June 11, 2008

Quanta Computer, Inc. v. LG Electronics, Inc. 06-937 米国最高裁判決 ~消尽~

(背景)
 特許権者LGとIntelは、LG特許(コンピュータ)を実施するためのマイクロプロセッサおよびチップセットの製造販売をIntelに許諾する旨および特許消尽を修正する意図はない旨のライセンス契約を締結した。

 LGとIntelは別の基本契約書において、該ライセンスはIntel製マイクロプロセッサおよびチップセット(特許部品)をIntel製以外の部品と組み合わせてコンピュータを製造することにまで拡大適用されないとの通知書をIntelが顧客に与えることを要求していたが、基本契約の不履行によってライセンス契約は影響しないことになっていた。

 Intel社はQuanta社に特許部品を販売した。Q社はIntelから購入した特許部品をIntel製以外の部品と組み合わせてコンピュータを製造し販売した。

 LGはQuantaを特許権侵害で提訴。

 CAFCは、方法の特許権には消尽論は適用されない。LGは、Intel製以外の部品と組み合わせたQuantaに特許部品を販売することを、Intelにライセンスしていない。としてQuantaはLG特許権を侵害していると判決した。

 Quantaは上告した。

(最高裁)
 最高裁はこのCAFCの判断を却下した。すなわち、LG特許を実施するための特許部材を販売したことでLG特許は消尽したと最高裁は判断した。

 最高裁は、(1)方法特許にも消尽論を適用する。(2)もし製品が特許発明を実質的に具現化する物である場合はその製品によって消尽を引き起こさせる。(3)Intel社からQ社への販売はLGによって許されたものである。と判断している。

 特許された方法は、機械装置の販売方法と同じ方法で販売されることはないが、方法が具現化される製品の販売が特許権を消尽させる。LG特許を実施するために必要なものは、前記特許部品以外には通常のプロセスまたは汎用部品があればよく、該特許部品の実施が当にLG特許の具現化に他ならない。

 特許製品が、一旦、適法に製造し販売された場合には、特許権者の利益のために暗に示された製品の使用法についても制限を受けることはない。

 特許権が消尽されるためには、特許権者から許可された販売がなされていなければならない。ライセンス契約は、Intel製以外の部品と組み合わせてコンピュータを製造するための特許部品の販売を制限していない。顧客に対して通知することが求められているだけで、それの不履行によってライセンス契約が破棄されることになっていない。すなわち、Intelは特許部品をIntel製以外の部品と組み合わせてコンピュータを製造しようとしている第三者へ販売することをLGから許されていることになる。Intelの特許部品の販売は特許権を既に消尽させており、LGによる暗黙のライセンスが第三者に対して為されたか否かは関係ない。

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May 24, 2008

Aventis Pharma S.A. v. Amphastar Pharmaceuticals, Inc. 2007-1280 CAFC May 14, 2008

実験成績証明書⇒不公正行為⇒権利行使不能

Rader, Prost, Moore (判決:Prost)

血液凝固剤"Lovenox"をカバーする特許権(USP5389618)の侵害でAventis社がAmphastar社を提訴した。地裁はAventisは不公正行為により権利行使できないと判断した。Aventis社は控訴した。

特許審査中に、Aventis社の従業員Uzan博士が、USPTOに、従来技術よりもAventisの特許薬品は半減期が長いことを実験成績証明書で示した。

しかし、Uzan博士が示したデータは、異なる処方量による半減期の実験結果であった。
実際は、同じ処方量での対比において、半減期はほとんど変わらないものであった。

CAFCは、Uzan博士が異なる処方量におけるデータを示したのは故意ではなく、うっかりによるものであるとの主張を退け、騙す意図に関する地裁の判断に誤りは無いとして、地裁判断を支持した。

以上。

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May 03, 2008

Litecubes, LLC v. Northern Light Products, Inc. 2006-1646 -- On April 28 2008

(概要)特許権および著作権者のLitecubes社が、NorthernLight社を権利侵害で提訴した。NorthernLight社はGlowProduct社というカナダ国籍の会社としてビジネスを展開していた。地裁は権利侵害を認定した。GlowProduct社が控訴した。

GlowProduct社は、米国内に事務所、資産など一切持たず、カナダから直接に顧客に商品を送っていた。

本件で対象となった物品はFOBでカナダから米国へ輸入されていた。すなわち、物品がカナダにまだある間に物品の所有権だけが移転されていることになる。米国に輸入をしているのは顧客ということになるので、GlowProductは輸入をしてないことになる。

ここで、FOBとは、本船渡条件のことである。貿易取引を行なう際、貨物を港で本船に積み込むまでの梱包費、検査費、通関費などの費用とリスクを輸出者が負担するという価格条件。それ以降は輸入者が運賃、輸入関税などの費用とリスクを負担する。貨物が本船の舷側欄干を越えたときに費用とリスクが移転する。

ところが、CAFCは、FOBであるにも関らず、NorthernLight社(GlowProduct社)は米国内で販売または頒布を行っているとして、特許権および著作権の侵害を認定した。

以上。

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April 17, 2008

Akira Akazawa v. Link New Technology Int. Inc. 2007-1184 March 31, 2008 CAFC

~権利譲渡は日本法に準拠すべき~

(概要)Yasumasa Akazawa氏の単独発明の米国特許5615716についての権利侵害について、日本法における相続人Akira Akazawaには米国において訴訟する権限が無いとの地裁略式判決をCAFCが取り消し差し戻した。

(地裁)日本法では権利者の死亡によってその権利は相続人に届出なしでも移転される。地裁は、米国特許法によれば、特許権の移転は契約(意思表示)によって行われる。死に臨んでYasumasa Akazawaは権利の移転についての意思を示さなかった。Yasumasaの財産の一部である特許権は管財人による法律文書によって正式な移転手続がなされるまで、Akira Akazawaに移転されない。よって、Akira Akazawaには権利侵害に対して訴訟を起す権限がないと略式判決した。

(CAFC)移転に関して判例法において確立されている。権利の移転は連邦法ではなく、州法に従って判断されてきた。本ケースでは外国法に従って判断すべきである。

米国特許権は、日本法による相続によって移転されているので、Akiraに訴訟を起す権限がある。

以上。

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April 02, 2008

Tafas v. Dudas 米国特許法差止事件の本訴判決 USPTO敗訴

4月1日:ヴァージニア東部地区連邦地裁は、USPTOの規則改正①②③は、特許法によって与えられた権限を超えるものであり、許されないとの判決をした。

 ①継続出願の回数制限(The 2+1 Rule)
 ②クレーム数の制限(the 5/25 Rule)
 ③審査支援書面の提出(the ESD)

今後、USPTOが控訴するかどうかは不明であるが、

 控訴によって逆転判決を得るか、特許法が改正されない限り、本規則が施行されることはないことになった。

以上。

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February 12, 2008

Int’l Gamco, Inc. v. Multimedia Games, Inc. 2007-1034 Oct. 15, 2007

Int’l Gamco, Inc. v. Multimedia Games, Inc. 2007-1034 Oct. 15, 2007

Rader, Friedman and Moore (判決Rader) CAFC

(概要)
 独占事業ライセンス"Exclusive Enterprise License"(独占地域"teritorial"ライセンスと独占的使用範囲"field of use"ライセンス)を持つGamco社(G社)がMultimedia Game社(M社)を米国特許5,324,035の侵害で提訴した。M社はライセンシーには裁判を起す人的管轄権がないとのモーションをしたが、地裁がM社モーションを却下した。M社はこれに対して控訴した。CAFCは地裁の判断は誤りであるとして差し戻した。

(背景)
1. A gaming system network comprising:
a master processing unit, the master processing unit operative to distribute game plays from a finite pool of game plays
a memory device coupled to the master processing unit, the memory device operative to store at least one finite pool of game plays, each finite pool containing a predefined number of winning and loading play records wherein each game play record contains an indication of whether the particular play constitutes a winning or losing play and the amount won;
a communication interface coupled to the master processing unit;
a plurality of slave terminals, each slave terminal coupled to the communication interface to receive game play records in response to a game play request received from a player;
a plurality of player-controlled selection devices, each player-controlled selection device coupled to a slave terminal and operative to transmit game play requests from the player to the master processing unit; and
a plurality of output devices, each output device coupled to a slave terminal and operative to communicate to the player the receipt of a winning or losing play and the amount won.

 035特許の最初の譲受人:Infinatinal Technologies社、社名変更によりOasis technologies社。
 2001年12月:Oasis社はGamco社に権利譲渡。
 2003年2月:Gamco社はInternational Game Technology(IGT)社との資産売却契約において、IGT社に権利譲渡するが、ニューヨーク州宝くじ市場における035特許をサブライセンスする権利とその市場における侵害に対する訴権を保持するという契約をした。
 2004年5月:Gamco社単独でMultimedia社(ニューヨーク州宝くじにおける唯一の宝くじゲーム業者)を特許侵害で提訴した。
 地裁は、Gamco社が035特許の所有権をIGT社に売却し、IGTに代わってサブライセンス交渉する権利だけを維持しているだけであることを考慮し、Gamco社は人的管轄権が無いとして訴えを却下した。
 2005年11月:Gamco社とIGT社は新しい契約を締結した。Gamco社は独占的ライセンスとして特徴付けられる権利をIGT社から受け取ったとの契約を結んだ。
 契約書には「領域"territory"内において、製造、使用、販売、販売申出をする独占的権利、第3者が製造、使用、販売、販売申出をするためのサブライセンスをする権利をIGTはGamcoに与えた。但し、IGTは、不合理でないかぎり、Gamcoのサブライセンスの申出を拒否しない。」と記載されていた。
 2005年11月:"territory"を"the lawful operation of lottery games authorized by the New York State Lottery in the state of New York(ニューヨーク州におけるニューヨーク州宝くじによって認可された宝くじゲームの合法的事業)"と定義する、修正契約を行った。該修正契約では、Gamcoに過去、現在および未来における領域内での特許侵害に対して提訴する独占的権利を与えるとされていた。
 修正契約締結から2-3日後にGamcoはMultimedia社への訴状を修正し、特許侵害を再び主張した。
 M社はもう一度、管轄権が無いとのモーションをしたが、地裁はこんどは管轄権が無いとはしなかった。Gamcoのライセンスは、地域に限定または実施態様に限定というよりは、ニューヨーク州宝くじの営業または事業に限定されている。独占的事業権者は自らの名前で訴訟を起せると判断した。

(CAFC)
 特許法261条:Applications for patent, patents, or any interest therein, shall be assignable in law by an instrument in writing. The applicant, patentee, or his assigns or legal representatives may in like manner grant and convey an exclusive right under his application for patent, or patents, to the whole or any specified part of the United States.

 実質的な権利をすべて許諾された独占的ライセンシーは、権利の譲受人と実質的に同じであるから、ライセンシー単独で訴訟を提起できる。
 地域限定のライセンシーと使用範囲限定のライセンシーについて:261条は地域的に限定した譲渡を想定している。地域限定ライセンシーには訴訟を単独で提起する権限があるとの最高裁判例がある。

 一方、使用範囲限定のライセンシーについての人的管轄権についての判断は、明確になっていないが、Pope事件において、最高裁が次のような指針を示している。
 Pope事件では、複数ある請求項のうち、一つの請求項についてのライセンスが成された。このライセンスに基づいて訴訟が提起された。最高裁は、このようなライセンスは、実質的に同じ範囲となる実施権を多数に分割する結果となる。そのため、一の侵害行為に対して異なるライセンシーから侵害訴訟を起されるという問題が生じる。
 請求項の一部だけの許諾を受けただけの者に原告適格を認めると、被疑侵害者を過度に煩わせることになるので、このようなライセンシーは単独で訴訟を提起できないとしている。

 本件について、Gamco社の受けている独占事業ライセンスは、NY州と宝くじに限定されている。特許権の範囲は宝くじ以外のものにも及ぶ。ライセンスは使用範囲限定のライセンスである。
 NY州で認可されているゲームシステムでは、ブラックジャック、ケノ、マージャン、および宝くじができる。該システムの使用によって宝くじに限定されたGamco社のライセンスと抵触することになる。
 例えば、IGTによって第3者に他のゲームに限定されたライセンスが成されると、該システムの使用は該第3者のライセンスと抵触する。この結果、複数のライセンシーが、該システムの使用に対して訴訟を起す可能性があることになる。

 したがって、Gamco社は、単独で訴訟を提起する権限を有しない。

         以上。

(参考)

特許権侵害訴訟の原告適格

(侵害訴訟を提起できる者)

1)特許権所有者

2)特許権に関し十分な当事者適格または利害関係を有する者

 特許権に関するすべての権利を第3者に譲渡した特許権所有者は譲渡日以降訴訟を提起することができない。譲渡日以降は譲受人または譲受人の独占的実施権者のみが訴訟を提起できる。

 譲渡日以前に発生している侵害行為に対しての訴訟:譲渡人が訴訟を提起する権限を持つ。譲受人はその権限を別途譲り受けていない限り、譲渡日以前の侵害に対する訴訟を起せない。

 独占的実施権者:ライセンス契約で独占実施が認められた地域において、何ら正当な権限を持たない第3者の実施に対して侵害訴訟を提起できる。

 裁判所は、特許権所有者を必要的当事者として訴訟に参加することを要求することが多い。参加形態①共同原告として訴訟に参加;②訴訟提起後に参加。

 特許権の共有となっている場合、共有者全員によって訴訟を提起しなければならない。途中参加はできない。

 非独占的実施権者は侵害行為に対する訴訟を提起することができない。

(確認訴訟を提起できる者)

1)正当な権利を有する者により侵害行為を行っていると脅されている者

  「訴訟への相当なおそれ」「利害」

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January 26, 2008

Baldwin Graphic Systems, Inc. v. Siebert, Inc. 2007-1262 January 15 2008 CAFC判決

特許クレームの解釈

 "Comprising"で導かれるオープンなクレームにおいて、

 名詞に付けられた、冠詞"A"または "An"は"One or More"を意味する。

  その名詞を受けての"said" または "the" は、"One or More"の意味をそのまま引き継ぐ。

以上。

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December 31, 2007

PAICE LLC. v. TOYOTA MOTOR CO. et al Decided Oct.18, 2007 CAFC

LOURIE, RADER and PROST(判決PROST)

(概要)USP5343970の権利者Paice社が起したTOYOTA社に対する特許侵害訴訟のテキサス東部連邦地裁による均等論侵害を認める判決に対してTOYOTAが控訴し、同地裁の文言侵害は無いとの判決に対してPacieが控訴した。また、TOYOTAが所定の実施料を支払うことを条件に970特許発明を継続的に実施できるとした、実施料調停を課したことに対しても控訴した。
 CAFCは、文言侵害は無く、均等論侵害である点を追認したが、一台当たり25ドルの実施料を調停した件について棄却し差し戻した。

(970特許)
Pacie1   
lockable bevel gears

11. A hybrid electric vehicle, comprising:
two or more drive wheels receiving torque for propelling said vehicle from an output shaft, and a power unit supplying drive torque to said output shaft, said power unit comprising:
a controllable torque transfer unit adapted to receive torque from two sources and transfer said torque to said output shaft; (28)
an engine adapted to consume combustible fuel and supply torque to said torque transfer unit; (40)
an AC electric motor adapted to receive electric energy from a battery and supply torque to said torque transfer unit, said motor being further adapted to be operable as a generator;  (20)
a battery for supply of stored electric energy to said motor, and for receiving and storing electric energy from said motor when operated as a generator;
solid state switching means for converting DC supplied by said battery to AC for supply to said electric motor, and for rectifying AC generated by said motor when operated in a regenerative mode to provide DC to charge said battery; and
a controller for controlling the operation of said engine, said electric motor, said solid state switching means, and said torque transfer unit, such that said torque transfer unit receives torque from either or both of said internal combustion engine and said electric motor and transmits torque therefrom to said drive wheels by way of said output shaft, and for controlling the relative contributions of the internal combustion engine and electric motor to the torque driving the wheels. (106)
 エンジンからのトルクと、モーターからのトルクとの割合を制御している。

(被疑侵害品)
Pacie2   Planetary Gear Units
 
Pacie3  エンジン(ICE)からキャリアに送られたトルクの72%がリングギアに伝わる。エンジントルクの一部とMG2からのトルクとを一緒にする。ICE及び/又はMG2の入力トルクを調整してドライブシャフトの出力を制御している。

(差止の可否)
 e-Bay事件:
“A plaintiff must demonstrate
(1)that it has suffered an irreparable injury 回復不能な損失;
(2)that remedies available at law, such as monetary damages, are inadequate to compensate for that injury 金銭救済ではその損失を補い得ない;
(3)that, considering the balance of hardships between the plaintiff and defendant, a remedy in equity is warranted 原告と被告間のバランスを考慮; and
(4)that the public interest would not be disserved by a permanent injunction. 公益への悪影響が無い”

 (1)について、Pacieはライセンス契約の締結に支障が生じると主張したが、ライセンス契約締結への支障は特許侵害との関係が深くない。Pacieは製品の製造を行っていないので、市場シェアが侵害によってなくなるということもない。と地裁は判断した。
 (2)について、金銭救済で十分と判断。
 (3)(4)について、被告が差し止められたとしても、売り上げのほんの一部が留まるだけであるとPacieは主張したが、被告の取引会社(ディーラー、サプライアーなど)への影響が大きい。急増するハイブリッド市場への影響が大きい。トヨタの名声を大きく損なう。という理由を示した。
 地裁は差止請求を認めなかった。

(実施料に関する調停)
 差止の代わりに、判決後に被告が販売するであろう車(プリウスⅡ、ハイランダー、およびレクサスRX400H)1台につき25ドルを実施料として原告に支払うとの調停を行った。
 Pacieは、このような調停の権限が地裁にない。もし権限があるとしても、実施料率の決定のために陪審に委ねるという修正7条の正当権利を拒否された。と主張した。

 特許法283条
 The several courts having jurisdiction of cases under this title may grant injunctions in accordance with the principles of equity to prevent the violation of any right secured by patent, on such terms as the court deems reasonable.

 特許権の侵害をなくすためにequityの原則に基づいて、差止を認めてもよいと規定している。

 しかし、特許権の侵害をなくすために、実施料の支払いを引き換えにして特許発明の使用を許可してよいのか否か?

 過去の判決には、強制実施権の設定が必要な場合に、実施料支払いを条件に継続実施を認めたものがある。また、独占禁止法違反との関係で、実施料支払いを条件に継続実施を認めたものがある。しかし、差止を認めなかった場合に、いつでも実施料支払いを条件とした継続実施を認めるということは、公平性を欠く。
 裁判所が差止を認めないとの判断をするほとんどの場合に、裁判所は当事者間で将来の実施について実施料率を話し合って決めることをすすめている。当事者間での合意に至らなかった場合に、地裁が妥当な実施料率を評価するというステップを踏む。
 地裁が、equityの原則に基づいて継続実施のための実施料率を定めることに問題はない。

 本事件では、25ドルの実施料の妥当性を示す理由を、地裁が示していないので、CAFCは、地裁に判断の誤りがあったのかどうかを評価できない。
 よって、25ドルの実施料率の点についてだけ、再評価させるために、地裁に差し戻す。

 実施料率の決定を陪審による公判に委ねるべきか否かについて、損害賠償はequityの範疇にあるので陪審の判断が妥当である。しかし、金銭補償のすべてがequityの問題になるというわけではない。将来の実施に対する料率の判断は陪審で行う必要はない。

以上。

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December 05, 2007

Aventis Pharma Deutschland GMBH v. Lupin, Ltd. 2006-1530, -1555 CAFC Sep. 11, 2007 判決

Mayer, Linn, and Robertson
(Linn判決文)

(概要)Aventisの血圧剤特許は自明で無いとのヴァージニア地裁の判決をCAFCが棄却した。 特許はAventisがAltaceという商品名で販売する化合物ramiprilに関するものである。 KSR最高裁判決を引用して、CAFCは先行技術を修正することを明確に教示している必要はなく、混合物の望ましい特性が、全体的にまたは部分的に、特定の一成分に起因するものであることがわかっている場合には、精製された該成分は、該成分を精製すべきであるとの明確な示唆がなくても、混合物からprima facie obvious自明である。Aventisは実験証明書を提出したが予測できない効果を示せなかった。

(722特許)
1. A compound of the formula or a physiologically acceptable salt thereof・・・・・・ ,said compound or salt being substantially free of the other isomers.

Ramipril

  ∴ 環の1位と5位がcis、3位がendo、不斉炭素5つがすべてS配置 (5S=SSSSS)

2. A compound or salt as in claim 1which is N-(1-S-carboethoxy-3-phenyl-propyl)-S-alanyl-cis,endo-2-azabicyclo-[3.3.0]-octane-3-S-carboxylic acid or a salt thereof.

  ∴ R2=ethyl

  4. A hypotensive composition for reducing blood pressure comprising a hypotensively effective amount of a compound or salt as in claim 1 and a pharmaceutically acceptable excipient therefor.

5. A method for reducing blood pressure in a patient ・・・・・・ of compound or salt as in claim 1.

(背景)
ACE(Angiotensin-Converting Enzyme)抑制剤の一種として、Ramiprilが知られている。最初のACE抑制剤は1960年代に、Brazilian Viper(くさりへび)の毒(venom)から、開発された。抽出された活性物質はBPP5aとして知られ、6つの不斉炭素を持ち、それらがすべてS配置である。
新しいACE抑制剤の合成は、BPP5aの構造を変更することによって、達成されている。例えば、Captoprilは末端に硫黄原子を持つBPP5aの一部からなるものである。Captoprilは2つの不斉炭素を持ち、両方ともS配置である。
Ramiprilの中間前駆体はメルク社製のEnalaprilとして知られACE抑制剤である。Enalaprilは3つの不斉炭素を持っている。メルク社は、EnalaprilのSSS配置のものは、SSR配置のものに比べ、700倍の効能を持っていると報告している。さらにメルク社報告書では、標準的なクロマトグラフィによって全Sアイソマーを分離する方法を教示している。

原告Aventisと競業社ScheringはEnalaprilをベースにした新しいACE抑制剤を探索していた。Schering社でDr.SmithがRamiprilの構造を着想したことがラボノートに記載されていた。Ramiprilの全体的な構造はEnalaprilと同じである。Ramiprilは2つの5員環が縮合した多環構造を持っている。Enalaprilは単環である。Ramiprilは加わった環によってEnalaprilよりも2つ多い不斉炭素を持つ。Ramiprilの残り3つの不斉炭素はEnalaprilと同じ位置の不斉炭素である。全部で5つの不斉炭素がある。
Dr.Smithが886出願を1980年10月23日に行い、後日に258特許および944特許が登録される。258特許および944特許にはRamiprilの構造が開示されているが不斉中心の配置についての記載がない。866出願にはRamiprilの製法が記載されている。
886出願には32種の異性体のうち8つの異性体について言及があり、具体的には4つの異性体(内一つはSSSSS(5S)異性体、他は橋掛部の不斉炭素がR配置)の混合物が実施例20に示されていた。
1981年Dr.SmithがSCH31925を合成した。SCH31925を製造するために、酢酸水銀酸化工程の代わりに触媒的水素化工程を行った以外は886出願の実施例20と同じ方法を用いた。SCH31925 が5S異性体とSSSSR異性体との混合物であることは合成時にはわかっていなかったが、地裁はそのときに5S異性体とSSSSR異性体との混合物が製造されたと認定した。5S異性体とSSSSR異性体は、ともに橋掛部の2つの不斉炭素がS配置である。
1981年3月末までにin vivo試験が行われ、効能が確認された。しかし、Dr.Smithは5S異性体とSSSSR異性体とを分離精製しておらず、5S異性体だけに精製するという着想に到っていたという証拠はなかった。

1981年10月にAventis社のDr.VolkerTeetzがramiprilを合成した。
Aventis社は1981年11月5日にドイツ出願、1982年11月3日にドイツ出願の優先権を主張して米国出願し、後日に722特許が登録される。

1986年5月6日に258特許が登録された。直後にSchering社は258特許のライセンスをAventis社に与えた。
程なく258特許とAventis出願との間でインターフェアレンスの審査が開始されるが、Schering社がライセンス料の減額と特許請求の一部放棄、Aventis社が258特許が先発明であることを認めるということで和解。Aventisは5S異性体の出願は分割し維持した。Aventis社はSchering社との特許問題を解決し、Aventis社はFDAに5S異性体の承認申請を提出した。

1991年1月28日にFDA認可が成され、商品名Altaceで販売を開始した。FDA認可に要した期間につき、258特許の存続期間を延長させた。

1991年722特許が登録された。

2005年1月27日に258特許が存続期間を満了した。2005年3月18日に被告Lupin社がジェネリック薬の認可申請ANDAを提出した。
これに対して、Aventis社はLupin社を722特許の侵害でヴァージニア東部地区地裁に提訴した。

地裁は文言侵害は無いという略式判決をした。Lupin社品が"substantially free of the other isomers"に該当するかの争点が残った。
地裁は均等論侵害を認定し、722特許は有効であると略式判決した。

陪審による公判にて特許の有効性を争点とした。まず公判中に地裁は722特許が権利行使不能でないというAventisの申立を口頭で認めた。
2007年7月17日、地裁は、722特許は新規性および進歩性があり、有効であるとの意見を示した。
地裁は、clear and convincing evidenceというよりもa preponderance of the evidence による基準のようではあるがと前置きしているが、最終的には、先行技術は"substantially free of the other isomers"を教示しておらず、当業者は5S異性体を"substantially free of the other isomers"にすることに動機付けられないと判決した。

Lupin社は控訴した。

(CAFC)
争点としてDr.SmithのSCH31925は102(g)の先行技術となるか否かが挙げられた。Aventis 社はDr.Smithが“abandoned, suppressed, or concealed” SCH 3192であると主張したが、258特許において類似の製法を開示しており、“intentionally suppress[ed] or conceal[ed] h[er] invention” またはan “inference of suppression or concealment can be drawn based on an unreasonable delay in making the invention publicly known.” というための証拠がないとして、Dr.SmithのSCH31925を先行技術であることを肯定した。

CAFCは以下のようなことを述べている。
「地裁はTSMテストを採用したが、KSR最高裁判決においてそれは硬直的であると判断された。
化学分野では、本願発明と先行発明とが構造類似であるとき、本願発明の化合物を製造するための理由または動機付けreason and motivationが示された先行技術がある場合に、a prima facieの  obviousnessであるとしてきた。KSR後、reason and motivationが、本願発明の化合物が具体的有用性を持っていることを明確に教示する必要は無く、先行発明の総合的な観点から、本願発明と先行発明が予期される状態を創作するのに十分に近い関係を持っていること、本願発明が従来のもの類似した特性を持っていることを示せば十分である。一旦、a prima facieの  obviousnessであるとされた場合には、出願人または特許権者が本願発明に予測できない特性があることを示すなどの立証をしなければ、obviousnessは覆らない。
純物質が混合物中の活性物質であることが知られていなかったとか、純物質を得る方法が発見されて得られたものであるとかなどの場合には、混合物の先行発明に対して純物質の発明は、必ずしもa prima facieの  obviousnessになるとは限らない。しかし、混合物の特性が混合物中のある特定の成分によるものであることがわかっている場合や、そのような事情があるということを当業者が信じるに十分な理由がある場合には、純物質の発明は、精製することを明確に教示するものがなくても、混合物発明によってa prima facieの  obviousnessになる。
また、混合物による特性が純物質にも保持されいたら、純度を上げたまたは濃縮した純物質によって特性が純度または濃縮度に応じて増幅されることが予測される場合に、混合物から純物質を分離する方法が知られていれば、純物質を得るいうことに革新はない。」
「本件に当てはめると、
SCH31925中の5S異性体が活成分であるとDr.Smithが理解したことが報告書で示されている。Dr.Smithがそのように理解していなかったとしても先行技術によって5S異性体が活成分であることに理由がある。
 SCH31925は5S異性体とSSSSR異性体だけを含んでいる。両者は、1つの不斉炭素(橋掛部の炭素以外の炭素)の配置が異なるだけである。その一つの炭素は、Enalapril分子に共通するRamipril分子の一部の中の炭素である。
Enalaprilは3つの不斉炭素がS配置(3S)である。メルクの報告書によれば3S異性体は、SSR異性体の700倍の効能を示すことが知られている。当業者であれば、SSSとSSRとの関係がSSSSSとSSSSRとの関係になる可能性があることを容易に予測する。
 さらに944特許はRamiprilは公知の分離方法(クロマト法や結晶法)によって分離できることを示している。SSSSSとSSSSRの分離が公知の分離方法では不可能だという証拠も無い。
 
 Aventisは予測できない効果を示すために実験成績書を提出した。その成績書にはSSSSSはRRSSSの18倍の効能を示すことが示されていた。
 RRSSSは2番目に優れた効能を示す物質である。このRRは橋掛部の炭素の配置である。しかし、先行発明であるSCH31925はRRSSSを含んでいない。
 Aventisは、SSSSS異性体と、他の異性体との比較をするのではなく、SCH31925との比較をしなければならなかった。
 5Sと、5Sおよび他の異性体の混合物を対比すれば、5Sの含有量に比例して効能が変わる可能性があるはずであり、Aventisはそれを否定するような予測できない効果を示すことができなかった。
 よって、722特許は無効であると判決した。

以上。

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June 24, 2007

Hakim v. Cannon Avent Group, PLC 05-1398

-- February 23, 2007判決(MICHEL, NEWMAN and RADER;判決文NEWMAN

(概要)HakimAvent6321931特許及び6357620特許の権利侵害を主張して地裁に提訴した。地裁は931特許は非侵害、620特許は権利無効の略式判決のためのAvent側動議を認めた。Hakimが控訴したが、CAFCは地裁判決を支持した。

(背景)

 931特許は、非液漏れ飲用カップ用装置に関する発明を請求している。

1. An apparatus for use in a no-spill drinking cup, said apparatus comprising:
a valve holder, such valve holder comprising at least one valve and a blocking element, said valve comprising a flexible material, said blocking element comprising an area of material which is impenetrable to the flow of liquid, said valve further comprising an opening through said flexible material, said valve having a resting position wherein said flexible material sits with said opening against said blocking element such that said valve is closed to the passage of liquid through said valve, said valve moving into an open position for the passage of liquid through said valve upon the application of negative air pressure to the top of said valve, said open position being a position wherein said flexible member comprising said opening lifts off of said blocking element.

 吸い口に弁が設けられていて、通常は閉じており、人が吸い口から吸引したとき(陰圧になったとき)に弁が開き内液が通過できるようになっている。明細書には好適な態様としてデュアルシール方式の弁を有するカップが記載されている。吸い口とは別の場所に吸い口に設けた弁とは逆向きの弁が設けられていて、陰圧になったときには、外気をカップ内に吸引するが、通常状態では閉じていて、カップを逆さまにしたり、振り回してもカップ内に空気が入らないので、液が漏れないようになっている。

 審査において、拒絶理由通知で引用された文献(5706973,5890621,5890620)との差異を説明するために、Hakimは次のような主張をして意見書を提出した。

 Thus two separate mechanisms are both used to close off the passage of liquid through the valve when not in use. The first mechanism involves an inverting, flexible valve material which has a slit therein and responds to suction. The second mechanism involves the use of a blocking element, which is impenetrable to the passage of liquid. The slit sits against the blocking element, sealing or blocking off the slit, to yet further prevent the passage of liquid through the valve.

. . . . By providing both the elastomeric member with a slit and a blocking element, a sealing mechanism is provided which reduces spillage beyond that of either mechanism alone. None of the references cited in the Office Action [Robbins III, Bachman, and Belcastro] teach or suggest such a no-spill mechanism having a slit sitting against a blocking element such as is recited in all of the pending claims.

 この主張では柔軟な弁材料にスリットを設けていることを強調している。

 この意見書によって、許可通知が発行された。許可通知後、Hakimは継続出願を行って親出願のクレーム1及び2中の"Slit""Opening"に補正した(現クレーム)。親出願は放棄された。弁護士の意見書においてこの補正はクレーム1および2を拡大するものであると審査官に述べている。審査官はこの拡大されたクレームを拒絶せず、許可通知を出し、特許登録された。

 620特許は、非液漏れ飲用装置に関する発明を請求している。

1. An apparatus for preventing spilling during drinking, said apparatus comprising:

       a valve, said valve comprising a protruding member and a valve member, said valve member comprising an opening, said valve having a closed position and in an open position,

       said closed position being a configuration in which said protruding member extends through said opening of said valve member to block the passage of liquid through said opening,

       said valve further being movable into an open position in which said valve member is pulled away from said protruding member for the passage of liquid through said opening,

       said valve moving from said closed position to said open position upon the application of negative pressure to said valve member.

Hakimの主張)

931特許

 放棄された親出願の審査経過によってクレームの解釈をするのは誤りである。

 継続出願したときに、クレームが拡大されたことを、審査官に知らせている。審査官が新しいクレームで拒絶をしなかったということは、新しい拡大されたクレームに特許性があることを審査官が認めたことになる。新しい拡大されたクレームを限定的に解釈するのは誤りである。

 継続出願するときにクレームの範囲を拡大することは妨げられない。審査手続においてクレームを減縮することと同様に拡大することは認められている。また親出願で許されたクレームよりも広いクレームで継続出願することも認められている。

620特許

 IT特許に開示されている弁は"produces hermetic sealing(気密シール)”である。従ってIT特許は弁が閉位置に来たとき空気を遮断するのである。

 一方本発明で用いられている弁は液体を遮断するのである。IT特許は空気遮断に足りる強度を持つのであるが、本発明は液体遮断に足りる強度を持つのである。従って新規性がある。

Aventの主張)

931特許

 審査経過全体によれば、Hakimは先行文献との差異を明確にするために、発明をスリットの構造に限定している。Hakimは審査官にクレームを拡大したことを知らせているが、親出願で主張したスリットという特定構造へ限定するという意図が、もはや無いことを明確にしていない。

620特許

 IT特許によって新規性を有せず、102条によって無効である。

(CAFCの判断)

931特許

 Hakinは、クレームを拡大することを意図して出願を再提出する(継続出願する)権利を有している。しかしながら、譲り渡してしまったまたは放棄してしまったクレームの範囲を回復させることはできない。

 放棄(disclaimer)は審査中に取り消すことができ、放棄してしまった範囲を復活させることも許されているが、先行文献を回避するために前言された放棄を元に戻しとらえ直す必要があることを審査官に明確に知らせなければならない。

 "Opening""Slit"に限定解釈した地裁の判断に誤りはない。

620特許

 IT特許は吸い口で吸わないときに液が漏れないようにすることを目的とする発明であるから、閉位置において液体を遮断するものであることが明らかであるから、620特許は新規性がなく無効であるとの地裁判断に誤りはない。

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June 10, 2007

ESPEED, INC., v. BROKERTEC USA, L.L.C. 2006-1385

原告ESPEEDCANTOR等が、被告BROKERTECを米国特許6560580の侵害で地裁に提訴したが、地裁は580特許は審査中の不公正行為により権利行使不能という判決を下した。原告はCAFCに控訴したが、CAFCは地裁の判断を支持した。

(背景)

 Outcry公開セリ売買)においては、事務員が顧客または仲介人の口頭申込を聞き、その情報を電子機器に入力していた。 このような状況において、580特許の発明者は効率的で正確な取引装置の必要性を感じ、口頭申込と聴き取りというプロセスを使わずに、取引を自動的に行うシステムの開発を始めた。市場において、仲介人はこれから取引しようとする取引量を知られたくない。しかしながら、顧客に、独占的に取引量を知らせ、売り上げを上げるということも行われている。この独占的に知らされる権利(Workup Right)にはOld RuleNew Ruleとがある。

 Old Ruleでは、最初の売手と買手との間で取引決済(transaction)が完結したときに、新しい買手と売手にWorkup Rightが順次与えられる。このOld Ruleでは売手と買手とが市場で連携して利益が大きくなるまで取引を保留するという問題がある。仲介人は機会損失を避けるために他の取引方法を行うようになる。そのため、取引量が多くなると、市場が混乱することがある。

 原告CANTORはこの問題の解決のためにNew Rule1994年に設計した。New Ruleでは、先ず、最初の売手と買手にWorkup Rightが与えられ、最初の売手と買手が取引交換(trade)を終えた後、申込は時間優先順位内において即時に行われる。最初の組の独占権を制限することで、最初の組が取引を流動化し、長い時間順番待ちしないようにした。

 1980年下期にCANTORは新しいシステムに切り替え始め、19871992年に掛けてSuper Systemと呼ばれるプログラムとソフトウェアを開発した。このSuper SystemOldRuleまたはNewRuleのいずれにも対応できるようなコードを含んでいた。

 1993年にSuper SystemCANTOR社のトレーディングルームで使用したが、あまりに処理速度が遅く自動取引を商業的に行うことができず、公開セリ売買をサポートするための申込入力システムとしてだけ1995年まで使用した。

 その間、改良版CFTS3.1の開発を行い、1995年のクリスマスから元日までの週に使用し、商業的使用に十分であることを確認した。

 580特許はOutcryに関するCFTS3.1発明を請求するもので、19961213日に出願された733特許出願の継続出願(526出願)で提出されたものである。733出願は1999518日に974特許として登録された。

 この974特許で、訴外のLibertyBrokerageを特許侵害で訴えたが、733出願の審査において、上記Super SystemおよびCFTS3.1の情報を特許庁に提出していないことに気づき、訴えを取り下げた。

 974特許、526出願に関して、不公正行為になることを避けるために、3通の宣誓書と、Super SystemおよびCFTS3.1の情報を開示した複数の添付書類とを特許庁に提出した。

 発明者Paul氏の宣誓書において、「Super Systemは、NewRuleを含んで無かった。」「Super Systemのコードは仲介人が独占取引期間をコントロールできるOldRuleに基づいていた。」と宣言していた。

 該宣誓書の添付書類は1139ページ有り、その中にはSuper Systemのソースコードが含まれていた。

 審査官はCANTORの提出したものを検討し、先行技術とはしなかった。審査記録には「given due consideration」と記載した。

(地裁)

 2003630Cantorらは、被告BROKERTEC580特許の侵害で地裁に提訴した。

 先ず、特許庁に宣誓書を提出したことによって、Super Systemに関して発明者と弁護士との間での議論内容の守秘特権は放棄されたとして、宣誓書にかかわる書類の提出を地裁は求めた。

 そして、地裁は、200499日に、審査経過禁反言により均等論による侵害はないと略式判決した。公判において、陪審は、被告は特許侵害していると評決したが、112条の開示要件違反により特許無効との判決した。さらに、不公正行為があったとして権利行使不能の判決をした。

 不公正行為について2つの点を地裁は挙げた。

 1)Super System733出願の1年以上前から使われていたのだから、733出願の審査中に重要な先行技術として提出すべきであった。発明者はSuper Systemの開発に深く係っていたのだから、この不開示はPTOを騙す意図があったと考えられる。580特許は733出願(974特許)との関係が深い。733出願中の不公正行為は580特許にも影響する。526出願中の発明者宣誓書によって不公正行為を正すことはできない。

 2)特許庁に提出された3通の宣誓書は、Super Systemについての重要な誤情報を含んでいた。すなわち、「Super SystemNewRuleのためのコードを含んでいない。」との宣言は、真実でない。地裁はこの誤情報は重要性があるとした。この誤情報が、審査官に「Super SystemNewRuleを含まない」と信じ込ませることになった事実は、騙す意図があったと考える。

(CAFC)

 不公正行為は、騙す意図を持って、重要事実の積極的な虚偽陳述、重要情報の不開示、または誤情報の提出する行為である。

 虚偽陳述または不開示が非常に重要な場合は、騙す意図が小さくても、不公正行為になる。重要性レベルと騙す意図レベルとのバランスを考慮し、権利行使不能の決定をしなければならない。

 ◎重要性:

 原告は「①NewRuleのためのコードを使用したということにならない。」「②宣