がない。(一般化学式から非常に多数の化合物が連想される場合は、ある種について新規性がないとは言い切れない。)

“clearly envisaging”とは、
例:当業者が一般化学式に含まれる化合物の構造式を描けまたは化合物名を書けなければならない。(一般化学式から瞬時に連想できる前に、)
例:先行文献に一般化学式のX,Y,Z,P及びR'がHまたはアルキルラジカル、RがOH基を有する側鎖であると開示されていた。先行文献は広漠とした無限数に近い化合物を含んでおり、7-メチル-9-[d,1'-リビチル]-イソアロザジンはAnticipationではない。
先行文献にさらにX,P及びR'がH、Y及びZがH又はメチル、Rが8つの特定イソアロザジンが好ましいと記載されている。
この限定は20個の化合物になり、各化合物の構造が描けまたは名を書けるに十分。
例:先行文献の塩化又は臭化アルカリ溶液は、次亜塩素酸アルカリ金属塩に対して      。
例:濃度98%硫酸を使ってアラミド繊維を製造する発明は、濃度98%と記載の無かった硫酸を使ってアラミド繊維を製造する先行文献によって     。(但し、    )

2131.03 Anticipation of Ranges
Ⅰ 先行文献の一実施例がクレームされた数値範囲内の数値を持つ場合はAnticipationである。
例:クレーム合金 Ti、Ni0.6-0.9%、Mo0.2-0.4%
   先行合金 Ti、Ni0.75%、Mo0.25%          。

Ⅱ 先行文献記載の数値範囲がクレームされた数値範囲を包含または重複している場合に、もし先行文献において十分な具体性“SUFFICIENT SPECIFICITY”を持ってそれを開示しているときはAnticipationである。この場合102/103をセットで拒絶を通知する。“sufficient specificity” は “clearly envisaging”に類似する概念である。
クレームされた数値範囲が先行技術に開示されている数値範囲と重複または包含されているが、クレームの数値範囲に包含される具体例の記載が先行技術にない場合、ケースバイケースで判断される。
例:先行文献 温度100-500℃、好ましくは150-350℃
   クレーム発明 温度330-450℃

Ⅲ 先行文献記載の数値範囲はクレームされた数値範囲に非常に接近しているが重複してない場合、Anticipationではない。

2131.04 Secondary Considerations
非予測的効果や商業的成功は102のAnticipationと関係がない。

2131.05 Nonanalogous or Disparaging Prior Art
先行技術が非類似の技術である、先行技術は本願発明とは異なる方向(teach away)に教示している、または本願発明で解決される問題を解決することに先行技術が気づいていないなどの主張はAnticipationに関係しない。
例:先行文献が、発明をけなしているdispraise場合、該発明は
例:先行文献に任意成分として記載されている場合、該成分を含む組成物は
例:通気は意味が無いと記載している先行文献に対して、十分な通気を要件とするクレーム発明は

(参考)
2132 35 U.S.C. 102(a)
2132.01 Publications as 35 U.S.C. 102(a) Prior Art
2133 35 U.S.C. 102(b)
2133.01 Rejections of Continuation-In-Part (CIP) Applications
2133.02 Rejections Based on Publications and Patents
2133.03 Rejections Based on “Public Use” or “On Sale”
2133.03(a) “Public Use”
2133.03(b) “On Sale”
2133.03(c) The “Invention”
2133.03(d) “In This Country”
2133.03(e) Permitted Activity; Experimental Use
  2133.03(e)(1) Commercial Exploitation
  2133.03(e)(2) Intent
  2133.03(e)(3) “Completeness” of the Invention
  2133.03(e)(4) Factors Indicative of an Experimental Purpose
  2133.03(e)(5) Experimentation and Degree of Supervision and Control
  2133.03(e)(6) Permitted Experimental Activity and Testing
  2133.03(e)(7) Activity of an Independent Third Party Inventor
2134 35 U.S.C. 102(c)
2135 35 U.S.C. 102(d)
2135.01 The Four Requirements of 35 U.S.C. 102(d)
2136 35 U.S.C. 102(e)
2136.01 Status of U.S. Patent as a Reference Before and After Issuance
2136.02 Content of the Prior Art Available Against the Claims
2136.03 Critical Reference Date
2136.04 Different Inventive Entity; Meaning of “By Another”
2136.05 Overcoming a Rejection Under 35 U.S.C. 102(e)
2137 35 U.S.C. 102(f)
2137.01 Inventorship
2137.02 Applicability of 35 U.S.C. 103(c)
2138 35 U.S.C. 102(g)
2138.01 Interference Practice
2138.02 “The Invention Was Made in This Country”
2138.03 “By Another Who Has Not Abandoned, Suppressed, or Concealed It”
2138.04 “Conception”
2138.05 “Reduction to Practice” 2138.06“Reasonable Diligence”

Inherency:**********************************
2112 Requirements of Rejection Based on Inherency; Burden of Proof
明示(express)、暗示(implicit)および本来生得的(inherent)な開示は102および103の先行技術になる。

Ⅰ 従来品について新しい特性、用途、機能を発見しても特許にならない。

Ⅱ 本来的特性等は発明時に気づいていたものである必要はない。
  発明後に見つかった特性であっても本来的特性等であることに変わりない。

Ⅲ 先行文献において本来的特性について言及がなくとも、該先行文献記載の技術と同一の発明に対しては102および103による拒絶をすることができる。

Ⅳ 審査官は本来的開示であることの論理または証拠を示さなければならない。
  蓋然性または可能性ではInherencyには成らない。
  例えば、ある製品を最適化すればその特性になるというのはInherentではない。
  クレームされた特性限定された組成物と、同じ組成の組成物が先行文献に開示されていた場合には、先行文献の組成物のInherentに基づく拒絶を受ける可能性がある。

Ⅴ 先行文献に開示された製品が実質的に同じであることを拒絶の基礎となし、そして審査官が本来的開示の疑いありとの証拠または理由を示した場合には、非自明な相違点があること(先行文献の製品がクレームした特性を持っていないことの証拠または理由)を示す責任が出願人に移る。
例えば、合金は組成が同じでも特性が異なることがある。この場合は、出願人は立証要。
製法規定の製品(Product by Process)の特許について、審査官が先行文献記載の製品と同じとなる疑いありの拒絶をした場合には、出願人に相違点があることを示す責任が移る。
 立証責任の負担はPrima Facie Obviousnessの拒絶も同様。

2112.01 Composition, Product, and Apparatus Claims
Ⅰ Product, and Apparatus Claims
  先行文献に開示された構造または組成が、特性や機能で限定されたクレーム発明の構造または組成と実質的に同じである場合は、Inherentであると推定する。
  同じ製造法で得られたものも、Inherentであると推定する。 →Prima Facie Case

Ⅱ Composition Claims
  化学組成物が物理的に同じである場合は同じ特性を持っているに違いないので、Inherent。

Ⅲ Product Claims
印刷物に開示された製品の機能がクレーム製品に関係のないものであっても、先行製品とクレーム製品とを区別することはできない。
例:クレーム発明のキットが説明書と緩衝材を必要とするものであるとき、先行文献にキットが説明書と緩衝材を含むことが記載されていれば、説明書の内容がクレーム発明のものと異なっていてもInherentである.

2112.02 Process Claims
Ⅰ Process claims
先行技術に装置があった場合に、その装置を通常の操作で実行されたときの製法をクレームしたものはAnticiationである。
明細書に記載されたクレームされた製法を実施するための装置が、先行技術の装置と同じである場合には、同じ製法が行われInherencyであると推定する。
例:急速に冷却する工程を含む製法全体は、先行文献に記載があった。クレームには冷却工程によってできた物の特性(X線回折)が示されていた。しかし、権利者は先行文献の冷却工程でできた物のX線回折が相違することを示すことができなかった。この冷却工程は通常の操作によるものであるとしてInherentであるとされた。

Ⅱ Process of Use Claims
古い装置または組成物を、新しいまたは非自明な方法で使用するのは、特許性があるかもしれない。
装置または組成物に知られていなかった特性に基づく使用方法は特許可能である。ただし、知られていた使用方法で新たな特性が分かったという場合は特許可能とはならない。

2113 Product-by-Process
製法の各工程は、先行物質との区別をするのに意味を持たない。出来上がった物質の構造の相違が重要。

2114 Apparatus and Article Claims — Functional Language
装置発明は、構造によって先行装置と区別する。
装置の操作方法の相違は、先行装置との区別をするのに意味を持たない。
構造が異なっていれば、たとえ、先行装置が特許装置と全く同じ作用をするものであっても、Anticiationにはならない。

2115 Material or Article Worked Upon by Apparatus
装置発明において、その装置に用いるまたはその装置で得られる物質の限定は、先行装置との区別をするのに意味を持たない。

2116 Material Manipulated in Process
製法発明の特許性判断においては、製法の実行に関る物質に重きをおく。
2116.01Novel, Unobvious Starting Material or End Product
従来の製法において、新しいまたは非自明な出発物質を使用または新しいまたは非自明な生成物質を得る製造方法についてクレームしている場合。
クレームを総合的に考慮して判断(fact-dependent Analysis)

(参考)
2121Prior Art; General Level of Operability Required to Make a Prima Facie Case
2121.01Use of Prior Art in Rejections Where Operability Is in Question
2121.02Compounds and Compositions — What Constitutes Enabling Prior Art
 Ⅰ 化合物の製法が発明日前に発見されていなかった場合には、化合物名が記載されていたとしても先行開示とはならない。operabilityであることが推認できる場合は、
 Ⅱ 化合物の製造の試みに成功していなかった場合には
   製造を試みなかったという場合は

2121.03Plant Genetics — What Constitutes Enabling Prior Art
2121.04Apparatus and Articles — What Constitutes Enabling Prior Art
2122Discussion of Utility in the Prior Art
2123Rejection Over Prior Art's Broad Disclosure Instead of Preferred Embodiments
2124Exception to the Rule That the Critical Reference Date Must Precede the Filing Date
2125Drawings as Prior Art
 比率
2126Availability of a Document as a “Patent” for Purposes of Rejection Under 35 U.S.C. 102(a), (b), and (d)
2126.01Date of Availability of a Patent As a Reference
2126.02Scope of Reference's Disclosure Which Can Be Used to Reject Claims When the Reference Is a “Patent” but Not a “Publication”
2127Domestic and Foreign Patent Applications as Prior Art
2128“Printed Publications” as Prior Art
2128.01Level of Public Accessibility Required
2128.02Date Publication Is Available as a Reference
2129Admissions as Prior Art

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October 06, 2008

訂正請求と訂正審判の請求との相違 ~最高裁 平成19年(行ヒ)318 20.7.10判決

(背景)
特許第3441182号本件特許(請求項1~4に係る特許)に対し特許異議の申立てがされ,特許庁に異議事件として係属したところ,同事件の係属中の平成17年12月7日,特許権者は,特許法旧120条の4」の規定に基づき,願書に添付した明細書の特許請求の範囲の訂正を請求した(以下,この訂正を「本件訂正」という。)。本件訂正は,特許請求の範囲の請求項1を訂正する訂正事項a,同2を訂正する訂正事項b,同3を訂正する訂正事項c,同4を訂正する訂正事項dから成り,訂正事項aは特許請求の範囲の減縮,同bは明りょうでない記載の
釈明を目的とするものであると特許権者は主張した。
 特許庁は、訂正事項bは,特許請求の範囲の減縮,誤記又は誤訳の訂正,明りょうでない記載の釈明のいずれをも目的とするものでなく,また,特許請求の範囲を実質上拡張するものであるから,特許法旧120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法126条1項ただし書又は2項の規定に適合しない。よって,その余の訂正事項について判断するまでもなく,訂正事項bを含む本件訂正は認められない。よって訂正前の特許は取り消すとの審決をなした。
 特許権者は審決取消訴訟を起した。
 高裁は、本件決定は,訂正事項bが訂正の要件に適合しないことを理由に,他の訂正事項について判断することなく,本件訂正の全部を認めなかったものであるが,その判断に違法があるということはできないと認定し、本件決定の取消しを求める上告人の請求を棄却した。その根拠として、最高裁昭和53年(行ツ)第27号,第28号同55年5月1日第一小法廷判決(民集34巻3号431頁参照)を示した。該最高裁判決では「その訂正が特許請求の範囲に実質的影響を及ぼすものである場合には,請求人において訂正(審判)請求書の訂正事項を補正する等して複数の訂正箇所のうち一部の箇所について訂正を求める趣旨を特定して明示しない限り,複数の訂正箇所の全部につき一体として訂正を許すか許さないかの審決又は決定をしなければならず,たとえ客観的には複数の訂正箇所のうちの一部が他の部分と技術的にみて一体不可分の関係になく,かつ,一部の訂正を許すことが請求人にとって実益のあるときであっても,その箇所についてのみ訂正を許す審決又は決定をすることはできないと解するのが相当である。と述べている。
 特許権者は上告した。

(最高裁の判断)
特許取消の決定を取り消すとの判決をした。
 (1)特許法は,
 A)一つの特許出願に対し,一つの行政処分としての特許査定又は特許審決がされ,これに基づいて一つの特許が付与され,一つの特許権が発生するという基本構造を前提とし複数の請求項を一体不可分のものとして取り扱う規定と、
 B)複数の請求項に係る特許ないし特許権の一体不可分の取扱いを貫徹することが不適当と考えられる一定の場合には,特に明文の規定をもって,請求項ごとに可分的な取扱いを認める旨の例外規定を置いている。
 たとえば、特許法旧113条柱書き後段が「二以上の請求項に係る特許については,請求項ごとに特許異議の申立てをすることができる。」と規定するのは,そのような例外規定の一つにほかならない(特許無効審判の請求について規定した特許法123条1項柱書き後段も同趣旨)。
 (2)訂正審判に関しては,特許法旧113条柱書き後段,特許法123条1項柱書き後段に相当するような請求項ごとに可分的な取扱いを定める明文の規定が存しない上,訂正審判請求は一種の新規出願としての実質を有すること(特許法126条5項,128条参照)にも照らすと,複数の請求項について訂正を求める訂正審判請求は,複数の請求項に係る特許出願の手続と同様,その全体を一体不可分のものとして取り扱うことが予定されているといえる。
 (3)一方、特許法旧120条の4第2項の規定に基づく訂正の請求(以下「訂正請求」という。)は,特許異議申立事件における付随的手続であり,独立した審判手続である訂正審判の請求とは,特許法上の位置付けを異にするものである。訂正請求の中でも,本件訂正のように特許異議の申立てがされている請求項についての特許請求の範囲の減縮を目的とするものについては,いわゆる独立特許要件が要求されない(特許法旧120条の4第3項,旧126条4項)など,訂正審判手続とは異なる取扱いが予定されており,訂正審判請求のように新規出願に準ずる実質
を有するということはできない。そして,特許異議の申立てがされている請求項についての特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正請求は,請求項ごとに申立てをすることができる特許異議に対する防御手段としての実質を有するものであるから,このような訂正請求をする特許権者は,各請求項ごとに個別に訂正を求めるものと理解するのが相当であり,また,このような各請求項ごとの個別の訂正が認められないと,特許異議事件における攻撃防御の均衡を著しく欠くことになる。
 (4)以上の諸点にかんがみると,特許異議の申立てについては,各請求項ごとに個別に特許異議の申立てをすることが許されており,各請求項ごとに特許取消しの当否が個別に判断されることに対応して,特許異議の申立てがされている請求項についての特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正請求についても,各請求項ごとに個別に訂正請求をすることが許容され,その許否も各請求項ごとに個別に判断されるものと考えるのが合理的である。
 (5)最高裁昭和55年5月1日第一小法廷判決は,いわゆる一部訂正を原則として否定したものであるが,複数の請求項を観念することができない実用新案登録請求の範囲中に複数の訂正事項が含まれていた訂正審判の請求に関する判断であり,その趣旨は,特許請求の範囲の特定の請求項につき複数の訂正事項を含む訂正請求がされている場合には妥当するものと解されるが,本件のように,複数の請求項のそれぞれにつき訂正事項が存在する訂正請求において,請求項ごとに訂正の許否を個別に判断すべきかどうかという場面にまでその趣旨が及ぶものではない。
 (6)特許異議申立事件の係属中に複数の請求項に係る訂正請求がされた場合,特許異議の申立てがされている請求項についての特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正については,訂正の対象となっている請求項ごとに個別にその許否を判断すべきであり,一部の請求項に係る訂正事項が訂正の要件に適合しないことのみを理由として,他の請求項に係る訂正事項を含む訂正の全部を認めないとすることは許されないというべきである。
 (7)本件決定は,請求項2に係る訂正事項bが訂正の要件に適合しないことのみを理由として,請求項1に係る訂正事項aについて何ら検討することなく,訂正事項aを含む本件訂正の全部を認めないと判断したものである。これを前提として本件訂正前の特許請求の範囲の記載に基づいて特許発明の認定をし,請求項1に係る部分を含む本件特許を取り消した本件決定には,取り消されるべき瑕疵があり,この瑕疵を看過した原審の判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

(無効審判中の訂正請求はどうなるか?)
 本件は、旧法における特許異議申立事件における訂正請求の扱いを判断したものであるが、特許無効審判請求事件における訂正請求(特許法134条の2)の扱いも同様に扱われるのではないかと考える。なぜなら、上記最高裁の認定理由と同様に,
 134条の2の訂正請求は、特許無効審判請求事件における付随的手続である。
 訂正請求の中でも,特許無効審判請求されている請求項についての特許請求の範囲の減縮を目的とするものについては,いわゆる独立特許要件が要求されない(特許法134条の5,126条5項)。
 特許無効審判請求がされている請求項についての特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正請求は,請求項ごとに請求をすることができる特許無効審判請求に対する防御手段としての実質を有するものである。
 特許無効審判請求事件中において訂正請求をする特許権者は,各請求項ごとに個別に訂正を求めるものと理解するのが相当であり,また,このような各請求項ごとの個別の訂正が認められないと,特許無効審判請求事件における攻撃防御の均衡を著しく欠くことになるからである。
 よって、上記最高裁の認定と同様に,訂正の対象となっている請求項ごとに個別にその許否を判断されることになると考える。
以上。
 

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September 22, 2008

韓国特許法改正案 2008

改正法案は2つからなり、改正法案(I)は国内事情によるもの、改正法案(II)は韓米FTAに関連するものである。

改正法案(I)の主な内容:

ア.特許出願明細書または図面の補正に対する制限を緩和(第47条)
  最後の拒絶理由の通知後の明細書または図面の補正で、明細書に記載した特許請求の範囲を減縮した場合は、実質的変更とはみなさないとする。

イ.再審査請求制度を導入(第67条の2 新設)
 拒絶査定後、明細書または図面の補正と同時に、再審査を請求できるようにする。この請求で審査官が再審査を行う。再審査を請求した場合は先の拒絶決定は取り消しになったものとみなされる。
 補正をしない場合は再審査を経ずに審判を請求する。
 再審査により拒絶査定となった場合は不服審判を請求できるが補正の機会は与えられない。

ウ.分割出願が可能な時期の拡大(第52条)
 絶決定謄本の送達後30日以内にも分割出願が可能
 特許決定謄本の送達後の分割出願は不可

エ.追加納付料の区分制度の導入(第81条第2項、第81条の2第3項)
  (1) 特許料の納付期間が経過して特許料を追加納付する時の納付金額を一律2倍から、特許料の2倍以内の範囲で知識経済部令に定める金額に基づいて区別して納付できるようにした。

オ.報償金の支給請求権などに関する国際公開の効力と国内公開の効力の統一化 (第207条)
   韓国語で出願した国際特許出願人は、国際公開があった後、その国際公開された発明を業として営んだ者に対し報償金の支給を請求できるようにし、国際公開時に韓国語で国際特許出願された発明が韓国内で公開されたことと見なす。

改正法案(II)の特許法関連の主な内容:
(1)存続期間の調整
 出願日から4年または審査請求後3年より遅延して特許権の設定登録がなされた場合、遅延した期間と同程度存続期間を延長する。

(2) 新規性喪失の例外規定の適用期間を12ヶ月に延長する。

(3) 秘密維持命令制度の導入
 侵害訴訟と関連して必要な情報が営業秘密である場合、裁判所が訴訟当事者等に秘密維持を命じることを可能とする。

以上(情報元:JETRO)

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September 15, 2008

欧州特許のクレーム記載形式

欧州特許の手数料が大幅に上がったことは既にご存知のことと思います。

特に追加クレームあたりの手数料は非常に高くなりました。

特許に掛かるコスト低減のためにクレーム数を減らすことを考えている方が多いのではないかと思います。

これに関して、先日、欧州特許代理人から、下記のような情報を得ましたので、ご紹介します。

 日本では、1クレームに1つの主題を記載することが求められます。

 例えば、
 【請求項1】 ポリエチレンとポリスチレンとを含有する樹脂組成物。
 のように記載します。
 これに対して、
 【請求項1】 ポリエチレンとポリスチレンとを含有する樹脂組成物または成形体。
 のように記載すると、発明内容が不明瞭であるとして記載不備の拒絶理由を受け取ることになります。この基準はすべての請求項に適用されます。

 さて、欧州では、どうか。

 欧州では、独立請求項については、日本と同様に、1クレームに1つの主題を記載することが求められます。ところが、従属請求項の記載については、1クレームに2以上の主題を記載することを禁止する法規が無く、また知る限りにおいても禁止する判例が無いそうです。

 例えば、
 【請求項1】 ポリエチレンとポリスチレンとを含有する樹脂組成物。
 【請求項2】 ポリエチレンとポリスチレンとを含有する成形体。
 【請求項3】 さらにアクリル樹脂を含有する請求項1に記載の樹脂組成物または請求項2に記載の成形体。
 のように記載できるようです。

 そして、1クレームに2以上の主題を記載した従属請求項を含めたことによって、実務上、悪い結果になったことが無いとのことです。ただ、内容が不明瞭であるとのオブジェクションを受ける可能性はあるとのことですが、適切に説明すればオブジェクションは解消できるとのことです。

 クレーム手数料の節約の一手段として、活用できると思いますので、試してみてください。

以上。(情報元:Vossius&Partner)

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September 08, 2008

補正可能な範囲 「明細書又は図面に記載した事項」~平成18年(行ヶ)第10563号&平成20年(行ヶ)第10053号

1.特許法172項(特許法1342項)には、補正(訂正)は「願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」しなければならないことを定めている。特許法172項の趣旨は、出願当初から発明の開示が十分に行われるようにして、迅速な権利付与を担保し、発明の開示が不十分にしかされていない出願と出願当初から発明の開示が十分にされている出願との間の取扱いの公平性を確保するとともに、出願時に開示された発明の範囲を前提として行動した第三者が不測の不利益を被ることにないようにし、先願主義の原則を実質的に確保しようとしたものである。

2.特許庁の審査基準には、「明細書又は図面に記載した事項」について、以下のように記載されている。

 「当初明細書等に記載した事項」とは、「当初明細書等に明示的に記載された事項」だけではなく、明示的な記載がなくても、「当初明細書等の記載から自明な事項」も含む。

 補正された事項が、「当初明細書等の記載から自明な事項」といえるためには、当初明細書等に記載がなくても、これに接した当業者であれば、出願時の技術常識に照らして、その意味であることが明らかであって、その事項がそこに記載されているのと同然であると理解する事項でなければならない。

 周知・慣用技術についても、その技術自体が周知・慣用技術であるということだけでは、これを追加する補正は許されず、補正ができるのは、当初明細書等の記載から自明な事項といえる場合、すなわち、当初明細書等に接した当業者が、その事項がそこに記載されているのと同然であると理解する場合に限られる。

 当業者からみて、当初明細書等の複数の記載(例えば、発明が解決しようとする課題についての記載と発明の具体例の記載、明細書の記載と図面の記載)から自明な事項といえる場合もある。 例:明細書には、特定の弾性支持体について開示されることなく、弾性支持体を備えた装置が記載されているが、図面の記載及び技術常識からみて、当業者であれば、「弾性支持体」とされているものは当然に「つるまきバネ」を意味しているものと理解するという場合は、「弾性支持体」を「つるまきバネ」にする補正が許される。

 当初明細書等に記載された多数の選択肢の範囲で特定の選択肢の組み合わせを請求項に追加するとき、あるいは選択肢を削除した結果として特定の選択肢の組み合わせが請求項に残るときに、その特定の選択肢の組み合わせが当初明細書等に記載されていたとは認められない場合がある。

3.平成18(行ヶ)10563号の判決で、「明細書又は図面に記載した事項」について、新たな解釈がなされたように思う。

 判決によれば、「明細書又は図面に記載した事項」とは、技術的思想の高度の創作である発明について、特許権による独占を得る前提として,第三者に対して開示されるものであるから、ここでいう「事項」とは明細書又は図面によって開示された発明に関する技術的事項であることが前提となるところ、

 「明細書又は図面に記載した事項」とは,当業者によって,明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であるとしている。

 したがって、補正が,このようにして導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるときは当該補正は明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものということができると述べている。

 例えば,特許請求の範囲の減縮を目的として,特許請求の範囲に限定を付加する訂正を行う場合において、付加される訂正事項が当該明細書又は図面に明示的に記載されている場合や、その記載から自明である事項である場合には、そのような訂正は、特段の事情のない限り、新たな技術的事項を導入しないものであると認められ「明細書又は図面に記載された範囲内において」するものであるということができると述べている。

 さらに、「ただし、…を除く」などの消極的表現(いわゆる「除くクレーム」)によって特許出願に係る発明のうち先願発明と同一である部分を除外する訂正を請求する場合、このような訂正も、明細書又は図面の記載によって開示された技術的事項に対し、新たな技術的事項を導入しないものであると認められる限り「明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」する訂正であるというべきであると述べている。


4.平成18(行ヶ)10563号の判決文で示された基準を適用して、平成20(行ヶ)10053号の判決がなされた。該事件での一争点は、特許請求の範囲に対して行った訂正事項が明細書又は図面に記載した事項か否かである。

(1)争点となった訂正事項は、請求項1の

 「衣服の身頃,襟,襟口,ポケット又はポケットフラップの周縁に沿って袋を形成し」

 「衣服の襟,ポケット又はポケットフラップの周縁に沿って,衣服の表側を構成する主布の裏側に別布を縫合して,袋を形成し」 と訂正するものであった。

(2)特許庁審決では、本件特許の願書に添付された明細書及び図面に記載されておらず、当該明細書又は図面の記載から自明の事項ということもできないから新規事項の追加であるとして、訂正を認めなかった。

(3)これについて、知財高裁は、次のように判断している。

 【請求項1】には,衣服の身頃,襟,襟口,ポケット又はポケットフラップの周縁に沿って袋を形成することが記載されており,

 段落【0017】には,ワイヤの取付位置として,襟,襟口(襟の開き部分),袖の下部,身頃の下部,ポケットの縁,ポケットフラップの縁が記載されており,

 段落【0019】には,ワイヤの取付構造(方法)として,衣服の表側を構成する主布の裏側に,別布を縫合して袋を形成し,この袋の内部にワイヤを挿通させることが記載されており,

 段落【0021】には,ワイヤの取付位置として,襟の周縁,襟口の周縁が記載されており,

 段落【0022】には,ワイヤの取付位置として,ポケットの開口の周縁,ポケットフラップの周縁が,それぞれ記載されていると認められる。

 すなわち,本件明細書には,

 ①「衣服の襟,ポケット又はポケットフラップの周縁に沿って袋を形成」することが記載され(【請求項1】),

 ②ワイヤの取付位置として,「衣服の襟,ポケット又はポケットフラップの周縁」が記載され(段落【0017】,【0021】及び【0022】),

 ③ワイヤの取付構造(方法)として,「衣服の表側を構成する主布の裏側に別布を縫合して,袋を形成」すること,この袋の内部にワイヤを挿通させることが記載されている(段落【0019】)といえる。

 そうすると,「衣服の襟,ポケット又はポケットフラップの周縁に沿って袋を形成」して,「衣服の襟,ポケット又はポケットフラップの周縁」にワイヤを取り付けるに当たり,「衣服の表側を構成する主布の裏側に別布を縫合して,袋を形成」し,この袋の内部にワイヤを挿通させるようにすることは,本件明細書の記載を総合することにより導かれる技術的事項であり,当業者であれば,本件明細書の記載から自明である事項として,認識することができるというべきである。

 よって、該訂正は「明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」する訂正であると、判断している。

5.考察

 特許庁の審査基準によれば、「当初明細書等に記載した事項」は、「当初明細書等に明示的に記載された事項」と「当初明細書等の記載から自明な事項」とに限定されている(東京高判平15..1(平成14年(行ケ)第3号審決取消請求事件))。そして、「当初明細書等の記載から自明な事項」は、出願時の技術常識に照らして、その意味であることが明らかであって、その事項がそこに記載されているのと同然であると理解する事項である。その事項について説明を受ければ簡単に分かる、という程度のものでは、自明ということはできないとしている。

 審査基準における、「事項」は「発明を特定するために必要と認められる事項」のことを指しているように思える。したがって、たとえ、当初の請求項記載の範囲が補正で導入された事項(境界線)によって縮減される補正であっても、その境界線が明細書等に記載した事項でないときは、新規事項の追加として扱っているように思う。したがって、「除く」という境界線が明細書に記載されていないのが普通であるから、審査基準では消極的表現である「除くクレーム」を例外的扱いとしている。

 一方、平成20(行ヶ)10053号判決では、明細書等に具体的な記載の無かった袋形成方法と取付位置との特定な組み合わせに訂正することを適法とした。平成18(行ヶ)10563号判決では、除くクレームは例外的扱いによるものではなく、訂正の基本原則から導かれることであるとしている。

 そして該判決では、「当初明細書等に記載した事項」は、当業者によって、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項としている。そして、その例として、「当初明細書等に明示的に記載された事項」と「当初明細書等の記載から自明な事項」とを示している。

 そして、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるときに、当初明細書等に記載した事項の範囲内でする補正と判断している。

 該判決における「事項」は「技術的事項」である。この技術的事項は先に述べたような境界線を指しているようでもあるが、明細書等から把握される発明の技術的範囲に近い観念を指しているかのようでもある。したがって、判決では「除くクレーム」は、例外的扱いではなく、原則に則る場合もあると判示しているように思量する。

 判決における「当初明細書等に記載した事項」は、審査基準における「当初明細書等に記載した事項」よりも若干広い概念になっているように思う。

 訂正または補正できる範囲が、今後、どのように運用されることになるのか、今後の審査の状況を見極める必要があるように思う。

以上。

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June 13, 2008

特許権の消尽~「修理」なのか「生産」なのか~

キヤノンインクカートリッジ事件
(最高裁平18年(受)826、知財高裁平17(ネ)10021、東地裁平16(ワ)8557)

(事実関係)
1)原告(特許権者)の特許権(第3278410号;「液体収納容器,該容器の製造方法,該容器のパッケージ,該容器と記録ヘッドとを一体化したインクジェットヘッドカートリッジ及び液体吐出記録装置」)の請求項1は下記のとおり、Cannoninkjet

『A 互いに圧接する第1及び第2の負圧発生部材を収納するとともに液体供給部と大気連通部とを備える負圧発生部材収納室と,
 B 該負圧発生部材収納室と連通する連通部を備えると共に実質的な密閉空間を形成するとともに前記負圧発生部材へ供給される液体を貯溜する液体収納室と,
 C 前記負圧発生部材収納室と前記液体収納室とを仕切るとともに前記連通部を形成するための仕切り壁と,
 D を有する液体収納容器において,
 E 前記第1及び第2の負圧発生部材の圧接部の界面は前記仕切り壁と交差し,
 F 前記第1の負圧発生部材は前記連通部と連通するとともに前記圧接部の界面を介してのみ前記大気連通部と連通可能であると共に,
 G 前記第2の負圧発生部材は前記圧接部の界面を介してのみ前記連通部と連通可能であり,
 H 前記圧接部の界面の毛管力が第1及び第2の負圧発生部材の毛管力より高く,かつ(I及びJは欠番),
 K 液体収納容器の姿勢によらずに前記圧接部の界面全体が液体を保持可能な量の液体が負圧発生部材収納室内に充填されている
 L ことを特徴とする液体収納容器。』

 請求項10は下記のとおり、
『A’ 互いに圧接する第1及び第2の負圧発生部材を収納するとともに液体供給部と大気連通部とを備える負圧発生部材収納室と,
 B’ 該負圧発生部材収納室と連通する連通部を備えると共に実質的な密閉空間を形成するとともに前記負圧発生部材へ供給される液体を貯溜する液体収納室と,
 C’ 前記負圧発生部材収納室と前記液体収納室とを仕切るとともに前記連通部を形成するための仕切り壁と,を有し(D’は欠番),
 E’ 前記第1及び第2の負圧発生部材の圧接部の界面は前記仕切り壁と交差し,
 F’ 前記第1の負圧発生部材は前記連通部と連通するとともに前記圧接部の界面を介してのみ前記大気連通部と連通可能であると共に,
 G’ 前記第2の負圧発生部材は前記圧接部の界面を介してのみ前記連通部と連通可能であり,
 H’ 前記圧接部の界面の毛管力が第1及び第2の負圧発生部材の毛管力より高い
 I’ 液体収納容器を用意する工程と,
 J’ 前記液体収納室に液体を充填する第1の液体充填工程と,
 K’ 前記負圧発生部材収納室に,前記液体収納容器の姿勢によらずに前記圧接部の界面全体が液体を保持可能な量の液体を充填する第2の液体充填工程と,
 L’ を有することを特徴とする液体収納容器の製造方法。』

2)被告の製品
 ア 被告は,中国マカオにある会社(以下「甲会社」という。)から,インクタンク(「被告製品」)を輸入した。
 イ 甲会社の関連会社(以下「乙会社」という。)は,原告製品のインクを使い切って残ったインクタンク本体を北米,欧州及び日本を含むアジアから収集し,それを乙会社の子会社(以下「丙会社」という。)に売却している。
 ウ 丙会社は,次の手順で,インクタンク本体から製品化している。
  ① インクタンク本体の液体収納室の上面に,洗浄及びインク注入のための穴を開ける。
  ② インクタンク本体を洗浄する。
  ③ インクタンク本体のインク供給口からインクが漏れないようにする措置を施す。
  ④ ①の穴から,負圧発生部材収納室の負圧発生部材の圧接部の界面を超える部分まで及び液体収納室全体にインクを注入する。
  ⑤ ①の穴及びインク供給口に栓をする。
  ⑥ ラベル等を装着する。
 エ 甲会社は,丙会社から,被告製品を買い入れ,これを日本に輸出している。
 オ 被告は,平成16年6月まで被告製品の輸入販売を行っていたが,税関による輸入禁制品の認定手続が開始されるなどしたため,この訴訟の係属中,その輸入を中止している。

(争点)
 (1) 原告製品の日本国内及び海外における販売により,物の発明である本件発明1についての特許は消尽したか。
 (2) 原告製品の日本国内及び海外における販売により,物の生産方法の発明である本件発明10についての特許は消尽したか。又は黙示の許諾があったか。

(最高裁の判断)
 原審(知財高裁)の判断基準、それに基づく判断は、採用できない。
『特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者(以下,両者を併せて「特許権者等」という。)が我が国において特許製品を譲渡した場合には,当該特許製品については特許権はその目的を達成したものとして消尽し,もはや特許権の効力は,当該特許製品の使用,譲渡等(特許法2条3項1号にいう使用,譲渡等,輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をいう。以下同じ。)には及ばず,特許権者は,当該特許製品について特許権を行使することは許されないものと解するのが相当である。』

『特許権者等が我が国において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされ,それにより当該特許製品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたものと認められるときは,特許権者は,その特許製品について,特許権を行使することが許されるというべきである。
 そして,上記にいう特許製品の新たな製造に当たるかどうかについては,当該特許製品の属性,特許発明の内容,加工及び部材の交換の態様のほか,取引の実情等も総合考慮して判断するのが相当であり,当該特許製品の属性としては,製品の機能,構造及び材質,用途,耐用期間,使用態様が,加工及び部材の交換の態様としては,加工等がされた際の当該特許製品の状態,加工の内容及び程度,交換された部材の耐用期間,当該部材の特許製品中における技術的機能及び経済的価値が考慮の対象となるというべきである。』

『我が国の特許権者又はこれと同視し得る者(以下,両者を併せて「我が国の特許権者等」という。)が国外において特許製品を譲渡した場合においては,特許権者は,譲受人に対しては,譲受人との間で当該特許製品について販売先ないし使用地域から我が国を除外する旨の合意をした場合を除き,譲受人から当該特許製品を譲り受けた第三者及びその後の転得者に対しては,譲受人との間で上記の合意をした上当該特許製品にこれを明確に表示した場合を除いて,当該特許製品について我が国において特許権を行使することは許されない。(BBS事件最高裁平成9年7月1日第三小法廷判決)
 これにより特許権の行使が制限される対象となるのは,飽くまで我が国の特許権者等が国外において譲渡した特許製品そのものに限られる。』
『我が国の特許権者等が国外において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされ,それにより当該特許製品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたものと認められるときは,特許権者は,その特許製品について,我が国において特許権を行使することが許されるというべきである。
 そして,上記にいう特許製品の新たな製造に当たるかどうかについては,特許権者等が我が国において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされた場合と同一の基準に従って判断するのが相当である。』

本件への適用:
『上告人製品の製品化の工程における加工等の態様は,単に費消されたインクを再充てんしたというにとどまらず,使用済みのインクタンク本体を再使用し,本件発明の本質的部分に係る構成(構成要件H及び構成要件K)を欠くに至った状態のものについて,これを再び充足させるものであるということができ,本件発明の実質的な価値を再び実現し,開封前のインク漏れ防止という本件発明の作用効果を新たに発揮させるものと評せざるを得ない。』『インクタンクの取引の実情など前記事実関係等に現れた事情を総合的に考慮すると,上告人製品については,加工前の被上告人製品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたものと認めるのが相当である。したがって,特許権者等が我が国において譲渡し,又は我が国の特許権者等が国外において譲渡した特許製品である被上告人製品の使用済みインクタンク本体を利用して製品化された上告人製品については,本件特許権の行使が制限される対象となるものではないから,本件特許権の特許権者である被上告人は,本件特許権に基づいてその輸入,販売等の差止め及び廃棄を求めることができるというべきである。』

2.米国特許における「修理」と「再生産」

 米国における消尽(First Sale Doctrine):

 「特許製品が販売されると、それは購入者の私有財産となり、特許法による保護は及ばなくなる。」
 購入した特許製品の加工や部材の交換が、「許容される修理」であれば権利行使できない。「禁じられた再生産」であれば権利行使が可能。

 特許製品の譲受人は、特許製品を使用、修理、修正、廃棄、再譲渡する権利を持つが、製品を生産する権利は特許権者に留保されるので、新たな製品を生産することはできない。
 譲受人が持つ特許製品の所有権には、購入した特許製品の耐用期間を維持する権利を含む。

 修理/再生産の判断基準
1)当該特許製品の性質(改造品と特許製品との同一性)
2)当該特許製品の構成
 特許製品を構成する部材の一つが、特許製品全体の寿命に比べ、短い寿命しかないか否か ⇒製品全体の効用期間内であれば、部材の交換は修理と看做される可能性高くなる。
 一方で、交換部材が特許製品の重要部分であるか否か。この点は米国では低く評価され、日本では高く評価される傾向があるようだ。
3)当該修理対象の部材の製造や、サービスを提供する市場が発達しているか否か。(リサイクル業者による部材の交換を容認する傾向?。)
4)特許権者の意思(「使い捨て品」であるとの表示は単なる要望と看做される可能性が高い。契約書、同意書による場合(条件付販売)には、強制力が働く。)

3.米国では製品全体の効用期間内であれば、部材の交換は、「修理」と認定される可能性が高く、権利行使は難しい傾向がある。また、単に製品に「使い捨て」と記載しただけでは強制力がないので、そこで、米国では、条件付販売(製品の使用方法(例えば、ソフトウエアのインストール回数、装置を接続できる機種)を制限して販売)をすることで、該当条件以外の行為では消尽せず、特許権の行使を認めるようである。(米国最高裁において、この条件付販売に絡む事件(LG事件)について2008年6月9日に判決)

 一方、日本では、条件付き販売などによって国内消尽を防ぐことはできない。効用期間内であっても、部材の交換を「再生産」と認定する可能性がある。

(キヤノン事件の被告のその後)
 被告の現製品は、本訴訟で対象となった再生方法とは異なる方法で再生しているので、特許侵害には当たらないとして、販売を継続しているようです。なお、被告のインクカートリッジ販売量は、キヤノン、エプソンに次ぐ国内第3位なんだそうです。

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April 17, 2008

欧州 手数料の改定

2007年12月20日および2008年4月1日に料金が大幅に変更されました。出願料や出願更新料、審査請求料といった他の出願関連費用も改定によって5乃至10%値上がりとなっています。

最近の円安/ユーロ高で、欧州特許出願のコストは、嵩むばかりですので、料金体系を理解して、コストパフォーマンスを高めることをお勧めします。

○クレーム数による追加料金:
・新料金(2008年4月1日発効)
  クレーム数が15個を超える場合:200ユーロ(クレーム1個毎)
  クレーム数が50個を超える場合:500ユーロ(クレーム1個毎)〔2009年4月1日施行〕
・旧料金
  総クレーム数が10個を超える場合:45ユーロ(クレーム1個毎)

○オンライン出願を行うと80ユーロ減額されるので、現地へは電子ファイルを送るのが良いでしょう。

○指定国数:EPC2000によりEP出願を行うとみなし全指定となりますが、権利取得を希望する国の数についての指定手数料を支払うことで指定国が確定します。国の指定数を絞ることで手数料が節約できます。

 各指定締約国に対する指定手数料は1カ国85ユーロ。
  7倍の額(595ユーロ)の支払により全締約国を指定したとみなされる。

以上。

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April 16, 2008

新規性喪失の例外 ~外国ではどうなる?(2)

カナダ:
 1年以内にカナダ出願 優先権による遡及はないと思われる。米国と同じ運用。

インド:
 1年以内にインド出願 優先権による遡及はないらしい。(パテント 2008年2月号)

オーストラリア:
 特許局認可の刊行物で開示は1年以内にオーストラリア出願 優先権遡及?
 学術団体で開示は6月以内にオーストラリア出願  優先権遡及?

 上記の3カ国は英国法が基礎になっている国なので、遡及有無が不明なオーストラリアは、インドやカナダと同じ運用であろうと思います。

ブラジル:
 1年以内に出願 優先権の遡及ある。(産業財産法12条)

メキシコ
 1年以内に出願 優先権の遡及ある。(産業財産法18条)

この2カ国は、法律で、優先日以前12ヶ月との規定がありました。

韓国:平成18年3月3日施行の改正法で、全ての形態の自発的な公知行為についても6ヶ月間の新規性喪失例外規定になってますが、
 その6ヶ月を1年に延長する改正法案が国会で審議されてます。可決されると、米国同様おグレースピリオドが適用されることになります。

以上。

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韓国 指定期間の延長(2008.7~)

意見書提出などに指定される期間を、1ヶ月単位で無制限に延長できましたが、2008年7月1以降に指定される期間においては、延長は指定期間満了日から4ヶ月以内に制限されます。

4ヶ月を超える延長を必要とする場合はその理由を疎明し、審査官の審査で延長の可否が判断される。

4ヶ月を超える延長が認められる疎明理由が、韓国特許庁ホームページにて告知される予定です。

(情報元:第一廣場特許法律事務所)

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April 02, 2008

オーストラリアにおける進歩性

2002年4月1日に導入された法改正前における、サブセクション7(2):

 “この法令の目的において、発明は、クレームの優先日前に特許の領域*2において存在する一般常識に照らして、関連する技術分野における当業者にとってその発明が自明でない限り、先行技術と比較して、進歩性を有するものとし、ここで、当該一般常識は別々に考慮されるか、またはサブセクション(3)において言及されているいずれかの情報の種類と一緒に考慮され、各一般常識は別個に考慮されなければならない。”

また、サブセクション7(3):

  “サブセクション(2)の目的において、情報の種類とは:
  (a) 単一の文書においてまたは単一の行為によって、公衆に利用可能となった先行技術情報;および

  (b) 2以上の関連する文書においてまたは2以上の関連する行為によって公衆に利用可能となった先行技術情報であって、これらの文書または行為の間における関係が、特許の領域において関連する技術分野における当業者がこれらを単一の情報源として扱うであろう場合の先行技術情報;

  であって、サブセクション(2)における当業者が、クレームの優先日前に、特許の領域において関連する技術分野における実施に関連するものとして、確信、理解、および考慮したであろうことが合理的に予測できる、情報。”

サブセクション7(3) における“特許の領域において関連する技術分野における実施”とは、その特許の領域において(すなわち、オーストラリア内において)、実際に関連する技術分野における実施が存在する必要があるという意味である。

2002年4月1日の法改正により、“特許の領域において関連する技術分野における実施”との用語はサブセクション7(3)から削除された。したがって、上記要件、すなわち優先日の時点で関連技術分野においてオーストラリア内において実施されているとの要件は、2002年4月1日以降の出願日を有するケースでは適用されない。

(参考:Pizzeys Patent and Trade Mark Attorneys(ピジーズ特許&商標事務所:http://www.pizzeys.com.au/home.htm))

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November 09, 2007

オーストラリア特許~情報開示義務が廃止。

Pizzeys Patent & Trademark Attorneysからの情報http://www.pizzeys.com.au/japanese/articles.htmによると、

オーストラリア特許出願における、情報開示義務が廃止されたようです。

経過措置:

1.2007年7月22日より前に受理通知がなされた出願でない場合、情報開示義務はありません。

2.2007年7月22日より前に受理通知がなされた出願に関しては、
 以下の場合に限り、外国特許庁の調査結果を開示しなければなりません。
 (a)2007年4月22日より前に外国特許庁から調査結果が発行された場合あって、かつ
 (b)2007年4月22日より前に審査の請求がされた場合。

以上。

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November 01, 2007

米国特許法新規則に対して仮差止め

 11月1日に施行されるはずであった規則が10月31日昼過ぎに仮差止めされました。これにより、11月1以降も旧規則がそのまま適用されます。

 GlaxoSmithKline (GSK)が規則の差止めを求めて訴えていたケース(ヴァージニア東部連邦地裁)で決定されたようです。

 今後、USPTOはアピールを行うなどの動きがあると思います。また規則を修正するということも可能性としては考えられます。

 最終判決はまだですので、今後の動きを追いかける必要がありそうです。
   

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September 14, 2007

米国特許新規則に対するTIPS(私案)

1.クレームされていない発明は分割出願できない。継続出願となってしまう。将来的にクレームアップする可能性のあるものは、当初出願からクレームしておくことを考慮するのがよい。

2.クレーム数が制限を超えざるを得ない場合は、限定要求案(SRR)を用意しておくことを考慮するのが良い。

3.ESRはフロード認定の要素を孕んでいるので、ESR提出を行うよりは、クレーム削除(限定要求が出ていれば分割出願)を行うことを考慮するのがよい。

4.Patentably Indistinct Claim出願の通知
 発明者毎に米国出願を管理する体制を整えておくことを考慮するのがよい。
 日本出願から優先権主張して米国出願する場合、優先日の前後2ヶ月以内および/または米国出願日の前後2ヶ月以内に、優先日または出願日を持つ米国出願を、相互リンクさせて管理する体制を整えておくことを考慮するのがよい。
 現地代理人に上記相互リンクを知らせておくことを考慮するのがよい。

5.継続出願2回、継続審査請求1回を使い果たした後は、請願書等を付けた継続出願または継続審査請求と、審判請求とが取り得る措置としてある。審判請求の可能性も考慮するのがよい。

6.拒絶理由通知を受け取っている出願で、継続出願、一部継続出願若しくは分割出願または継続審査請求をしようと考えている場合は2007年11月1日以前に行うことを考慮するのがよい。

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米国特許新規則の改正概要 (2007.11.1施行) 改正規則施行の差止判決に対してUSPTOは控訴したようです。

1.継続出願の制限
 A.一の特許出願ファミリーにおいて、 請願書および説明書の提出なしに、
  ①2回の継続出願または一部継続出願
  ②1回の継続審査請求      ができる。
   一の特許出願ファミリーにおいて、 請願書および説明書を提出することによって、
  ①3回目以降の継続出願または一部継続出願
  ②2回目以降の継続審査請求   ができる。

 B.先の出願で限定要求を受けた発明(クレームされた発明)であり、且つ
   審査を受けていない選択されなかったクレームだけを請求する出願を分割出願という。したがって、先の出願でクレームされていなかった発明または限定要求を受けなかった発明をクレームした出願は継続出願である。自発的な分割出願は継続出願である。限定要求が取り下げになった場合、限定要求に反論(traverse)した場合、限定要求が暫定的な場合(例えばgeneric中のspeciesの選択を求められた場合)は事後的に継続出願となることがある。分割出願は当初出願またはそれのファミリー出願が係属中にできる。
 選択されなかった発明を分割出願する前に親出願のクレームから分割するクレームを削除する方がよい。選択されなかったspeciesの分割出願をする前に、genericの審査を完結させておくべきである。分割出願は後述のクレーム数制限の対象となる可能性があるので注意。

   分割出願(新たな一の出願ファミリーとなる。)において、 請願書および説明書の提出なしに、
  ①2回の継続出願または一部継続出願
  ②1回の継続審査請求      ができる。
   分割出願(一の出願ファミリー)において、 請願書および説明書を提出することによって、
  ①3回目以降の継続出願または一部継続出願
  ②2回目以降の継続審査請求   ができる。

 C.請願書等が受け容れられなかった場合は、継続出願の出願日は遡及せず、実際の提出日が出願日となる。
  請願書の可否は、先の出願の審査経過、例えば、継続出願または継続審査請求するより審判請求または上申するべきであるかどうか? 並列または直列に提出された出願の数、適切な熱意を持って補正書・意見書・証拠が提出されたかどうか? などを基準に判断される。

 D.一部継続出願した場合には、先行出願に支持されているCIP出願のクレームを明らかにしなければならない。

 E:継続出願の例
 なお、init.は親出願、cont.は継続出願、RCEは継続審査請求、div.は分割出願、およびw. Pは請願書等を要する場合、をそれぞれ表す。Newptorule1

2回の継続出願は請願書等の提出無しで並列または直列に行うことができる。
3回目以降の継続出願は請願書及び説明書が必要である。
Newptorule2
1回のRCEは請願書等の提出無しで行うことができる。
2回目以降のRCEは請願書及び説明書が必要である。

              
Newptorule3 X,Y,Zがクレームされた出願で、限定要求がなされた場合に、Xを選択し、選択されなかったY,Zを出願するときは分割出願となる。

Newptorule4 分割出願は出願ファミリーが特許庁に係属中に並列または直列におこなうことができる。

分割出願から、2回の継続出願を請願書等の提出無しで並列または直列に行うことができる。さらに1回のRCEを請願書等の提出無しで行うことができる。Newptorule5

2.クレーム数の制限
 A.独立請求項5個で且つ全請求項25個までの出願はESD(審査支援書)無しで審査がなされる。
   独立請求項6個以上または全請求項26個以上のときには最初の拒絶理由通知前にESDを提出しなければ、審査がなされない。

 B.取り下げたクレームはカウントしないので、出願人は最初の拒絶理由通知又は限定要求前に限定要求案(SRR)を提出できる。SRRが受理されると通常の限定要求と同様の効果を生じる。SRRが拒否され、限定要求が出されず、クレーム数が制限オーバーの場合には、クレームを減らすか、ESDを提出しなければならない(審査官の通知から2ヶ月以内)。SRRが拒否され別の限定要求が出された場合は、通常の限定要求に対する応答と同じ(2ヶ月以内に応答)。

 C.特許的に区別できない(Patentably Indistinct)クレームを含む他の同時係属中の出願で請求しているクレームのすべてをカウントする。ただし、発行された特許出願のクレームはカウントしない。
   上記他の同時係属中の出願(少なくとも一人の発明者が共通で且つ出願日または優先日から2ヶ月以内にある出願日または優先日をもつ出願)の存在を知らせなければならない。通知は、現実の出願日若しくは国内移行日から4ヶ月以内または他の出願の最初の出願受理通知の発送日から2ヶ月以内に行わなければならない。
例えば、下記の場合、出願Aの出願人は出願Bの存在を、出願Bの出願人は出願Aの存在を知らせなければならない。
Newptorule6
 実質的に重複した開示があり且つ出願日または優先日が同日である場合は、特許的に区別できないクレームを含む出願であると推定される。この推定に対しては、特許的に区別できるクレームだけしか含んでいないという説明をして反論することができる。また反論せずにターミナルディスクレーマーを提出することもできる。
 また、なぜ2以上の出願に特許的に区別できないクレームが含まれているのか、説明しなければならない。

Patentably Indistinct: 現地代理人に確認したところ、Obviousness-type double patenting standardの概念と同じであろうとのことでした。

 
 D.クレーム数の制限に関して、これら特許的に区別できないクレームを含む出願で請求されるクレームの総数を、それぞれの出願におけるクレーム数であるとして扱う。善良なる十分な理由がなければ、該すべての出願または一部の出願から特許的に区別できないクレームの削除を要求することができる。
 許可通知が発行されたもの、出願放棄されたもの、審判請求したもの、民事訴訟継続しているものは、カウント対象の出願としない。

 継続出願または継続審査請求後では第一回目通知を最後の拒絶理由通知にするという運用を今までどおりに行う。これを妨げるために、最後の拒絶理由通知の後、補正書・意見書または新証拠を提出することができる。
 第二回目以降の通知を最後の拒絶理由通知にすることができる。ただし、NEW GROUD REJECTIONを含むときは除く。
   NEW GROUD REJECTION:
   ①クレームの補正の結果通知が必要となったものでないこと、
   ②最初の拒絶理由通知後に提出されたIDSに基づくものでないこと
   ③ダブルパテントの拒絶理由でないこと
   ④CIP出願のクレームが先行出願でサポートされていることを明らかにした結果として必要となったものでないこと、
   ⑤クレームの一構成がミーンズ・プラス・ファンクションで表される構成であることを示した結果として必要となったものでないこと

 E.審査支援書(ESD)
 審査支援書は最初の拒絶理由通知前に提出する。
 審査支援書には、各クレームの有効出願日の決定;先行技術調査に当ってのクレーム解釈;出願人が掲げた本願発明、背景技術、および最も関連性の高い技術の理解を助けるもの;など、特許性を決定する助けと成る情報を記載する。

 審査支援書には、先行審査での調査状況(US特許分類、調査対象データベース名、調査キーワードとして使ったロジック化学構造式または配列表、調査日を含む。調査状況はクレームの全ての要件(従属要件も含む)について調べたものであること、調査対象はUS特許(US公開特許)、外国特許文献、非特許文献を含まなければならない。)、各クレーム発明に最も関連性の高い技術の文献リスト(非英語文献は翻訳要)、各文献によって開示されるクレーム要件との対比特定、特許性に関する詳細な説明、112条のサポート要件の説明が、含まれていなければならない。

 クレームを補正した結果、既提出の審査支援書の範囲を外れた場合は、または
 既提出の審査支援書に記載した文献よりも関連性の高い文献をIDSした場合は
 追加の審査支援書の提出が必要になる。

 審査支援書が不十分である場合は、クレームが補正され審査支援書が役立たない場合は、出願人に通知がされる。 2ヶ月以内(延長不可)に追加の審査支援書を提出するか、クレーム数を制限内(5/25)に減らさなければならない。

 F.クレーム数削除による手数料の払い戻し
 審査(最初の拒絶理由通知、許可通知、Ex Parte Quayleの通知)前にクレームをキャンセル(Cancel)した場合は、手数料の払い戻しを請求できる。クレームキャンセルの補正書を提出した日から2ヶ月以内(延長不可)に請求できる。取り下げた(Withdraw)クレームについての手数料の払い戻しはしない。
*Ex Parte Quayle:審査官の一方的疑問に対する拒絶理由(クワイル型指令)。先行技術によらない拒絶理由で、審査官が発明の特許性を認めるものの、クレーム等の記載不備を一方的に指摘するもの。

*CancelWithdraw: Cancelはクレームを削除すること。Withdrawは、限定要求なでによって審査の対象から徐外すること、クレームは削除されていない。

 G.特許権存続期間の調整
 クレームの制限に関する1.75(b)の手続を行わなかった場合、存続期間を減らす。

3. 経過措置
 A.継続出願の制限が下記の出願に適用される。
 ①2007年11月1日以降に提出する出願(再発行特許出願を含む。再審査請求は含まない。)
 ②2007年11月1日以降に国内移行する国際出願

 B.下記の出願は、請願書等の提出なしにもう1回継続出願を行うことができる。
 ①2007年8月21日より前に提出した出願(再発行特許出願を含む。再審査請求は含まない。)
 ②2007年8月21日より前に国内移行した国際出願

Newptorule7

 C.継続審査請求の制限は、
 2007年11月1日以降の継続審査請求に適用される。
 2007年11月1日以降の継続審査請求が、該出願ファミリーにおいて2回目以降の継続審査請求になる場合は、請願書等の提出が必要。

Newptorule8

 D.クレーム数の制限は下記の出願に適用される。
 ①2007年11月1日以降に提出する出願(再発行特許出願を含む。再審査請求は含まない。)
 ②2007年11月1日以降に国内移行する国際出願
 ③2007年11月1日より前に最初の拒絶理由通知が郵送されていない出願

 E.クレームの補正を求めない再発行特許出願にはESDは要求されない。

 F.Patentably Indistinctクレームを含む出願に関する扱いは、
 2007年11月1日以降に係属する出願 に適用される。

 2007年11月1日より前に提出された出願については、2008年2月1日または1.78(f)(1)及び1.78(f)(2)に規定の期日のいずれか遅い日までにクレーム制限の基準を満たすようにしなければならない。

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September 09, 2007

米国特許法改正案下院可決

世界で唯一の先発明主義を貫いてきた米国特許法が、先願主義に切り替わりそうです。

これによって先発明主義にならされ、のんびりと出願手続をしていた米国出願人に対して、先願主義国出願人が持っていた優位な点が無くなります。

同一土俵での勝負がこれからはグローバルに行われることになります。

米国の特許制度の大きな転換になると伴に日本の外国特許出願戦略の変更が必要になるでしょう。

上院では、先発明主義支持者の巻き返しによる、大幅な修正があるでしょうから、改正102条が最終的にどうなるか、審議状況は見離せません。

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August 22, 2007

米国特許新規則 (2007年11月1日施行)

昨日(8月21日)、米国特許の新規則が公開されました。

この規則は2007年11月1日に施行されます。

主な改正項目は

1.継続出願の制限limits on the filing of continuation applications
2.請求項数の制限limits on the numbers of claims presented in an application
3.重複出願の制限limits on the filing of patent applications with overlapping disclosure

詳細は、こちらのURLからhttp://a257.g.akamaitech.net/7/257/2422/01jan20071800/edocket.access.gpo.gov/2007/pdf/E7-15565.pdf

米国特許の出願戦略を多少変える必要が出てくるかもしれません。「改正規則要約」

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June 15, 2007

用途発明の権利取得上の基準と権利行使上の基準(II)

権利行使においては、製造販売において用途の区別を明確にしていないと侵害となる可能性ある。

権利行使平成2年(ワ)第12094号特許権差止請求事件(東京地裁平成4年10月23日)

【原告特許権の範囲(要旨)】

フマル酸ケトチフェンを有効成分とするアレルギー性喘息の予防剤。

【被告の主張】

 被告製品は、アレルギー性疾患の治療剤である。特許庁は、特許異議決定において、右引例の抗ヒスタミン作用と本件発明のヒスタミン解放抑制作用とは作用機構が異なるとし、抗ヒスタミン作用を利用した抗ヒスタミン剤の喘息への使用は症状の軽減すなわち治療を目的とするものであるが、ヒスタミン解放抑制作用を利用した場合は予防を意味するものとし、治療剤と予防剤は、その投与時期においても明らかに異なると認定している。

【裁判所の判断】

①被告らは、本件発明は本件化合物のヒスタミン解放抑制作用を利用した用途発明であるから、本件発明の特許請求の範囲にいう「予防剤」とは、「ヒスタミン解放抑制作用に基づくアレルギー性喘息の予防剤」と解すべきである旨主張する。本件発明は、既に公知の物質である本件化合物についてヒスタミン解放抑制作用という新しい性質を発見し、これを利用して未知の用途であるアレルギー性喘息を考え出した、いわゆる用途発明であるところ、用途発明にあっては、既知の物質と未知の用途との結びつきのみが発明を構成するものであって、既知の物質について発見した新しい性質は単にこの結びつきを考え出すに至ったきっかけにすぎず、この新しい性質そのものは発明を構成するものではない。

 出願人の審査中の「本件化合物の気管支喘息抑制効果はヒスタミン解放抑制作用に基づくものである」旨の主張は、従来から知られていたアレルギー性疾患の治療剤と未だ知られていないアレルギー性喘息の予防剤、という用途の相違を、前者における抗ヒスタミン作用と、後者におけるヒスタミン解放抑制作用という薬理作用から明らかにしようとしたにすぎないものであって、このことをもって技術的範囲を限定解釈するための根拠とすることはできない。

②(1)フマル酸ケトチフェンが抗アレルギー薬に属するところ、抗アレルギー薬は、一般的には、既に起こっている気管支平滑筋攣縮に対して直接的な気管支拡張作用を有しておらず、そのために、多くの場合、急性発作には効果は乏しく、効果が生ずるまでには時間も要することもあるため、気管支喘息に対してはあくまで予防薬として位置づけられていること、・・・(5)そして、ザジテン、サジフェンカプセル及びザトチテンカプセルの添付文書には、いずれも、「本剤使用にあたって」の欄において、「気管支喘息に用いる場合、本剤はすでに起こっている発作を速やかに軽減する薬剤ではないので、このことを患者に十分説明しておく必要がある。」、「本剤を季節性の患者に投与する場合は、好発季節を考えて、その直前から投与を開始し、好発季節終了時まで続けることが望ましい。」との記載があること、(6)ザジテンは、その添付文書には、アレルギー性疾患治療剤と記載されてはいるものの、医療機関においては、抗アレルギー薬として認識されており、気管支喘息の発作を予防する目的で、日常臨床において広く使用されていること、・・・

 右認定した事実によれば、被告らの製剤品は、アレルギー性気管支喘息の急性発作を引き起こしている患者に対して投与する薬剤であるというよりは、喘息と診断された患者が発作を起こさないように、予め、かつ定期的継続的に投与する薬剤であり、アレルギー性気管支喘息の発作が起こることを予防する薬剤であると認められるから、本件特許請求の範囲にいう「アレルギー性喘息の予防剤」に該当するというべきである。

③本件発明がいわゆる用途発明であり、アレルギー性喘息の予防剤という用途についてのみ技術的範囲が及ぶものであるにもかかわらず、原告が本訴において差止めの対象物とした「フマル酸ケトチフェン」については、その用途を何ら限定していないから、アレルギー性喘息の予防剤という本件発明の技術的範囲を超えた用途(他用途)についてまで差止めを求める結果となり、不当であるとの点にあるものと思われる。

 そこで、この点について、検討することとする。

・・・、このフマル酸ケトチフェンについて、その抗ヒスタミン作用を利用する等した、アレルギー性喘息の予防剤以外の用途も考えられないわけではなく・・・

 このようなアレルギー性喘息の予防剤以外の用途については本件発明の技術的範囲が及ばないことはいうまでもない。そして、前記のような認定事実をも併せて考えると、原告が差止めを求めた対象物のうち、本件発明の技術的範囲に属するのは、別紙第二物件目録記載の医薬品に限定されるというべきである。

④、被告らの製剤品について、アレルギー性喘息の予防剤以外の用途をも差し止めることとなり、不当であるとの点にあるとも解されるので、この点も検討することとする。

・・・

 本件化合物については、これを製剤販売する業者としては、アレルギー性喘息の予防剤としての用途と他用途とを用途としての適用範囲において実質的に区別することが可能なのであって、右区別をすることによって当該製剤が本件発明の技術的範囲に属していないことを明らかにすることができるのであり、他方、右用途の区別が明確になされていない場合には、本件化合物はアレルギー性喘息の予防剤としての用途と他用途とがいわば不可分一体になっているものというほかはなく、したがって、アレルギー性喘息の予防剤としての用途と他用途とを区別する方途がないのであるから、当該製剤販売業者としては、本件化合物のアレルギー性喘息の予防剤としての用途のみならず、他用途にまで本件発明の技術的範囲が及ぶことも甘受せざるを得ないものといわなければならない。

・・・被告らは、被告らの製剤品について、アレルギー性喘息の予防剤としての用途を除外する等しておらず右予防剤としての用途と他用途とを明確に区別して製剤販売していないのであるから、被告らが、その製剤品についてアレルギー性喘息の予防剤以外の用途をも差し止められる結果となったとしてもやむを得ないものといわざるをえない。

以上。

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June 14, 2007

用途発明の権利取得上の基準と権利行使上の基準(I)

権利取得においては、用途の相違(作用機序、市場など相違)を主張することが必要。

権利取得:平成18年(行ケ)第10227号審決取消請求事件

(事件概要)

 原告(花王)が特許出願したところ、被告(特許庁)から拒絶査定を受け、これを不服として審判請求をしたが、請求不成立の審決を受けたので、その審決の取消しを求めた。知財高裁は、原告請求を認めて、審決を取り消した。該出願は特許3919250号として登録された。

(審決)

 本願発明(特開平9-255548号公報):

【請求項1】アスナロ又はその抽出物を有効成分とするシワ形成抑制剤。

 引用文献(特開平5-345719号公報):

【請求項1】有効成分として、ヒノキ科植物(Cupressaceae)の成分であって、中間極性を有する有機溶媒、一価若しくは多価の低級アルコール、又はこれらの混合物に可溶性を示すものを含有することを特徴とする美白化粧料組成物。

【一致点】

「アスナロ抽出物を有効成分とする皮膚外用組成物」である点。

【相違点】

本願発明は当該組成物が「シワ形成抑制剤」であるのに対し,

      引用発明は「美白化粧料組成物」である点。

【審決理由】

①引用文献の組成物を皮膚に適用した場合,同じ有効成分を同程度含有する以上,美白と同時にシワ形成抑制作用も奏しているはずのものであって,上記の相違点は,組成物中の有効成分であるアスナロ抽出物の作用を美白作用と認識して美白化粧料組成物としたか,シワ形成抑制作用と認識してシワ形成抑制剤としたかの表現上の相違にすぎない。換言すれば,本願発明は,引用文献のアスナロの抽出物を含有する美白化粧料組成物について,シワ形成抑制の効果を新たに発見したにすぎないものであり,それにより格別新たな用途が生み出されたものではない。

②皮膚の黒化や色素沈着はシワ形成と同様,美容を損なう典型的な現象であり,これらの現象を予防することは日焼けやシワが既にあるとないとにかかわらず,美容効果,即ち皮膚を美しく健康に保つために志向されるものである。そして,引用文献の組成物も本願発明のシワ形成抑制剤もいずれも美容効果を期待する使用者に対して用いられ,同じ効果が奏される以上,新たな用途の外用剤が創出されたとすることはできない

 よって、本願発明は新規性を有しない(特許法第29条第1項)。

(原告主張)

①取消事由1(省略)

②取消事由2

(ア)

a.シワと色素異常の違い

 「シワ」とは,後天的に生じた皮膚のゆがみ,表皮から真皮にかけての皮膚の変形である。 一方、「皮膚の黒化やシミ,ソバカス等の色素異常」は,表皮内における色素(メラニン)の異常増加,沈着によって生じる。 以上のとおり,シワと皮膚の黒化やシミ,ソバカス等の色素異常は全く異なる現象である。

b.シワ形成抑制剤と美白化粧料組成物の作用機序の違い

 上記のシワ形成の原因と機構から,「シワ形成抑制剤」としては,表皮の乾燥防止や真皮を構成する繊維を復元する作用を有するもの,活性酸素を消去しうる抗酸化剤等が用いられている。 一方、皮膚におけるメラニン生成と代謝機構から,「美白用薬剤」としては,メラノサイト内でのメラニン生成抑制,産生されたメラニンの還元,表皮内メラニンの排泄促進,メラノサイトに対する選択的阻害活性を有するものが用いられている。

 以上のとおり,「シワ形成抑制剤」と「美白化粧用組成物」とでは,作用部位や作用機序が全く異なり,その有効成分である薬剤も,化学的構造的に全く異なる化合物等である。

c.販売・購入実態における相違

 「化粧品マーケティング要覧2004 No.1」では,化粧品を機能別に,保湿訴求,ホワイトニング(主に美白効果を訴求),アンチエイジング(主にシワ・タルミなど老化防止を訴求)等に分類してマーケット動向を分析している。

 各化粧品メーカーは,ホワイトニング(美白)とアンチエイジング(抗シワ)を別個の製品としてラインアップし,有効成分の作用機序や機能・効果を強くアピールしている。市場では,ホワイトニング(美白),アンチエイジング(抗シワ),保湿といった,特定の機能・効果を訴求した商品がそれぞれ明確に区別して販売され,需要者はその特定の機能・効果を求めて商品を購入している。商品は所望の機能・効果を奏するための有効成分を含み,その旨の表示(ラベル)を付して販売される。そして,販売者及び需要者はその表示にしたがって目的の商品を選択し,仕入れ,販売し,購入する。

(イ)

 アスナロの抽出物を有効成分とする公知の皮膚外用組成物のシワ形成抑制剤としての使用は,新たに発見された技術的効果に基づくものであり,機能的な技術的特徴である。そして,この技術的特徴は,引用文献に記載されたものではないから,引用文献のアスナロの抽出物を含有する美白化粧料組成物を実施するに際し,潜在的に発生していたとしても,本願発明のアスナロの抽出物を有効成分とするシワ形成抑制剤は新規である

 また,上記(ア)のとおり,シワ形成抑制剤と美白化粧料組成物は,その適用対象,標的及び作用効果を全く異にするものである。上記(ア)のとおり,商品はその効果や機能を示すラベルを付して販売され,消費者はその特定の効果や機能を期待し,シワ形成抑制と美白化粧料組成物を明確に区別して購入している。したがって,アスナロ抽出物のシワ形成抑制効果は,本願出願前には認識されたことがなく,本願発明者によって初めてこのシワ形成効果が見い出された結果,「アスナロ又はその抽出物を有効成分とするシワ形成抑制剤」が生み出されたのである。本願発明がなければ,アスナロ抽出物は,シワ形成抑制剤として使用されることはなかった。この意味で,本願発明は,アスナロの抽出物について,シワ形成抑制の効果を新たに発見し,それにより新たな用途を生み出したものであり,シワ形成抑制剤と美白化粧料組成物を単なる表現上の相違とする審決の上記判断には誤りがある。

(ウ)

 上記(ア)のとおり,皮膚の黒化や色素沈着等とシワ形成は,その発生部位,原因,機構において全く異なる現象であって,美容を損なう現象として同視できるものではない。また,シワ形成抑制剤は,顔面のシワの発生や進行の抑制を期待する人に対して用いられ,美白化粧料組成物は,日焼けによるシミ,ソバカス等の改善・予防を期待する人に対して用いられるから,両者は同じ効果を期待する使用者に対して用いられるものではない。

(被告主張)

①取消事由1(省略)

②取消事由2

(ア) 本願発明の「シワ形成抑制剤」が,化粧料を含む「皮膚外用組成物」の一種であること,いわば「シワ形成抑制作用を有する皮膚外用組成物」であるといえる。仮に,「シワ形成抑制剤」中の「シワ形成抑制」との表現がいわゆる用途の表示であったとしても,本願発明の「シワ形成抑制」は,「シワ形成抑制用の皮膚外用組成物」である。

 本願発明の「シワ形成抑制剤」中のアスナロ抽出物等の有効成分の含有量と,引用発明の「美白化粧料組成物」中の有効成分の含有量とは異なるものではなく,また,両者の取り得る形態も異ならない。

 引用発明の「美白化粧料組成物」を皮膚に適用すれば,「美白作用」と同時に「シワ形成抑制作用」も奏しているはずのものである。そして,「シワ形成抑制作用」のような作用は,視覚や触覚のような五感で容易に知得できる作用であるから,「美白化粧料組成物」を皮膚に適用・使用した場合に,その使用者が容易にその効果を実感できるものである。したがって,そのような効果を単に認識し,それをうたった「皮膚外用組成物」と,公知の「美白化粧料組成物」とは,物として明確に区別することができないし,「皮膚外用組成物」について,格別新たな用途が生み出されたとすることもできない。

(イ)

 例えば,「乳酸」や「アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム」のように,単一の成分であって,美白作用とシワ形成抑制作用とを併せ有しているものが存在している。美白効果を有する成分とシワ形成抑制効果を有する成分とを配合して,美白効果とシワ形成抑制効果とを併せ有する化粧料も販売されている。このことは,少なくとも,供給者が美白作用とシワ形成抑制作用との両方を有する商品を市場に供給すべきと判断したことにほかならず、「需要者や当業者が美白作用を有する組成物について同時にシワ形成抑制作用を有すると期待することは当該分野の常識上ありえない。」との原告の主張は失当である。

(ウ)

 本願明細書には,「発明の効果」として,「本発明のシワ形成抑制剤は,紫外線の照射によるシワ形成の抑制作用に優れ,皮膚老化予防,特にシワ予防用の外用剤として有用である。」との記載があり,本願発明のシワ形成抑制剤は,皮膚の老化の一種である,紫外線により形成されるシワの予防に特に有用なものである。一方,引用文献には,シワについての言及はないものの,「紫外線による皮膚の黒化,又はシミ,ソバカス等の色素沈着を消失し,又は予防するための美白化粧料組成物に関する。」との記載があり,そこに記載の美白化粧料組成物は,紫外線によるトラブルの予防のために使用されるものである。

 引用発明の「美白化粧料組成物」と本願発明の「シワ形成抑制剤」は,いずれも,美容効果のうち,特に紫外線による皮膚のトラブルに対する予防効果を期待して皮膚に適用されるものであって,「同じ効果を期待する使用者に対して用いられるものではない。」とする原告の主張は,失当である。

(裁判所の判断)

①取消事由1(省略)

②取消事由2

 本願発明は,アスナロ又はその抽出物が優れたシワ形成抑制作用を有することを見い出したことによってなされた発明であって,「シワ形成抑制」という用途を限定した発明(用途発明)であると認められる。

 本願発明の「シワ形成抑制」という用途が,その技術分野の出願時の技術常識を考慮し,新たな用途を提供したといえるのでなければ,発明の新規性は否定されるので,以下,本願発明の「シワ形成抑制」という用途が,新たな用途を提供したといえるかどうかという観点から判断する。

(1)

 引用文献には,皮膚に適用することにより,色素細胞を白色化して,紫外線による皮膚の黒化若しくは色素沈着を消失させ又は予防する美白化粧料組成物で,有効成分としてアスナロの枝葉のメタノール抽出エキスを含有するものが記載されていると認められる。

(2)

「シワ」と「皮膚の黒化,又はシミ,ソバカス等の色素沈着」では,

() 「シワ」が,皮膚の張り,弾力性が喪失して皮膚に線状や襞状の溝が形成される現象であるのに対し,「皮膚の黒化,又はシミ,ソバカス等の色素沈着」が,皮膚にメラミン色素が沈着して褐色~黒色に変化する現象であって,現象として異なること,

() 「シワ」と「皮膚の黒化,又はシミ,ソバカス等の色素沈着」は,いずれも紫外線暴露が原因の一つとなって起こるが,その機序は,「シワ」が,正常な弾性繊維とそれによる網状構造が変性し,異常な弾性組織が蓄積することによって起こるのに対し,「皮膚の黒化,又はシミ,ソバカス等の色素沈着」は,メラニン色素の沈着によって起こるものであって,機序が異なること,

() 予防・治療法としては,紫外線の皮膚への吸収を防ぐもののように共通しているものがあるが,それ以外に多くの異なる予防・治療法があること,が認められる。

(3)

 「'96化粧品マーケティング要覧No.1」の記載から、美白効果を主に訴求する化粧料,とシワ,タルミなど老化防止を主に訴求する化粧料とは,異なる種類の製品であると認識されていたことが推認される。

 引用発明の「美白化粧料組成物」を皮膚に適用すれば,「美白作用」と同時に「シワ形成抑制作用」を奏しているとしても,本願の出願までにその旨を記載した文献が認められないことからすると,「シワ形成抑制作用」を奏していることが知られていたと認めることはできない。

 「シワ」は,現象もそれが生ずる機序も,「皮膚の黒化,又はシミ,ソバカス等の色素沈着」とは異なり,美白効果を主に訴求する化粧料,とシワ,タルミなど老化防止を主に訴求する化粧料は,製品としても異なるものと認識されていたところ当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)が,本願出願当時,引用発明につき,「シワ」についても効果があると認識する余地はなかったものと認められる。

 美白としわ抑制の効果を併せ持っている化粧料はアスナロ抽出物とは全く異なる物質であるから、アスナロ抽出物もしわ抑制効果を併せ持っていると認識できたとは認められない。

 美容効果のうち,特に紫外線による皮膚のトラブルに対する予防効果を期待して皮膚に適用されるものであるとの共通点があるからといって,当業者が,本願出願当時,引用発明につき,「シワ」についても効果があると認識することができたとは認められない。

(4)

 これまで述べたところを総合すると,当業者が,本願出願当時,引用発明の「美白化粧料組成物」につき,「シワ」についても効果があると認識することができたとは認められず,本願発明の「シワ形成抑制」という用途は,引用発明の「美白化粧料組成物」とは異なる新たな用途を提供したということができる。

 したがって,取消事由2は理由がある。

以上。

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April 12, 2007

米国特許規則改正の動き

 米国特許規則の改正最終案が、OMB(Office of Management and Budget)に提出され、90日以内にOMBが検討し、その後、発効されるという未確認情報が、飛び込んできました。

 規則改正最終案の詳細は不明ですが、主要改正点は、以前お知らせした、継続(分割)出願の制限、クレーム数の制限です。さらにIDSに関する規則改正が含まれているらしいですが、詳しくは判りません。7-8月頃に改正された規則の内容が公表されるのではないかと前記未確認情報は言っております。

 ひとまず、速報です。

(弁理士KIKUMA@菊間特許事務所)

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April 09, 2007

米国特許の非自明性(103条)判断基準

米国特許の非自明性(103条)判断基準

 米国特許における最近の話題の一つに非自明性の判断基準の見直しがある。 非自明性は、特許出願、特許権侵害、特許ライセンスなどの各場面において判断される重要な因子である。この話題は、KSR事件において、KSR社がCAFCの非自明性の判断(教示(teaching)-示唆(suggestion)-動機(motivation)テスト)に対して、連邦最高裁に提出した上訴が受理され、最高裁が新しい非自明性の判断基準を示すのではないかとみられているからである。最高裁の上訴判決は2007年の早い時期に出されるであろうと言われている。

 そこで、本論では、KSR事件上訴の概要を示し、上訴後にCAFCが上訴に反論するかのように、非自明性を争点とする判決を連続して出しているので、それらを紹介し、非自明性の今後について、考察してみたい。

I. KSR事件

(1)TELEFLEX, Inc. v. KSR Int. Co.

(背景)Teleflex, Incorporated(T社)は、自動車に用いられるペダル位置可変(adjustable pedal)部品に関するUSP6237565を所有している。T社は、KSR(K)に対し565特許の侵害で地裁に提訴した。K社は565特許のクレーム4が当業者に自明な発明であり、103条によって特許無効と主張した。

 争点となったクレーム4は次のとおりである。

4. A vehicle control pedal apparatus (12) comprising:

 a support (18) adapted to be mounted to a vehicle structure (20);

 an adjustable pedal assembly (22) having a pedal arm (14) moveable in force and aft directions with respect to said support (18);

 a pivot (24) for pivotally supporting said adjustable pedal assembly (22) with respect to said support (18) and defining a pivot axis (26); and

 an electronic control (28) attached to said support (18) for controlling a vehicle system;

 said apparatus (12) characterized by said electronic control (28) being responsive to said pivot (24) for providing a signal (32) that corresponds to pedal arm position as said pedal arm (14) pivots about said pivot axis (26) between rest and applied positions wherein the position of said pivot (24) remains constant while said pedal arm (14) moves in fore and aft directions with respect to said pivot (24).

 すなわち、クレーム4の自動車用ペダル制御装置は、ペダル位置を適切に調整し固定する機構を持ったアクセルペダルに電子制御部(アクセルペダルの通常位置と踏み込み位置との相対位置に関する電気信号を生成する。)を設けたものである。

 まず、地裁は、565特許のクレーム4と先行技術とを比較し、先行技術USP5010782(Asano特許)にクレーム4の構成要件(電子制御装置を除く)が開示されており、一方、電子制御装置はUSP5819593Rixon特許)に開示されており、市販されてもいたと事実認定した。

 地裁は、565特許と先行技術における課題及び効果(低コスト化、シンプル化、コンパクト化)の同一性を根拠にteaching-suggestion-motivationが存在し、565特許のクレーム4は自明であるとして無効の判断をした。 T社は控訴した。

(CAFC)解決すべき課題、先行技術中の開示、または当業者の知識に基づき、クレームされたとおりに、Asano特許を電子制御装置に組み合わせるための示唆または動機が存在しているかどうかに関し特別な判断が要求される。また、電子制御装置をAsano特許のサポートブラケットへ取り付けるための示唆または動機に関して特別な判断が要求される。クレーム4の全ての構成要件は複数の先行技術文献に開示されている。しかし、565特許は先行技術とは異なる課題(コンスタントレシオ問題の解決)を示している。これら先行技術文献に、クレームされたとおりに発明を組み合わせるための教示(teaching)-示唆(suggestion)-動機(motivation)が存在することを明白で説得性のある証拠として示していないとした。従って自明であるとした地裁判断は誤りであるとして地裁に差し戻した。K社はCAFCの進歩性についての判断に不服を唱え裁量上訴した。

Ⅱ. 裁量上訴

(1) 裁量上訴状

KSR INTERNATIONAL CO., v. TELEFLEX INC. and TECHNOLOGY HOLDING CO.,

 103条は1952年に規定された。

 1966年にGraham v.John Deere Co., 383 U.S. 1 (1966)事件において103条の解釈が行われ、非自明な発明は特許しないという議会の考えを示した。

 Anderson's-Black Rock 396 U.S. 57, 60-61 (1969)事件及びSakraidav. Ag Pro, Inc., 425

U.S.

274, 281-82 (1976)事件において、最高裁は、a claimed “invention” consists of “a combination which only unites old elements with no change in their respective functions.”個々の機能が変わらないで公知構成を一緒にしただけのものは103条により特許しないと判示した。この考え方で103条は運用されてきた。

 その後、CAFCは、“teaching-suggestion-motivation test”103条の判断基準とした。すなわち、当業者が先行技術を組み合わせることについて、先行技術に「教示、提案、動機付け」が無い場合は自明とすることができないとしてきた。1985年以来100有余の事件に“teaching-suggestion-motivation test”適用してきた。

 最高裁の103条の解釈と連邦裁の103条の解釈との相違点は明確である。

 最高裁は、もし、クレーム中の組み合わせられた各構成が知られた又は設計された動作以上の動作をしない場合は、既存構成の組み合わせは発明を構成せず、特許要件を満たさないとの解釈である。CAFCの、“teaching-suggestion-motivation test”103条に規定されたものではなく、最高裁が示したものでもない。 裁量上訴を受理すべきである。

(2) 専門家(支持)意見書

 裁量上訴を受理すべきである。

 Graham事件における非自明性判断は、フレキシビリティがあった。該事件では、非自明性に関しては、(1)先行技術の範囲及び内容、(2)争点となっているクレームと先行技術との差異、(3)当分野での技術水準、(4)二次的考慮(商業的成功など)の4つの点を特定して判断すること(Flexible Standard)を判示している。

 Hotchkiss事件では、業界で知られる通常の機構、仕組みのレベルを超える、技能及び工夫のレベルが具体化されていなければ特許のための質を有していないとすべきと判示している。

 これに対して、CAFCは“teaching-suggestion-motivation test”を適用しており、その適用は剛直的である(Rigid Standard)

 動機付け基準による場合、審査官の負担が大きい。特許権の質・レベルが低くなる。技術革新の阻害になるという意見。

(3) 裁量上訴受理

 2006126日、ヒアリング。当事者双方がそれぞれ主張。

Ⅲ. 上訴後のCAFC判決

(1)Ormco Corp. v. Align Technology, Inc. 05-1426 CAFC [August 30, 2006]

SCHALL, GAJARSA, and DYK(判決:DYK

(背景)

 AlignA社)はOrmcoO社)のRW&B装置が歯列矯正装置に関する特許6,554,611CLAIMs1-37及び特許6,398,548CLAIMs1017を権利侵害しているとして地裁に提訴した。

 O社は103条による特許無効を主張したが、地裁は、特許発明は先行技術TruaxRainsに基づいても非自明であり特許は無効ではない。O社はA社特許を侵害していると評決し、差止めを認めた。O社は控訴した。

 611特許のCLAIM1は次のとおりである。

 1. A system for repositioning teeth from an initial tooth arrangement to a final tooth arrangement, said system comprising a plurality of dental incremental position adjustment appliances including:

 a first appliance having a geometry selected to reposition the teeth from the initial tooth arrangement to a first intermediate arrangement;

 one or more intermediate appliances having geometries selected to progressively reposition the teeth from the first intermediate arrangement to successive intermediate arrangements;

 a final appliance having a geometry selected to progressively reposition the teeth from the last intermediate arrangement to the final tooth arrangement; and

 instructions which set forth that the patient is to wear the individual appliances in a predetermined order which will progressively move the patient's teeth toward the final arrangement, a package, said package containing said first appliance, said one more [sic] intermediate appliances and said final appliance,

 wherein the appliances are provided in a single package to the patient.

 すなわち、CLAIM1は順次歯を再配置するために選ばれる幾何学様式の3以上の保持器具と、それらの使用説明書と、患者に器具等を一まとめのパッケージで供給することを要件にしている。

(CAFC)

 102(a)の先行技術:“the invention was known or used by others in this country, or patented or described in a printed publication in this or a foreign country, before the invention thereof by the applicant for patent.”ここで、公衆がアクセスできない技術は先行技術とはみなさない。

 O社はTruax博士が行っている歯列矯正治療術に関する情報(証言)と、FDA規制書とを先行技術として提示した。A社はTruax博士の治療術は公衆のアクセス可能性がないから先行技術にならないと反論した。

 該博士がセミナー等で該治療術を紹介していたなどの事実から、CAFCはTruax博士の治療行為(Truax博士の証言内容)とFDA規制書とをアクセス可能な先行技術とするに十分である判断した。

611特許:幾何学様式の解釈)

 Truax博士の歯列矯正治療術では、歯に被せる複数の透明なポリマー製器具を使う。該器具はそれぞれ異なる厚さを持っている。そして、薄い器具を装着して歯に弱い力を加え、次にそれよりも厚い器具を装着していく。地裁は、穴の位置が変わることを意味するのだとのA社主張を容れて、Truax博士の器具は幾何学様式を満たさないと解釈した。しかし、明細書等に幾何学様式の定義が無いので、通常の意味、辞書的な意味で判断すべきであるとCAFCは判示した。すなわち薄さも幾何学様式に相当するとした。

(パッケージ)

 地裁は「一まとめのパッケージ」を「まとめることができる複数の器具」であれば要件を満たすと解釈した。しかし、クレームは実際に一まとめのパッケージになっていることを要求している。

 103(a)の自明性:先行技術にクレームの要件が記載されていなくとも、先行技術の教示を修正するsuggestion 又は motivationを示すことができるならば、そのクレームは自明であるとしても良いとSIBIA Neurosciences, Inc. v. Cadus Pharm. Corp., 225 F.3d 1349, 1356 (Fed. Cir. 2000)は判示している。しかし、“teaches away”異なる方向への教示はsuggestion 又は motivationにならない。

 A社はTruax博士は複数の器具を一時に患者に与えたことがないから、本特許は非自明であると主張した。しかしパッケージにしたものを販売するなどの当業界の慣用技術に基づき、本クレーム発明は自明であるとCAFCは判断した。またTruax博士が使用法について口頭説明をしている点は本クレーム発明の使用説明書に対応し自明であるとした。よって、CLAIM1-3,7は無効と判断した。

548特許)

 同様の理由により自明であり、CLAIM10は無効。また治療間隔も自明であり、CLAIM17は無効。

(商業的成功の参酌の可否)商業的成功とクレーム発明とが関係付けられていることが必要である。

 以上により、611特許及び548特許は自明であるので無効。よって地裁に差し戻した。

(2)Alza Corp. v. Mylan Laboratories 06-1019 CAFC [Sep. 6, 2006]

GAJARSA, CLEVENGER, and PROST (判決:GAJARSA

(背景)MylanM)が尿失禁の治療薬であるオキシブチニンの一日一回処方についてジェネリック薬のための簡易新薬認証申請を行った。Alza(A社)は特許6124355の侵害でMを訴えた。

 該特許のクレーム2は以下のとおりである。

2. A sustained-release oxybutynin formulation for oral administration to a patient in need of treatment for urge incontinence comprising

 a therapeutic dose of an oxybutynin selected from the group consisting of

  oxybutynin and its pharmaceutically acceptable salt that delivers from 0 to 1 mg in 0 to 4 hours, from 1 mg to 2.5 mg in 0 to 8 hours, from 2.75 to 4.25 mg in 0 to 14 hours, and 3.75mg to 5 mg in 0 to 24 hours for treating urge incontinence in the patient.

 地裁はdeliverを胃腸器官におけるin vivoでの徐放速度であると解釈した。A社は1)ジェネリック薬のオキシブチニンのin vitroでの速度、2)ANDA薬によって血流中にオキシブチニンが蓄積される速度を証拠として示しただけで、Mの処方の徐放速度に関する直接証拠を示せなかった。地裁はA社は特許侵害に当たることを十分に示せなかったので非侵害と判断した。

 また 地裁はUSP5,399,359(ポリマー外被覆でオキシブチニンの溶解を遅らせる); 5,082,688(二重層の浸透圧ポンプ); 5,330,766(水溶解性成分を含有させる)等の溶解を遅らせる技術に関する先行文献に基づき自明であるから特許無効との判決をした。

(CAFC)

自明性に関する先判決例: 自明性の判断では、まず(1)先行技術の範囲内容を調べる(the scope and content of the prior art); (2) 当業者の技術水準を調べる(the level of ordinary skill in the prior art); (3)クレーム発明と先行技術との差異を調べる(the differences between the claimed invention and the prior art); そして (4)非自明性の客観的証拠を調べる(objective evidence of nonobviousness.)In re Dembiczak]

 複数の引用文献を組み合わせる動機付けがあったか否か[In re Gartside]。そのような組み合わせによる効果が道理にかなって予測できるものであるかどうか[Medichem, S.A. v. Rolabo]を判断する。特許権は有効であるとの推定が働くので、無効を申し立てる者はclear and convincing evidenceを示し特許が無効であることを立証する責任がある[McGinley v. Franklin Sports, Inc.]。またhindsightにならないようにすることが重要であるとしている。[In Graham] motivation-suggesting-teaching’は自明性判断においてhindsightにならないように機能する。

 本案について:一般に経口薬は胃腸で溶け、それが血流に吸収され、体内組織に広がり、逆に組織から血流中に戻り、血流中で成分が堆積したり減ったりする。これは薬だけに限った現象ではなく、全ての物質に共通する。薬には胃腸での溶解が早い即効性薬と、胃腸での溶解が抑えられた徐効性薬とがある。典型的医薬品では約8-12時間で結腸に到達する。結腸に到達するまで薬が溶けないようにすることができれば、約8-12時間後に結腸で吸収され、徐効性にすることができる。薬が溶けないようにする手段は、多数の文献で公知である。

 ところが、当業者は結腸でオキシブチニンが吸収されるとは考えていなかったのであるから、クレームされた徐放処方を動機付けるものはないとA社は主張した。

 MAmidon博士を専門家証人とした。A博士は結腸を含む胃腸器官でオキシブチニンが吸収されると証言した。別の文献には結腸で薬等が吸収されると記載されていた。これら証人及び引用文献から動機付けがなされるので、特許は自明との地裁判断を支持した。

(3)DyStar Textilfarben GmbH & Co. Deutschland KG v. C. H. Patrick Co. 06-1088 CAFC [Oct. 3, 2006]

MICHEL, RADER and SCHALL, (判決:MICHEL

(背景)Dystar(D社)が、Patrick社とBann社(併せてP社)を、水素化されたロイコインジゴにより布地を染色する方法に関するUSP5,586,992の特許権の直接侵害、間接侵害で地裁に提訴した。

 インジゴ(藍)は千年余の間、布地の染色に使われてきた物質であるが、水に不溶であるので、それを還元して、水に可溶なロイコインジゴにして使う。ところがロイコインジゴは酸化されやすく不安定である。そこで、様々な安定化法が提案されている。

 992特許のクレーム1は次のとおりである。

A process for dyeing cellulose-containing textile material with indigo which comprises

a) introducing into a dyebath an aqueous solution of leuco indigo solution prepared by catalytic hydrogenation;

b) contacting the textile material with the dyebath; and, after the leuco indigo has gone onto the textile material,

c) converting said leuco indigo back into the pigment form in a conventional manner by air oxidation.

 陪審は、P社の侵害を認定し、損害賠償の支払いを評決した。P社は控訴した。CAFCは、992特許は自明であり103条により無効であると判断した。

(CAFC)

①当業者のレベル

 D社は本技術は染物師の知識、すなわち、高卒レベルで、読み書きができ、機械を操作できる程度の技術水準で判断すべきであると主張した。Blackbum博士が証人として召喚され、本技術には二つの技術水準がある。一つは染物師の技術水準、もう一つは染色プロセス設計者の技術水準である。P社が引用した先行技術は化学分野のものであり、陪審にはそれら証拠が関連証拠としかうつらなかった。それは、化学の知識を持たない染物師の技術水準で判断したからである。 染色プロセスの最適化には、化学、システム工学の知識が必要である。本発明は、染物師ではなく、染色プロセス設計者の基準で判断すべきであるとした。

②先行技術の水準(範囲・内容)

1) in the prior art references themselves;

2) in the knowledge of those of ordinary skill in the art that certain references, or disclosures in those references, are of special interest or importance in the field; or

3) from the nature of the problem to be solved, leading inventors to look to references relating to possible solutions to that problem.

引用文献に表現されているものだけでなく、背景となる技術を考慮し、黙示的にsuggestionがないかどうかを判断する。当業者は技術知識だけでなく、課題解決に向けた想像力や創意のレベルも考慮すべきである。(If, as is usually the case, no prior art reference contains an express suggestion to combine references, then the level of ordinary skill will often predetermine whether an implicit suggestion exists. Persons of varying degrees of skill not only possess varying bases of knowledge, they also possess varying levels of imagination and ingenuity in the relevant field, particularly with respect to problem-solving abilities.

③二次的考慮(例えば、商業的成功、失敗例)

 商業的成功は発明技術そのものに由来するものである必要がある。失敗例も同様、輸送コスト、需要者の要求などに由来する場合は二次的考慮はなされない。

(4)Optivus Technology, Inc. v. Ion Beam Applications S.A. 05-1518, -1534, -1575 CAFC [Nov. 16, 2006]

BRYSON, ARCHER, and LINN(判決:LINN

(背景)Optivus(O社)とLoma(L社)は、プロトンビームによるガン治療装置に関する特許4,870,287及び5,260,581の排他的実施権者及び譲受人(権利者)である。Ion(I社)はO社の競合社である。1999年フロリダ大学(F大)がO社にプロトンビームシステムについて照会する手紙を送った。2000315に照会の期限が切れた。F大は期限切れ後にI社と契約した。20028月O社はI社を特許権侵害で提訴した。I社は特許無効および非侵害で抗弁した。200412月に地裁は特許無効、非侵害の略式判決をした。O社は控訴した。

(CAFC)I社はワシントン大学(W大)の設備(中性子ビームによるガン治療装置)と概念的設計報告書とからプロトンビームによるガン治療装置に関する287特許は自明であると主張した。

 CAFCは、3つの争点:(1) prior art teaching away from the invention(先行技術が発明を成すことを阻害しているか?), (2) motivation to combine references(動機付けがあるか?), and (3) proper application of the law.に焦点を絞った。

 まず、(1)W大の設備はプロトンをベリリウム板に衝突させ中性子を発生させて患者に照射するものである。L社はプロトンビームは殺人光線であるからベリリウム板を外すなどということを当業者は行わないと主張した。しかし、CAFCは、当業者はベリリルム板を単純に取り外さないだろうし、プロトンビームの強度を調節せずにプロトンを直接照射するということもしないだろう。W大の設備において、プロトンによる治療法を阻害するものはないと判示した。

(2)概念的設計報告書に粒子(プロトン、中性子など)によるガン治療に関する開示があり、これをW大の設備に適用する動機付けがあると判示した。

(3)地裁は、上記(1)阻害理由、(2)動機付け、さらに、ヒンドサイトの防止、二次的考慮を行った上で自明であるとの判決をなしており、法の適用が適切であると判示した。

Ⅳ.考察

①以上4つの事件でCAFCは、“teaching-suggestion-motivation test”における先行技術の水準を引き上げて判断すべきという方向を示している。また該testにおいて“teaching away”の適用を推奨している。一方で、“hindsight”によって、高水準発明が保護されないというような弊害が生じないように、バランスすることも主張しているように思う。

②日本の進歩性の判断基準は、平成7年にそれまで使われていた審査基準を廃し、新しい審査基準が適用された。そして平成12年に基準の改正が行われ、現在、その基準が適用されている。審査基準の変遷の概略すると、平成6年以前の基準では、当業者が容易に発明をなし得る場合は進歩性が無いという一般基準と、効果の参酌し、効果に顕著性があれば進歩性があるとの考え方、単なる置換や組み合わせなどのようなものは進歩性が無いとの考え方、それを補足する形で産業分野別の基準が示されていた。

 平成7年から適用された基準では、本願発明と先行文献との差異を認定し、その差異を埋めるに当って「動機付け」があるか否かで判断し、「動機付け」ができない場合は進歩性があるとなった。構成の差異を重視する傾向になった。そのために、パラメータ特許などが多数成立する傾向になった。

 平成12年から適用された基準では、「動機付け」に加えて「阻害理由」という考え方が導入された。これは、2以上の先行技術の構成を組み合わせることによって本願発明の構成を成す場合に、その組み合わせるに当って阻害する理由が無ければ進歩性がないと判断するというものである。また、パラメータ特許については、引用発明にパラメータ等が不記載で対比が困難となる場合において、引用発明の対応する物との厳密な一致点及び相違点の対比を行わずに、両者が類似の物であり本願発明の進歩性が否定されるとの一応の合理的な疑いを抱いた場合には、進歩性が否定される旨の拒絶理由を通知するとなった。

 この平成12年基準の適用との因果関係は明確ではないが、特許査定率が低くなってきており、特許権侵害訴訟では特許無効になる頻度が高くなっている。

 一方、米国では、下図に示すように特許率(USPTO2006年公表)が200654%で過去20年間で最低となっている。日米共に、特許権の取得が統計上は難しくなっている傾向がある。

③高いレベルの発明が成され、それを保護し産業に役立てることが、国家の発展に寄与するという特許制度の主旨を鑑みれば、低レベルの発明を保護することによる弊害は可能な限り抑えるべきである。また、近年、パテントトロールによる特許権の濫用がIT企業を中心に問題視され米国では顕著のようである。また日本の知的創造サイクル専門調査会(平成18217日)でもパテントトロールを「パテントテロリスト」と呼び問題提起している。そして、米国特許の動向を見定めて日本の制度改正を考える旨の発言があった。

 このようなことから、米国特許の非自明性の判断基準は、プロパテントの行き過ぎを是正する方向で、現状よりも厳しいものになるのであろうと予測される。

以上。                                                                                                                                 

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January 24, 2007

韓国改正特許法 概要(2007)

特許法一部改正法律(法律第8197号)(官報1月3日)

1.出願明細書の記載要件緩和
   発明の目的、構成、効果に区分して記載すべきとなっていたものを、弾力的記載ができるように改正。

2.特許請求の範囲の記載猶予
   特許請求の範囲を出願公開前までに提出すればよいことになる。

3.拒絶理由通知するときにはすべての請求項について拒絶理由を具体的に通知することになる。

以上。

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December 18, 2006

米国特許検索 新サイト

Morrison & Foester LLPのAlex Chartove氏からの情報です。

Googleが米国特許検索の新サイトを始めたようです。

URLは http://www.google.com/patents です。

(弁理士 菊間 @ 菊間特許事務所)

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December 16, 2006

H18年(2006年)改正 産業財産権法の概要

商標法関連
-ブランドの保護-
(1)小売業等の商標登録(H19.4.1より施行予定)
 小売業者等が使用する商標について、役務商標として保護する制度が導入される。

(2)団体商標の主体の追加(H18.9.1より施行)
 団体商標の主体が見直され、広く社団(法人格を有しないもの及び会社を除く)も主体となることが可能となる。なお、地域団体商標の主体に関しては拡大されません。

意匠法関連
-デザインの保護-
(1)意匠権の存続期間の延長(H19.4.1より施行予定)
 意匠権の存続期間が15年→20年に延長される。

(2)画面デザインの保護拡充(H19.4.1より施行予定)
 情報家電等の操作画面デザインの保護対象が拡大。

(3)部分意匠の保護拡充(H19.4.1より施行予定)
 部分意匠の出願は全体意匠の意匠公報が発行されるまでに行えば保護される。

(4)関連意匠の保護拡充(H19.4.1より施行予定)
 本意匠の出願日後でも、本意匠の意匠公報が発行されるまでは、関連意匠を出願することが可能となる。

(5)意匠の類似範囲の明確化(H19.4.1より施行予定)
 意匠の類否判断は需要者(消費者、取引業者)の視覚による美感に基づいて行うことが明確化される。

(6)新規性喪失例外適用手続の容易化(H18.9.1より施行)
 新規制喪失例外適用のための証明書提出期間が14日→30日に延長されます。

特許法関連
-発明の保護-
(1)分割制度の拡充(H19.4.1より施行予定)
 分割出願できる時期が追加されます(審査終了まで→審査終了後30日以内まで)。査定後も分割可能となる.

(2)分割出願の補正制限(H19.4.1より施行予定)
 もとの出願等に通知された拒絶理由が解消していない発明を分割出願した場合には「最後の拒絶理由通知」が通知された場合と同じ補正制限が課される。

(3)別発明に変更する補正(シフト補正)の禁止(H19.4.1より施行予定)
 拒絶理由通知後は、技術的特徴の異なる別発明に変更するようなシフト補正が禁止される。

(4)外国語書面出願の翻訳文提出期間の延長(H19.4.1より施行予定)
 最初に外国語で日本に出願する外国書面出願について、追って提出すべき日本語翻訳文の提出期限が2ヶ月以内→1年2ヶ月以内に延長される。

共通項目
(1)侵害行為の範囲拡大(H19.1.1より施行)
 侵害行為に「輸出」が追加される(特許法、実用新案法、意匠法、商標法)。

(2)侵害行為の範囲拡大その2(H19.1.1より施行)
 侵害行為に「譲渡、貸渡し又は輸出のための所持行為」が追加される(特許法、実用新案法、意匠法)。
  
(3)罰則強化(H19.1.1より施行)
 侵害罪及び営業秘密侵害罪についての懲役刑、罰金刑の上限が引き上げられる(特許法、実用新案法、意匠法、商標法)。

(弁理士 菊間 @ 菊間特許事務所)

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May 22, 2006

131番目のPCT加盟国 マレーシア

マレーシアが2006年5月16日に第131番目のPCT加盟国になったとの連絡がWIPOからありました。

PCT出願が、マレーシアで効力を発するのは2006年8月16日以降になるとのことです。

東南アジアの主要国で、PCT未加盟は、残るはタイだけですね。

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March 22, 2006

韓国特許法等の改正(2006)

韓国特許法および韓国実用新案法が、2006年3月3日に公布された。
改正法の施行日は改正事項によって異なるので、下記に施行日毎に主要改正事項まとめた。

A.2006年.3月3日施行
(特許法)
1)土曜日を休日扱い(特14条4号)
   週休二日制により日本と同様の期間計算になった。
2)拒絶決定確定、放棄の場合、先願地位から排除規定(特36条4項)。
   「出願公開前」という相違点があるが、日本特許法39条と同様の規定となった。
3)PCTの国内段階進入時、31ヶ月に延長(特201条1項)
   優先日から30ヶ月に該当する日が2006年3月3日以後のものが該当。
   国内段階(韓国)進入時、韓国語翻訳文提出期限を優先日より31ヶ月に延長。
4)PCT国際出願に対する補正の特例(特208条1項)
   国際出願の明細書の国内段階での補正は国内段階移行基準日経過後に可能。
   基準日が審査請求日である場合、審査請求と同時にも可能。
5)新規性喪失例外規定から公開形態の制限を削除(特30条1項) 。
   あらゆる形態の公開行為が新規性喪失例外に適用可能。
   但し、条約又は法律により国内外で出願公開または登録公告された場合は除く。
   6ヶ月以内に韓国に出願しなければならない。パリ条約の優先権主張による遡及は無い。

(実用新案法)
1)拒絶決定確定、放棄の場合、先願地位から排除規定(実7条4項)。
2)新規性喪失例外規定から公開形態の制限を削除(実5条1項)。

B. 2006年10月1日施行
(特許法)
1)公知公用の範囲拡大(特29条1項1号)
   国内外公知公用を新規性喪失事由に追加。
2)二重出願制度の廃止及び変更出願制度の導入(特53条)
   二重出願制度を廃止して特許と実用新案の間に変更出願制度を導入。
   拒絶査定後30日(または2ヶ月期間延長)以内に,審判請求するか、実用新案へ変更出願するか検討しなければならない。
3)異議申立制度の無効審判制度への統合(特133条)
   特許権の設定登録公告日後3ヶ月以内に誰でも無効審判が可能。
   異議申立制度の完全廃止は2007年7月1日の予定。
4)出願公開前の情報提供が可能(特63条の2)
5)その他
・無効審判請求に対する訂正請求で訂正された請求項は独立特許要件から除外(特133条の2第4項)。
・権利範囲確認審判の請求人資格に権利紛争の直接的当事者である専用実施権者を追加(特135条1項)。
・重複提訴禁止規定を明文化(第154条第8項)。
・植物発明に対する特例を廃し、他の発明と同一の特許要件を適用(特31条削除)。
・国際出願の作成言語に英語及び日本語を明確に追加(特193条1項)。

(実用新案法)
1)審査制度復活
   特許法と同じ審査手続きとなる。
   審査請求期間:3年
2)公知公用の範囲拡大(実4条1項1号)。
3)二重出願制度の廃止及び変更出願制度の導入(実10条)。
4)異議申立制度の無効審判制度への統合(実31条削除)。
5)出願公開前の情報提供が可能(特許法制63条の2準用)。
6)実用新案権の存続期間(実22条)。
   設定登録日に権利発生し、実用新案登録出願日から10年以内。

以上。(Ha&Ha;ChoipatNews;YouMeなどから)

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March 11, 2006

米国特許規則の改正案

 ご存知のことかもしれませんが、

 今年1月に米国特許規則の改正案
http://www.uspto.gov/web/offices/com/speeches/06-01.htmが出されておりました。

 それに対するパブリックコメントが多数出てきています。
 下記WEBサイトでコメント詳細を閲覧できますのでご参照ください。
http://patentlaw.typepad.com/patent/2006/03/comments_on_the.html

 さて、規則改正案では、継続出願、CIP、継続審査請求、自発的分割出願のできる回数を一出願につき1回に制限するというもので、経過措置して規則施行前に既に継続出願等を行った出願についてはもう継続出願等ができないというようなことになっております。

 改正案が規則として発効しますと、米国の特許出願戦略を若干変える必要がでてくるかもしれません。
 しばらくWatchingしていこうと考えております。

 日本でも分割出願の回数制限、補正制限が議論され、その報告書が発行されております。http://www.jpo.go.jp/torikumi/puresu/press_ishou_kouhyou.htm
 こちらも目が離せません。

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February 27, 2006

新規性喪失の例外 ~外国ではどうなる?

産学連携。

大学発明の特許出願に関る機会が増えてきてます。

以前、企業にいたときは30条(新規性喪失の例外)を適用して
出願するなんてことは、
ほとんど無かったんですが、

大学発明の特許出願となると違います。

国公立大学の特許出願の2割強が30条適用(学会発表後の)出願です。

さて、日本で30条の適用を受けなければ出願できない
学会発表してしまった発明を外国で特許できるのか?

●欧州には、学会発表、刊行物公知によって新規性を喪失した発明を救済する規定がありません。
 したがって、欧州では特許がとれません。

●米国では、1年間のグレースピリオド(102(b))があります。これによって救済されます。
 救済を受けるためには、学会発表等で新規性を喪失した日から1年以内に米国出願又は米国を指定したPCT出願しなければなりません。優先権は効きませんから注意。

●韓国では、刊行物公知についてだけ救済される可能性があります。学会発表は適用困難です。
 日本の学会は韓国では適用対象になっていないからです。
 ところで、韓国は、2006年2月末予定で、新規性喪失の例外が改訂されます。
  どうなるかというと、米国のグレースピリオド同様に
  全ての新規性喪失事由に対して適用されるということです。但し、期間は新規性を喪失した日から6ヶ月です。優先権は効きません。

●中国では、刊行物公知についてだけ救済される可能性があります。学会発表は適用困難です。
 韓国同様に、日本の学会は中国では適用対象になっていないからです。
 それから、中国では、中央政府の主管部署が主催した学会又は全国的組織の学会に限って例外が適用され、地方政府等主催の学会、全国的組織の学会から委託を受けた支部等が開催の学会等は適用外だそうです。ですから、中国に現地開発機関を持つ会社は学会の主催がだれなのか現地代理人と相談しなが進めることが必要です。期間は新規性を喪失した日から6ヶ月です。優先権は効きません。

●台湾では、試験又は研究について救済される可能性があるだけです。この試験又は研究に学会発表等が含まれるものであれば例外規定が適用されるようですが、解釈上、ちょっと難しいような気がします。この点の解釈も、それぞれのケースに応じて現地代理人のアドバイスを受ける必要があると思います。期間は新規性を喪失した日から6ヶ月です。優先権は効きません。

このような感じですから、学会発表してしまうと、外国で特許を取得することはかなり厳しくなります。

したがって、発表前に特許出願することを是非お勧めします。

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February 08, 2006

日米共同発明~米国特許出願~

 通信の発達によって、日本と米国とで共同発明するということが多くなっていると思います。そのときに米国出願の外国出願ライセンスはどうなるのかと言う問題があると思います。

 米国特許法の184条には「この国でなされた発明」は、USPTOのライセンスを受けてからでないと外国へ出願してはならないと規定され、それに違反したときは米国で特許権を取得できなくなると、外国出願ライセンスの原則が規定されています。

 この規定は米国内で完成した発明のうち、国家安全保障に関わるものが外国へ無断で持ち出されるのを防ぐのが主旨であったと思います。

 では日米共同発明の場合は、どうなるのでしょう。法の主旨から考えると、既に日本に持ち出されている発明なんだから、いまさらライセンスを受けるというのは形式的すぎ、必要ないのではないかとも考えられます。

 一方、184条の文言をそのまま解釈すると、日米共同発明はその一部(米国持分)が米国で完成したことになり、米国持分に関してはそのまま適用され、ライセンスが必要とも読めます。

 そこで、米国特許弁護士にこの件につき問い合わせたところ、以下のような回答が示されました。

 1)日米共同発明の場合にどうしたらよいかという明確な基準はない。またそれについて明確な回答をした判例も見当たらない。

 2)安全を見るならば、

   ①米国出願して、外国出願ライセンスを得て、外国(日本)出願する。

   ②米国出願したくない場合は、請願書petitionを出して外国出願ライセンスを得、そして外国(日本)出願する。

   ③もしも外国(日本)出願をしてしまったら、善意"through error and without deceptive intent"でしてしまったという請願書petitionを出して、米国出願する。

    ということです。

 そして、国家安全保障に関わる発明でなければ、請願書は受け容れられやすく、他の要件を満たせば、米国特許は許されるだろうとのことです。

 非常にリーズナブルな回答で、ちょっと拍子抜けした感じなのですが、実務上役立つのではないかと思います。 ご参考まで。

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January 15, 2006

25%ルール

特許の実施料の一つの考え方なのですが、

25%ルール

(営業利益×25%)/売上高=実施料率

例えば 売上   100億円

    原価    30億円

    限界利益  70億円

    営業経費  30億円

    営業利益  40億円

    実施料=40億×25%/100億=10%

とするんだそうです。

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November 21, 2005

米国特許:情報開示と不公正行為

米国の情報開示義務(IDS)と、フロードとの関係。

米国特許法には、関係者は特許に関わる文献等情報を特許庁に開示しなければならないとなっています。

一方で、特許庁に対して不実な手続きをして特許を得た場合にはフロード(不公正行為)と呼ばれ、権利行使ができなくなります。

IDSで情報を開示しなければならない人は:

 特許出願に関わった人全員(発明者、発明者の上司、同僚、部下等、企業の知財部門、代理人[日本弁理士、米国特許弁護士等]など幅広い人)が義務を負います。

開示しなければならない情報は:

 特許出願にかかる発明の特許性に影響を与えるおそれのあるもの全て。ただし、同じような記載をした文献はそのうちの一つ(最も特許性に影響を与える文献)を出せばよいとなっています。

 必ず出す方がよい情報は対応する外国審査で引用された文献(国際調査報告記載の文献、EP調査報告記載の文献など)です。

 非英語文献については、英訳を出す義務はないのですが、発明との関係が強い部分の翻訳、要約の翻訳をすることが好ましいとされています。

フロードとなる要件:

 特許庁を騙す意図と、開示しなかった情報の重要性 とのバランスで判断されます。

 騙す意図があれば、情報の重要性が低くても、フロードになります。

 騙す意図が無くても、情報の重要性が高いと、フロードになります。

 意図があり、重要性高ければ、フロードになります。

 意図が無く、重要性が低い場合にフロードは成立しません。

 重要性の高い情報というのは、その情報を審査官が知っていたら特許しなかったであろう情報です。このような情報を提出しないとフロードになる可能性は高くなります。

 騙す意図の強弱、有無は、提出義務者の特許出願準備段階、出願段階、審査段階における、行動を全体評価して判断するようです。

 IDSに関する代表的事件としては、半導体エネルギー研究所事件が挙げられます。

 この事件は騙す意図が強かったということでフロード認定が成されました。この事件では発明者の行動に問題があったと理解しています。

1)代理人が情報を開示しようとしたら、それを阻止した。その代理人を解任までしたようです。

2)発明との関連性のある部分を翻訳しなかった。

3)関係のないところの部分訳を提出した。

4)大量の先行技術文献を提出し、重要な文献をその中に埋もれさせ、発見しにくくした。

  などがあったようです。

 この判決からの実務的指針としては、非英語文献の部分訳を出すときには出願発明と関連性の高い部分を約することが必要になります。全訳を提出することで前記2)と3)の誤りを回避できますが、費用を要しますので、適切な部分訳を提出することが大切だと思います。

 なお、審査官が、ある特定の非英語文献(審査官が重要だと思ったもの)の全訳を要求してくる場合があります。この場合でも全訳を提出する義務はないのです。ただ、提出しないと心証が悪くなるでしょうから、この場合矢も得ませんが、全訳を提出しておいた方がよいと思います。

 余談になりますが、現在、米国特許法改正案が議会で審議されていますが、その改正案にはこのフロードの規定を廃止するというものが含まれています。騙す意図と重要性のバランスで判断するという不明確な制度は法的安定性を害しよろしくないというのが理由のようです。

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November 20, 2005

無効審決後の訂正審決で訂正が容認されたケース

判例 平成17年10月18日 第三小法廷判決 平成17年(行ヒ)第106号 審決取消請求事件
要旨:
 1 特許を無効にすべき旨の審決の取消請求を棄却した原判決に係る事件の上告審係属中に当該特許について特許請求の範囲を減縮する旨の訂正審決が確定したことにより原判決を破棄する場合に,上記無効審決を取り消す旨の自判をした事例
 2 特許を無効にすべき旨の審決の取消訴訟の係属中に当該特許について特許請求の範囲を減縮する旨の訂正審決が確定したことにより上記無効審決を取り消す場合に,訴訟の総費用を特許権者に負担させた事例

訂正審判の結果をどうして高裁は待たなかったんだろうね。 訂正審判請求が遅かったのかな?

現行法ですと、訂正審判請求できる期間が制限されているから、訂正審判の審決が遅れるということが無くなるのでしょう。

しかし、訴訟の総費用を特許権者の負担というのもね。

特許庁の訂正審決の遅れが原因で上告までしなければならなかった特許権者のことを考えると解せないところもある。

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November 14, 2005

パラメータ特許~知財高裁判決

特許異議申立において特許取消審決がなされていた出願についての、

審決取消訴訟の判決(平成17年(行ケ)第10042号 特許取消決定取消請求事件)が、知財高裁によって11日に出されました。

請求項1は

「ポリビニルアルコール系原反フィルムを一軸延伸して偏光フィルムを製造するに当たり,原反フィルムとして厚みが30~100μmであり,かつ,熱水中での完溶温度(X)と平衡膨潤度(Y)との関係が下式で示される範囲であるポリビニルアルコール系フィルムを用い,かつ染色処理工程で1.2~2倍に,さらにホウ素化合物処理工程で2~6倍にそれぞれ一軸延伸することを特徴とする偏光フィルムの製造法。
   Y>-0.0667X+6.73 ・・・・(I)
   X≧65            ・・・・(II)
   但し,X:2cm×2cmのフィルム片の熱水中での完溶温度(℃)
   Y:20℃の恒温水槽中に,10cm×10cmのフィルム片を15分間浸漬し膨潤させた後,105℃で2時間乾燥を行った時に下式浸漬後のフィルムの重量/乾燥後のフィルムの重量より算出される平衡膨潤度(重量分率)」

特殊な数式等で物質を規定した、いわゆる、パラメータ特許です。

この訴訟で知財高裁は、

 先ず、特許請求の範囲は、明細書の記載でサポートされていなければならない(サポート要件)とし、

 そのサポート要件は

 特許請求の範囲の記載が,明細書のサポート要件に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべき

とし、

特許請求の範囲の記載が,明細書のサポート要件に適合するためには,発明の詳細な説明は,その数式が示す範囲と得られる効果(性能)との関係の技術的な意味が,特許出願時において,具体例の開示がなくとも当業者に理解できる程度に記載するか,又は,特許出願時の技術常識を参酌して,当該数式が示す範囲内であれば,所望の効果(性能)が得られると当業者において認識できる程度に,具体例を開示して記載することを要する

ものと解すべきと言っております。

さらに、

その数式の示す範囲が単なる憶測ではなく,実験結果に裏付けられたものであることを明らかにしなければならないという趣旨を含むものである。・・・・・・・特許出願後に実験データを提出して発明の詳細な説明の記載内容を記載外で補足することによって,その内容を特許請求の範囲に記載された発明の範囲まで拡張ないし一般化し,明細書のサポート要件に適合させることは,発明の公開を前提に特許を付与するという特許制度の趣旨に反し許されないというべきである。

と判示しております。

特許庁は、パラメータ特許に対して厳しい態度で審査しており、簡単に特許されない状況になってきています。

パラメータ含みの出願は明細書の作り(特に実施例をクレーム範囲全体をサポートするようにバラエティーを持って書くこと、出願後の実験証明書による追加実験での立証は許されない)に注意が必要かと思います。

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November 01, 2005

機能的表現を含むクレームの解釈

機能的表現を含むクレームの解釈は、悩むところである。

 表現された機能を奏するものは全て含むと解釈すべきなのか?

 米国特許法では、「means plus function」とよばれる機能的表現をした時は、明細書に記載された構造的表現及びそれに均等な物までを意味するとして、権利範囲を制限している。

 日本ではどうか?

 下記に挙げたような裁判例を見ていると、やはり明細書に記載された内容に制限されているように思える。

◆H13. 5.31 大阪地裁 平成11(ワ)10596等 特許権 民事訴訟事件
「以上の事実によれば、B発明の請求項1の「弾性手段」は、明細書の発明の詳細な説明中にその技術的な意義について明確な記載がなく、出願当初の明細書の特許請求の範囲には記載がなかったところ、当初明細書の実施例の記載に基づいて、補正によって、開き戸の解除の際に「弾性手段の抵抗」が作用するという構成が加えられたものであって、実施例においては、「弾性手段」が、ドア側ではなく吊り戸棚等の本体側に係止手段や解除具と共に設けられ、係止手段ないし解除具が初期状態に戻る経路に位置したものになっている構成しか開示されていない。加えて、弾性手段を有する開き戸の地震ロック装置に関する公知技術が存すること等をも考慮すると、B発明の「弾性手段」とは、B明細書の実施例に示されているように、弾性手段は、装置本体に係止手段や解除具と共に設置され、係止手段ないし解除具が初期状態に戻る経路に位置して、係止手段ないし解除具が戻るのを抑える機能を持つものに限られるものと解釈するのが相当である。」

◆H16. 7.30 大阪高裁 平成15(ネ)3656 特許権 民事訴訟事件
◆H16. 7.30 大阪高裁 平成15(ネ)3657 特許権 民事訴訟事件
「本件明細書の特許請求の範囲の記載においては、「接着剤」なる用語と「シーリング剤」なる用語が、わざわざ区別して用いられており、これに接した当業者は、明細書中の他の部分に、両者が同一のものであってもよいなどの格別の記載や示唆がない限り、両者を異なるものと認識するのが通常であると解されるし、また、そのような理解が、後記する当業界の技術用語の通常の意味とも合致するものといい得る。」

 クレームの範囲が外見上広くなったかのような機能的表現も明細書の書き方次第で制限を受けてしまうということになりそうである。

 明細書作成には、この点に留意する必要がありそうだ。

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September 20, 2005

フィリップス事件(米国CAFC大法廷判決) 特許クレーム解釈について

Edward H. Phillips v. AWH Corp. (03-1269,-1286 CAFC, July 12, 2005)

en banc

米国特許侵害におけるクレーム解釈の証拠として、内的証拠と、外的証拠とがある。

  内的証拠は、出願明細書と出願審査経過書類と言われている。

  外的証拠は、辞書、専門家証言などと言われている。

 

 マークマン米国最高裁判決以来、内的証拠と外的証拠とによって、クレーム解釈が行われていたが、

  内的証拠と外的証拠の取扱について基準が明確にされておらず、地裁において異なる扱いがされることがあった。

 CAFC en banc は、

   内的証拠と外的証拠との関係、

   外的証拠の扱いについて

  7つの質問を提示し、それに応える形で判決が示された。

 

 以下が質問に対する回答である。

質問 
1.1
クレーム解釈にあたり、
①技術的及び一般的辞書を主として参照すべきか、
②明細書中の特許権者の用語の用法を主として参照すべきか?
明細書中の特許権者の用語の用法を主として参照する。 ⇒②
明細書が、他の場合に有しているであろう意味とは違う、特許権者によってクレーム用語に与えられた特別な定義を明らかにする場合、発明者の辞書編纂によってクレーム用語の意味がきまる。明細書がクレーム範囲を意図的には放棄又は否認を明らかにした場合も、発明者はそのように正しくクレーム範囲を示しているとみなされる。
出願経過書類も考慮すべきである。
外部証拠はクレーム用語をいかに読むかを決定する場合に、内部証拠よりも、より信頼性が低い
1.2
辞書と明細書いずれも参照すべきとしたら、どのような順番で考慮すべきか?
外部証拠はクレーム解釈において有用であるが、内部証拠より重要ではない。
外部証拠は、内部証拠の文脈において考慮されない限り、特許クレームの信頼できる解釈を結果として生じそうにない。

順序は重要ではない。重要なことは特許法と特許法が知らせる政策に照らしソースに適切な重みを割り当てることである。

質問1.1の回答が②であったので、質問2は省略

3
辞書はどのように利用すべきか?
例えば、単一の実施態様しか開示されておらず、広がりについて示唆する記載がないような場合、クレームの文言の通常の意味の範囲は、明細書中に開示された発明の範囲に限定されるべきか?
外部証拠は、それぞれの種類の証拠に固有の欠点を心に留めておき、それに応じてその証拠を評価しなければならない。

①外部証拠は特許の一部ではなく、
  特許の範囲と意味を説明する目的のために特許出願時に作られた明細書のような長所を有していない。
②クレームはその技術における仮想的な技術者によって理解されるであろうように解釈される。
 外部の出版物は技術者によってあるいは技術者のために書かれたものでないかもしれず、それゆえに特許技術における技術者の理解を反映していないかもしれない。
③専門家の報告書及び証言で構成される外部証拠は、訴訟のときに訴訟の目的で作られたものであり、それゆえに内部証拠において存在しない先入観を有する可能性がある。
 その先入観によって、専門家が関連する技術における技術者で無い場合、若しくは専門家の意見が反対尋問にさらされていない形で提供された場合には、外部証拠としての価値が悪化する傾向がある。
④クレーム解釈問題に関して提出可能だが、関連性があまり重要でない外部証拠は事実上際限なく存在する。
 訴訟の過程において、各当事者は自然とその主張にもっとも有利な外部証拠を選択するだろうから、裁判所は有用な外部証拠をフィルタリングしなければならなくなる。
⑤外部証拠に過度に依存すると、「クレーム、明細書および出願経過書類から構成される争い余地のない公的な記録の価値を低下させ、クレームの意味を変えるために使用されるリスクが生じ、それによって特許の公衆への通知の機能を低下させる。

4
CAFCパネルの多数意見の解釈方法と少数意見の解釈方法は相反するものではなく、補完的関係にある。クレーム範囲を規定するのに二重の制限が存在する。クレーム範囲を解釈するに当たって、これら二つのいずれの解釈方法も満たすようにしなければならないのか?
Yes

5
102条、103条、112条等により無効とされることを回避することのみを目的として、クレームの文言を狭く解釈する場合があるとすれば、それはどのような場合か?
クレームが有効性を維持するように解釈されるべきであるという原則は、クレーム解釈の利用可能なすべてのツールを適用した後、クレームが依然として、多義的であると結論した場合に限って、適用する。

6
クレームの用語の意味を決するにあたり、出願経過及び当業者による専門家証言が果たすべき役割は何か?
クレーム用語の定義に関する専門家による、実証されていない主張は裁判所にとって有用ではない。
クレーム自体、説明の記載及び出願経過書類によって与えられるクレーム解釈に明らかに反する専門家の証言を割り引いて考えるべきである。

7
Markman最高裁判決及びCybor CAFCenBanc判決に従うとした場合に第一審の決定に対して何らかの点で従うことは適当なことか?それは、どんな点に、いかなる状況において、いかなる程度で行われるか?
今回、この争点については扱わないとした。
従前のenBanc判決はそのまま残すことにした。

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August 19, 2005

パテント・ポートフォリオ

知的財産権(Intellectual property)、無形資産(Intangible property)の価値評価が最近話題になってますよね。昨年度、一部企業から知財報告書がIRとして開示されてました。

知的財産価値評価推進センター(丸島儀一さんがセンター長です)の評価人候補者に私も登録してますが、実際に知財権等の価値評価となると、結構悩む部分がかなりあります。

*権利を取得するのに要した費用を基準にして算出するのか?
*権利を買い取るのに要すると思われる購入額を基準にして算出するか?
*その権利を行使することによって生じる利潤額を基準にして算出するのか?

そんなところでNRIが、新しいソフトを開発したようです。

TRUE TELLER パテント・ポートフォリオ

テキストマイニング技術を使って、
明細書の中身の解析までできるということですが、
実力の程は如何に?

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June 18, 2005

専用実施権を設定した特許権者の差止請求権

 昨日、最高裁が、専用実施権を設定した特許権者に差止請求権があるかどうかについての判断を行った。

 これまで、専用実施権を設定した特許権者に訴権があるとの地裁レベルでの判決例(山口地判昭38.2.28「合成浮子事件」、東京地判昭39.3.18「ズボン腰裏地事件」)はあったらしい(吉藤著「特許法概説」)が、最高裁による判断はこれが初めてらしい。

 事件は、特許権(特許番号第2621842号、発明の名称「生体高分子-リガンド分子の安定複合体構造の探索方法」)についての特許権者と専用実施権者とが共同原告となり、被告のプログラムを記録した媒体の輸入販売行為の差止めを求めたものであった。

 東京地裁(平成15.2.6判決、平成13年(ワ)第21278号)は、この請求に対して

 「特許権に専用実施権が設定されている場合には、設定行為により専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、差止請求権を行使することができるのは専用実施権者に限られ、特許権者は差止請求権を行使することができないと解するのが相当である。」

 と判断し、特許権侵害も認めず、原告の請求を棄却した。

 これに不服な原告は控訴した。(通説とは反対の結論だから、不服に思うのはそのとおりだと思うにゃ)

 東京高裁(平成16.2.27判決、平成15(ネ)第1223号)は、

 「特許法100条は、明文をもって「特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。」と規定している。

 しかも、専用実施権を設定した特許権者にも、次のとおり、上記権利を行使する必要が生じ得るのであり、上記権利の行使を認めないとすると、不都合な事態が生じ得る。これらのことからすれば、専用実施権を設定した特許権者も、特許法100条にいう侵害の停止又は予防を請求する権利を有すると解すべきである。

 専用実施権を設定した特許権者といえども、その実施料を専用実施権者の売上げを基準として得ている場合には、自ら侵害行為を排除して、専用実施権者の売上げの減少に伴う実施料の減少を防ぐ必要があることは明らかである。

 特許権者が専用実施権設定契約により侵害行為を排除すべき義務を負っている場合に、特許権者に上記権利の行使をする必要が生じることは当然である。

 特許権者がそのような義務を負っている場合でも、専用実施権設定契約が特許権存続期間中に何らかに理由により解約される可能性があること、あるいは、専用実施権が放棄される可能性も全くないわけではないことからすれば、そのときに備えて侵害行為を排除すべき利益がある。

 そうだとすると、専用実施権を設定した特許権者についても、一般的に自己の財産権を侵害する行為の停止又は予防を求める権利を認める必要がある、というべきである。」

 と判断し、さらに特許権侵害も認める判決を行った。

 この高裁判決に不服の被控訴人は上告し、今回の最高裁判決となった。

 最高裁は

「特許法100条1項の文言上,専用実施権を設定した特許権者による差止請求権の行使が制限されると解すべき根拠はない。

 また,実質的にみても,専用実施権の設定契約において専用実施権者の売上げに基づいて実施料の額を定めるものとされているような場合には,特許権者には,実施料収入の確保という観点から,特許権の侵害を除去すべき現実的な利益があることは明らかである上,一般に,特許権の侵害を放置していると,専用実施権が何らかの理由により消滅し,特許権者が自ら特許発明を実施しようとする際に不利益を被る可能性があること等を考えると,特許権者にも差止請求権の行使を認める必要があると解される。

 これらのことを考えると,特許権者は,専用実施権を設定したときであっても,差止請求権を失わないものと解すべきである。」

 と判断し、控訴審判決を支持し、上告を棄却した。

 これにより特許権者側の勝訴が確定したわけですが、

 損害賠償請求権については、どうなんでしょうねぇ? 同じ理論で認められるんでしょうかねぇ?
  損害発生及び相当因果関係の立証が難しいのかな? 債権者代位でやるのかなぁ?

 ところで、この事件の特許権者は、95年に「東大にいては、自分の研究成果が生かせない」といって独立した、板井昭子氏なんですね。コンピュータを用いて新薬を創出するという新しい開発手法を取り入れて、ベンチャー企業を設立した、それが、共同原告の株式会社医薬分子設計研究所なんですね。

 こういう先駆的な人はちゃんと保護されないといけないですよね。判決を支持します。

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May 19, 2005

科学技術振興機構:平成17年度特許出願支援制度募集のお知らせ

 大学等での発明を海外で特許化するための支援を、科学技術振興機構(JST)が行っています。詳細は下記のURL又はJSTに直接にお問合せください。

 JSTのご担当者のお話では、企業化の可能性の高いものに優先的に支援するそうです。本年度は海外出願1300件程度に支援する予定らしいので、これはという発明はこの支援制度を利用して海外での権利化をされたらいかがかと思います。

http://www.jst.go.jp/giten/saiteki/main/07_4.html

問合せ先:
科学技術振興機構 産学連携事業本部 産学連携推進部 技術移転支援センター(権利化支援担当)
TEL:03-5214-8413 FAX:03-5214-8476
E-mail:kenri@jst.go.jp  (特許相談、特許出願支援)
E-mail:kenri2@jst.go.jp (知的財産権研修会)

私が居ります、内田特許事務所では、外国特許庁への出願(日英翻訳:弁理士が翻訳をします。)、外国特許庁からの拒絶理由に対する応答、外国特許権の維持管理などの手続を代理しております。

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韓国特許法改正案

1.2006年10月施行予定の韓国特許法の概要です。

1)国際出願の翻訳文提出期限を1ヶ月延長し、優先日から31ヶ月になるようです。

2)異義申立制度が廃止され、無効審判と統合されます。改正法では特許登録公報発行日から3ヶ月以内は何人も無効審判を請求でき、それ以降は利害関係人が無効審判を請求できるとなるようです。

3)実用新案制度が大幅に変わります。①無審査登録制度から審査登録制度に変わります。②二重出願制度が廃止され、出願変更制度が復活します。審査請求は出願日から3年以内に行い、権利の存続期間は10年間です。

2.特許法施行規則の改正

1)優先権証明書類の韓国語翻訳文の提出義務が廃止されます。
 2006年1月1日以降に提出期限のくる案件が対象。翻訳文の提出義務はなくなりますが、優先日と韓国出願日との間に公開された引例が発見された場合で審査官が必要であると判断したときは提出命令がでるようです。 韓国語翻訳文の提出は費用的にも負担が大きかったので、出願人の負担がかなり減ります。

3.2005年7月から、韓国特許庁は週休二日制導入で、土曜日を休庁とするようです。これにより、いままで土曜日期限のオフィスアクションが月曜日まで延ばすことができることになります。

以上。

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特許庁発表:平成17年度 特許出願に関する先行技術調査の支援制度のお知らせ

 中小企業・個人の方からの特許出願について、出願人本人の依頼に応じて、特許庁から委託を受けた民間調査事業者が無料で先行技術調査を行い、調査の結果を送付するという支援制度を今年度行うとの発表が特許庁よりありました。審査請求を行うか否かの判断のための参考に活用できると思います。

http://www.jpo.go.jp/torikumi/chushou/senkou_chousa.htm

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March 01, 2005

日本特許庁が新着情報のメール配信開始

2005年3月1日から、日本特許庁が新着情報をメールで配信するサービスを開始した。

配信される内容は、
(1)制度の紹介
(2)出願から審査、審判、登録まで
(3)特許庁の紹介
(4)特許庁の取り組み
(5)資料室
(6)調達・公募情報
(7)意見募集(パブリックコメント)
 で、申し込み時に配信内容を選択できます。

登録HP (http://www.jpo.go.jp/torikumi/hiroba/mail_mag.htm) で申し込むことができます。

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February 27, 2005

英国特許 クレーム解釈の原則

 英国特許のクレームの意味を決定するのには、当該クレームをその文脈において解釈しなければならない。その解釈方法は次のように行う。
(a) 原則として、欧州特許条約の第69 条の規定に従う。すなわち、保護範囲はクレームの文言によって決定される。加えて、明細書及び図面がクレームを解釈するために用いられる。つまり、クレームはその文脈において解釈されるのが原則である。
(b) クレームは「合目的的に」解釈される。 なお、発明の目的は明細書及び図面に基づいて確定される。
(c) クレームは、それだけをもって解釈してはならない。また、明細書及び図面は曖昧さを解決するためだけに用いてはならない。発明の目的は、クレームの解釈において不可欠である。
(d) しかし、目的だけでクレームを解釈しない。クレームの文言の意味が重要である。また、「単
なるガイドライン」としてクレームを使用することも、欧州特許条約第69 条において除外されている。特許権の保護範囲を正確に描写するものはクレームの文言である。
(e) 特許権者がクレームの中で、明らかに意図的に排除または制限をしている場合、それらは何らかの意味を持つので、意図的な排除又は制限は無視できない。
(f) 特許権者が(狭義的か広義的かを問わず)特別な意味をもつ言葉又は表現を文脈から外れて用いている場合、その言葉又は表現は必ずしも文脈上の意味を有するとは限らない。
(g) 英国の特許法には一般的な「均等理論」は存在しない。
(h) しかし、合目的的な解釈により、クレームの中の一要素とそれに匹敵する侵害被疑部の要素の間の技術上の些細な又は取るに足らない相違が、合目的的にそのクレームが解釈された場合に当該クレームの一要素の意味に含まれるということもある。
(i) 合目的的な解釈は逐語的な言葉の分析を認めるものではない。
{TOKLIB01/TOKLNP/42389.01(Feb. 9, 2005、Mayne Pharma vs. Pharmacia Italia;英国控訴院)}
以上。


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February 21, 2005

ボールペン

よく「特許出願中」というコメントが売られている商品の裏側に書かれていたりしますよね。 この特許出願中に関してですが、 さて仮にAさんが、ある斬新な形のボールペンを発明し販売を始めたとします。 その後、その発明したボールペンと同じ形であるB社のボールペンが店で売られているのを見つけました。 そして、そのB社のボールペンのパッケージには「このボールペンに関する発明について特許出願中」と書かれていました。

このような状況ではAさんがボールペン(←古屋さんご指摘ありがとうございます、なおしました)
を製造、販売する事はB社の特許権を侵害する可能性が、高いか低いかのどちらでしょうか。

答えは、低いです。
というより詳しくいうと特許出願中しただけでは特許権は得ることができないので、
侵害は成り立たず、他者の実施の差し止めはできないです。


1)「特許出願中」で権利侵害は無いけど、権利が発生したら、どうする?

 出願した内容が、そのまま権利が成立するとは限りません。特許庁の審査で、出願内容を補正することがあります。成立した特許権の権利範囲を確認しましょう。権利範囲の確認を弁理士が助けてくれるでしょう。

2)権利範囲を確認した結果、残念にもAさんのボールペンが権利範囲に含まれることになっていたら、どうするか?

 特許庁の審査が完璧だったとは限りません。審査官が使わなかった又は知らなかった公知文献等を探しましょう。公知文献を添付して無効審判を請求し、請求が認められれば、特許は無効になります。無効審判の請求は弁理士が代行してくれます。

3)特許を無効にできそうもない。どうしよう?

 Aさんの販売開始日、製造開始日、製造又は販売準備をした日を確認しましょう。
 Aさんの販売開始日が、Bさんの特許出願日前なら、「先使用権」という権利を主張して、継続してAさんはボールペンを製造販売できることになります。
 販売開始日が出願日後でも、ボールペンの製造開始日、製造又は販売準備をした日を確認してください。製造又は販売準備をした日が出願日前なら「先使用権」が主張可能です。

4)ボールペンの仕様を変えよう。

 Bさんの権利範囲から外れるボールペンに設計変更すれば、問題はなくなります。でも設計変更したつもりでも、権利範囲にまだ包含されているということもありますので、弁理士などの専門家に相談した方がよいですね。

5)Bさんと交渉しましょう。実施権(ライセンス)をもらうなどして、ボールペンの製造販売を継続できるように策を講じましょう。ボールペンの製造販売を中止することになれば損害は大です。ライセンス料を支払っても、事業を中止することになるよる、損害が小さいなら、ライセンスを受けた方が得です。 ライセンス契約などの仲介も専門家にまかせることもできます。


 

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January 26, 2005

物質特許制度を導入 (インド)


05年1月1日からインド特許法(第3次改正)に物質特許制度が導入された。これによりTRIPS協定に定められた基準に合致する法的枠組みができたことになる。インドにおける医薬品、化学品の開発・製造などに影響が出そうである。なお、今後、制度の微調整が行われる可能性も残るので監視が必要と思われる。

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December 06, 2004

語呂合わせ

身一つ世一つ、行くに無意味、いわく無く身、文や読むに、虫散々闇に無く。


意味解りそうで解らないでしょ。
(答え)
π=3.141 592653 589793 238462 643383279
でした〜
高校受験とか、大学受験とかでいろんな語呂合わせで覚えた記憶がよみがえってきます。

弁理士試験でも、語呂合わせで条文を覚えてた人いるのでは?

情報お待ちしてます。

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November 01, 2004

知財にのめり込んだ切っ掛け(2)

 吉藤を買ったといっても、すぐに買えたわけじゃない。近所の本屋では、「何それ?」って感じ。仕方なく横浜伊勢崎町にある本屋へ行ったが、無い。出版社に問い合わせてみると、改訂版がもうじき出るとのこと。仕方なく改訂版を予約注文し、その代わりに橋本の「特許法」を買った。この本、今は絶版になっていて、「赤本」と言う名で受験生の間で通っているらしい。赤本を片手に自分の部屋に戻った私は、早速、読み始めた。

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October 08, 2004

知財にのめり込んだ切っ掛け(1)

 私は入社後研究室に配属され夜遅くまで情報媒体材料の研究開発をしていた。当時私がやっていた研究開発はT社の特許権を潜り抜けるために、どうしたらよいかで苦労していた。私は月2回の頻度で社内発行されてくる特許情報速報を読んでは、「また、やられた。」と他社出願に苦りきっていた。特許権というのは研究開発にとって本当にやっかいな邪魔なものだとつくづく思った。そんな頃、同じ研究室の先輩から弁理士という資格があることを知ることになった。当時、弁理士という資格に差ほど興味があったわけではなかったが、特許権という邪魔者が何とかならんかと、会社帰りに本屋に立ち寄り吉藤を買った。これがのめりこみの序章である。

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