September 29, 2008

中国特許法 改正案 2008

国務院常務会議において改正案が採択された模様です。

主な改正点は次の通りです。

1.遺伝資源の取得と利用による発明の特許付与を制限。
     生物多様性条約に対応するための改正

2.実用新案出願と特許出願との二重出願の扱いを明確化。
   同一対象を同一出願人が実用新案出願と特許出願とをした場合に、先に取得した実用新案権が消滅しておらず且つ実用新案権を放棄するとの意思を表明した場合には特許権を付与する。

3.中国内でなされた発明の外国出願の制限を緩和

4.共有特許権の扱いを明確化
  1)原則、共有者間の約定に従う。
  2)共有者単独で特許発明を実施でき、通常実施権を許諾できる。
  3)実施権を許諾した場合実施料を共有者で分配しなければならない。
  4)特許権の行使は、すべての共有者の同意を得なければならない。

5.特許要件
 新規性:従来の技術に該当しない。従来の技術=出願日前に国内外で公に知られている技術。
   すなわち、「国内公知、国内公用、国内外刊行物」⇒「国内外公知、国内外公用、国内外刊行物」

6.強制実施権の要件明確化
  1)不実施特許発明の強制実施権 
  2)未発達国への医薬品の輸出許諾
  3)半導体技術の強制許諾

7.特許権非侵害の立証
    実施技術が従来の技術であることを証明できる場合は当該実施は侵害としない。

8.損害賠償額の算定法
  1)当事者の協議に基づいて算定。
  2)協議不調の場合は、権利者が侵害により受けた損害または侵害者が侵害により受けた利益に基づいて算定。
  3)上記算定困難な場合は、実施許諾料の倍数を参照し合理的に算定。
  4)上記すべての算定困難な場合は、侵害に関る要素(侵害の性質、経緯など)に基づいて1万元以上100万元以下の賠償額を算定する。
  5)損害額には権利者が侵害差止に要した合理的支出を含むべきである。

9.提訴前証拠保全

10.侵害としない行為に、医薬品または医療装置の製造承認申請のためにそれらを製造する行為を追加

など。
 
 

  

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August 11, 2008

中国 補正または訂正の制限からみた明細書作成上の留意点

補正または訂正の制限からみた留意点

 補正の原則

  出願時の明細書と権利請求書に記載した範囲を超えてはならない。

 自発補正

  補正可能時期:

   実質審査請求の時

   実質審査段階に移行した旨の通知を受け取った日から3ヶ月以内 

(期限の起算日は通知の受取推定日、受取推定日は発送日から15日後、例えば7月4日発送の通知書は7月19日が受取推定日となる。)

   期限延長が可能(最大2ヶ月)

  補正可能範囲:出願時の明細書と権利請求書に記載した範囲を超えてはならない。

 指令による補正

  補正可能時期:

    指定された期間

  補正可能範囲:出願時の明細書と権利請求書に記載した範囲を超えてはならない。

    ①補正指令の要求に基づく補正

   *指令が、出願時の明細書と権利請求書に記載した範囲を超える補正を求めるものであった場合。将来的には無効理由を抱えることになるので注意。指令に従っておけば大丈夫というわけではない。

    ②補正指令の要求に基づく補正ではないが、出願書類の欠陥が排除され、特許権付与の見込みがある場合

    但し、次の場合は不可

   1)独立請求項中の技術的特徴を削除して、当該請求項の保護範囲を拡大した場合

    例えば、A,BおよびCからなるX  →  AおよびCからなるX

   2)独立請求項中の技術的特徴を変更して、保護範囲の拡大を引き起こす場合

    例えば、A、Bおよびc(螺旋バネ)からなるX

                 →  A、BおよびC(弾性部品)からなるX

   3)明細書のみに記載され、元の保護を請求する主題と単一性を欠如する技術内容を補正後の請求項の主題とする場合

    例えば、 自転車ハンドル  →  自転車シート

   4)新たな独立請求項を増加したが、当該請求項が特定する技術方案は原権利請求書中に記載されていなかった場合

 許される補正

  例1 AおよびBからなるX  →  A、BおよびCからなるX

     AおよびBからなるX  →  AおよびbからなるX

  例2 温度20~90℃  明細書に40℃、60℃、80℃の実施例

      → 温度60~80℃

      → 温度60~90℃

  例3 製法クレーム  →  物クレーム

  例4 請求項の削除

  例5 従属関係の補正

 許されない補正

  新たな効果の追加

  実験データの追加(実施可能要件違反、サポート要件違反を補正で覆すことは不可)

 復審請求における補正:

 出願時の明細書と権利請求書に記載した範囲を超えてはならない。

 拒絶査定の除去または復審通知書に指摘された欠陥の修復に限る。 

 無効審判における訂正:

 自発的な訂正はできない。

 訂正:権利請求書の訂正ができる。明細書および添付図面の訂正はできない。

  権利請求書に記載が無い事項は、明細書に記載があっても追加することができない。

  主題の変更は不可。

  保護範囲の拡大不可。

  出願時の明細書と権利請求書に記載した範囲を超えてはならない。

 したがって、①請求項の削除、②併合、③方案の削除に限る。

  請求項の削除:請求項中の一項以上の請求項を削除すること

  請求項の併合:二項以上の相互に従属関係はないが、授権公告書類中には同一の独立請求項に従属する請求項を併合すること、独立請求項は必ず補正されていなければならない。

              請求項1. A、B、CからなるX

              請求項2. Aがaである請求項1のX

              請求項3. Bがbである請求項1のX

 併合

    請求項1. a、b、CからなるX

  方案の削除:同一請求項中で並列的な技術方案の一種以上を削除すること、

 併合の訂正ができる時期

              請求項1. BまたはCからなるX

 削除

    請求項1. BからなるX

  無効宣告請求書に対しての応答期限内

  追加された無効宣告の理由または追加証拠に対しての応答期限内

  特許復審委員会が引用した請求人未提出の無効宣告理由または証拠に対しての応答期限内

 *請求項の適切な数

 *明細書に記載の追加可能な技術的特徴を権利請求書に記載しておくこと。

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July 21, 2008

中国 創造性の判断基準からみた明細書作成上の留意点

創造性:突出した実質的な特徴と顕著な進歩があること

 突出した実質的な特徴

  従来技術から自明でないこと、

  従来技術に基づいて論理的分析、推理若しくは実験を通じて、当該発明を得ることができる場合は自明である。

  自明判断手法

   1)最も近い従来技術の確定

          (技術分野が同一または近接している技術であることを考慮)

   2)最も近い従来技術と区別される特徴を確定し、発明の実際に解決しようとする課題を確定する。

   3)従来技術と技術課題から自明性を判断する。

    自明の判断は、従来技術において、技術課題を解決するように、区別される特徴を、最も近い従来技術に適用する示唆があるか否かで判断する。

    次の場合は示唆があると認定する。

    ①区別特徴が周知慣用技術である場合

     アルミニウム建材 v. 軽量建材(アルミニウムの記載無し)

         (軽量なものとしてアルミニウムはこの分野で周知慣用)

    ②区別特徴が従来技術と関連する技術的手段と作用が同一

  例1 発明 :排水凹溝が設けられた黒鉛円盤ブレーク 課題 摩擦で生じる黒鉛屑を効率的に取り除く。溝によって洗浄水が排出される

     文献1:黒鉛円盤ブレーキ

     文献2:排水凹溝が設けられた金属円盤ブレーキ 付着する埃を取り除く。

  例2 発明 :ニッケル合金Bの被覆層を形成されたバルブヘッド 耐高温腐蝕性

     文献1:被覆層を形成されたバルブヘッド

     文献2:ニッケル合金B

                              耐高温腐食性に優れる。エンジンのバルブに利用可能であると記載。

 顕著な進歩

  従来技術に比較して有益な技術効果を発揮すること、

   品質の改善、生産量の向上、エネルギーの節約、環境汚染の防止等

  異なる技術的構想を有する方案を提案するもので、その効果が従来技術レベルにあること

  ある新しい技術の発展動向を示している場合(パイオニア発明)

  ある面でマイナス効果があっても、他の面で明確に有益な効果がある場合

 創造性は、当業者の知識と能力を基準に評価を行う。

 パイオニア発明

 組合せ発明(自明な組合せと非自明な組合せ) 予想外の効果、相互作用関係の有無(効果の総和を超えた効果)、

 選択発明 予想外の技術的効果の有無を主な考慮点とする

 転用発明

  技術分野の近さ、示唆の有無、転用の難易度、技術上の難点を克服する必要性、転用による技術効果(予想外の効果の有無)

 用途発明の創造性

  既知物質の公知の性質を利用しただけである場合は創造性否定

  既知物質の新しく発見した性質を利用し、予想外の効果を収めた場合、創造性肯定

 要素変更発明

  変更:形状、配置、サイズ、作用関係の変更

   効果、機能、作用の上から変更が予測できる場合は創造性は否定

   予想外の効果を生じる場合は創造性肯定。

 要素置換発明

  代替要素で置換する

   効果、機能、作用の上から置換が予測できる場合は創造性は否定

   予想外の効果を生じる場合は創造性肯定。

 要素省略発明

  要素を省くこと

   依然として従来のすべての機能が維持されている場合創造性肯定

   予想外の効果を生じる場合創造性肯定

 他の考慮項目

  長年解決できなかった技術難題の解決

  先入観による偏見(不可能と思われていたこと、放棄されていたこと)を克服

  予想外の技術的効果

  商業上の成功

 審査官に「後知恵」を犯させるような記載。

  従来技術の欄において、従来技術から本発明への創作過程を論理的な説明で種明かしをしてしまう記載をしてしまう場合。

   従来技術:分子量30万のポリエチレン 分子量が高いと硬く柔軟性に乏しい

        分子量を低くすれば、柔軟性が上がる。

   本発明 :分子量10万のポリエチレン 柔軟性が高い。

 *「予想外の効果を生じることが示されれば、その技術方案が突出した実質的特徴を具備するか否かを疑う必要がなく、発明は創造性を具備していると確定することができる」という基準になっているので、効果の記載、実施例によってデータを示し従来例と対比することが非常に重要である。

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June 30, 2008

中国 新規性の判断基準からみた明細書作成上の留意点

新規性および創造性の判断基準からみた留意点

 新規性:国内公知、国内公用、国内外刊行物、抵触出願(日本の29条の2に相当)

      日を基準(日本は時を基準)

  発明の同一性

  技術分野、技術課題、技術方案および予想される効果が実質的に同一である場合、両者は同一と認定される。

  技術方案が先ず審査され、実質的に同一であると認定できた場合に、同一技術分野に適用でき、同一課題を解決でき、同一の予想される効果を具備するか否か審査する。

 実質的同一: 単なる文字、表現だけの相違

    例えば、請求項「Nb-Fe-B合金で、正方晶構造で、主相がNb2Fe14B金属間化合物

        引用文献「Nb-Fe-B磁石」

      Nb-Fe-B磁石が正方晶構造で、主相がNb2Fe14B金属間化合物であることが周知である場合

   上位概念と下位概念

  例: 請求項「金属で製作された製品」

     引用文献「銅で製作された製品」

  例: 請求項「銅で製作された製品」

     引用文献「金属で製作された製品」

  例: 請求項「塩素による処理」

     引用文献「ハロゲンによる処理」 明細書はフッ素の実施形態のみ

   慣用手段の単なる置換

  例:  請求項「ねじで固定する装置」

      引用文献「ボルトで固定する装置」

   数値と数値範囲

1) 引用文献の数値が請求項の数値範囲の内側に包含される場合は新規性を有しない。

 例1-1: 請求項「10~35%の亜鉛、2~8%のアルミニウムを含み、残部が銅である合金」

     引用文献「20%の亜鉛、5%のアルミニウム、残部が銅の合金」

 例1-2: 請求項「厚さ100~400mmのアーチライニング」

     引用文献「厚さ180~350mmのアーチライニング」

2) 部分的に重複する場合、境界値が共通する場合は新規性を有しない。

 例2-1: 請求項「1~10時間焼成するセラミックの製法」

     引用文献「4~12時間焼成するセラミックの製法」

 例2-2:請求項「スプレーガンの出力を20~50kwにするプラズマスプレー法」

     引用文献「スプレーガンの出力を50~80kwにするプラズマスプレー法」

3) 公知の数値範囲の境界値の発明は新規性を有しないが、数値範囲内の一点値の発明は、新規性を有する。

 例3-1:請求項「40℃、58℃、75℃、100℃の乾燥温度で製造する方法」

      引用文献「40~100℃の乾燥温度で製造する方法」

4) 公知の数値範囲内に包含されるが、該数値範囲の境界値を含まない、数値範囲の発明は新規性を有する。

 例4-1:請求項「直径95mmのピストンリング」

      引用文献「直径70~105mmのピストンリング」

 例4-2:請求項「重合度100~200のエチレンプロピレンコポリマー」

      引用文献「重合度50~400のエチレンプロピレンコポリマー」

 性能、パラメータ、用途、または製法の特徴を含む製品の請求項

 対比文献の製品の構造または組成と区別できる構造または組成を具備していると暗示されていれば新規性を有する。

 性能、パラメータ、用途、または製法の特徴を含む製品が対比文献の製品と区別しにくい場合は同一であると推定される。出願人は区別されることを証明しなければこの推定は覆らず新規性を有しないとされる。

 製法特徴を含む製品では、製法による作用で製品に区別できる構造または組成が具備されたと判断されれば新規性を有する。

 用途発明の新規性

 新規物質の用途は新規性がある。

 用途発明は方法の発明であるから、方法の新規性有無で判断する。

 「~用組成物」は物の発明であり用途発明ではない。

  「抗ウイルス用の化合物X」v「触媒用の化合物X]

  「クレーン用吊り金具」v「魚釣り用吊り金具」

 *性能、パラメータ、用途、または製法の特徴を含む物が、従来品と異なる物であることを実証するために、従来品との比較実験データを記載しておくなどの留意が必要。

 化合物の新規性

 ①請求項で特定する化合物が引用文献に掲載されていれば、新規性を具備しないと推定される。ただし、当該化合物が出願日前に得ることができなかったことを立証できる場合は除く。

 掲載とは、化合物の名称、分子式あるいは構造式、物理化学的特性値、あるいは製造方法が記載されていることである。

 化合物の名称、分子式あるいは構造式が不明確であるが、物理化学的特性値、あるいは化合物を特定するための他のパラメータが開示されていれば、新規性を有しないと推定される。

 化合物の名称、分子式あるいは構造式、物理化学的特性値、が不明確であるが、製造方法が同一であれば、新規性を有しないと推定される。

 ②一般式で表された化合物によって、具体的な化合物の新規性を否定することはできない。具体的な化合物の開示は、一般式で表される化合物の新規性を否定できる。

 一系列の具体的な化合物の開示は、この系列に対応する各化合物の新規性を否定できる。

 炭素数1~4の化合物の開示では、両端の化合物(C1、C4)の新規性は否定される。C4にいくつかの異性体がある場合、個別の異性体の新規性を否定できない。

 ③天然物質の存在自体では、物質の新規性を否定できないが、構造または形態が一致する場合や、直接同一視する天然物である場合は新規性を否定できる。

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June 09, 2008

中国 出願明細書の実施可能性

 ・実施可能性

 当業者が実施できるとは、明細書の記載内容に基づいて、発明の技術方案を実施でき、技術課題を解決でき、予期する技術効果が得られること

  1)明細書に課題および/または着想だけが記載され、あるいは願望および/または結果だけが示され、当業者により実施される技術的手段が何ら提供されていない場合

  2)明細書に技術的手段は提供されているが、当業者からみて当該手段が曖昧で不明確であり、明細書に記載されている内容に基づいて実施することができない場合。

  3)明細書に技術的手段が提供されているが、当業者が当該手段を採用しても、発明が解決しようとする技術課題を解決することができない場合

  4)出願の主題が複数の技術的手段からなる技術方案であり、その一つの技術的手段について、当業者が明細書に記載されている内容に基づいて実施することができない場合

  5)明細書に、具体的な技術方案が記載されているが、実験データが提供されていない。但し、技術方案の成立性についてその実験結果により実証されていなければならない場合、たとえば、既知の化合物における新しい用途の発明は、一般的に、明細書に実験データが提供され、その用途および効果が実証される必要がある。そうでない場合、実施可能性の要件を満たさない。

  機械電気分野では、発明の構成の特徴と作用を結びつけて説明することによって効果を説明できる場合がある。化学の分野では、多くの場合、実験データを用いて効果を説明できる。

 *実施例のバリエーションに留意。

 *データを示せないときは、特徴と作用と効果との結びつきを論理的に解説する。

 *権利請求書と明細書の用語の統一

 *物の発明では、構成・成分・要素説明-相互関係説明-動作・操作説明

 *方法の発明では、工程(製造条件)

 *発明の特徴部分の説明は他の文献の引用不可、前提部分の説明は文献引用可能

 *用語は中国語の用語、外来語は音訳または意訳可(原語併記)

  独自定義可

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May 19, 2008

中国 出願明細書の明瞭性および完全性

出願明細書

 専利法26条3項

 明細書は、当該技術分野に属する技術者が実施できることを基準とし、発明を明瞭(明確)に且つ完全に説明しなければならない。

 ・明瞭性(明確性)

  1)発明主題の明確性: 当業者が確実に主題を理解できること

   解決しようとする課題、課題を解決するための技術方案を明確に記載し、従来技術と比較する発明の有益な効果を明確に記載しなければならない。

  2)説明用語が正確であること: 当業者が正確に理解できること

   当技術分野での技術用語を用い、正確に発明を説明し、曖昧で不明確であってはならない。中国語の技術用語が無いときは外国語を注記する。

 ・完全性

  発明を明確に理解するのに欠かせない説明があること

    技術分野の欄、背景技術の欄、図面の説明の欄 

  (背景技術には権利請求書の前提部分に記載した従来技術と関係する内容を記載しなければならない。)

  新規性、創造性、実用性を備えることを明確にするために必要な内容

    技術課題の欄、課題解決手段の欄、発明の効果の欄

  発明を実施するために必要とする内容

    具体的な実施形態(発明の最良の実施形態、必要に応じて実施例)

  偏見(先入観)を克服した発明については、如何に偏見を克服したかを解説すると同時に、新しい技術方案と偏見との差異、偏見を克服するための技術方案について解説する。

  従来技術から直接且つ一義的に予測できない内容はすべて明細書に記載しなければならない。課題(何を為すものか)-手段(如何に実施するのか)-効果に整合性があること、

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April 28, 2008

中国 権利請求書のサポート要件

・明細書のサポート

 権利請求書の各請求項に記載の技術方案は、明細書に十分に開示した内容により、当業者が、直接的に導出または総括的に導出することができる技術方案でなければならず、明細書に開示された範囲を超えてはならない。

 

 請求項は、明細書に記載されている実施の形態または実施例から概念化して成り立つ。概念化は明細書に開示された範囲を超えてはならない。

〔概念化〕

 明細書の記載を超えないこと、

 実施例、実施の形態から概念化する

 

 明細書に記載されている実施形態に同等なすべての代替方式または顕著な変形方式が同じ機能または用途を具備することを当業者において合理的に予測できるものであれば、請求項の保護範囲を概念化して、同等なすべての代替方式または顕著な変形方式を含むことを許可する。

 請求項の概念化に出願人の推測内容が含まれていて、その効果を予め確定したり、評価することが大変難しい場合は、このような概念化は、明細書の開示範囲を超えていると認定される。

 請求項の概念化において、上位概念化または並列選択化した範囲に含まれる一の下位概念または選択方式で、発明が解決しようとする課題を解決して同様の効果を得ることができないと疑う理由が存在すれば、当該請求項は明細書にサポートされていないとされる。

 例1:

  請求項「高周波電力で物質に影響を与える方法」

  明細書「高周波電力で気体を除塵する」という実施例しか記載が無く、高周波電力で他の物質に影響を与える方法についての説明が無い場合

 例2:

  請求項「冷凍時間と冷凍程度の制御によって植物の種子を処理する方法」

  明細書「ある一種類の植物種子を処理する方法だけしか記載が無い場合、他の植物種子への言及が無く、その処理効果の確定、評価が困難な場合。

 例3:

  請求項「合成樹脂成形物の処理で性質を変える一種の方法」

  明細書「熱可塑性樹脂」の実施しか記載されておらず、熱硬化性樹脂に応用できることについての証明が無い場合。

 上位概念化の例:「気体レーザー器」 ←ヘリウムネオンレーザー器、アルゴンイオンレーザー器、一酸化炭素レーザー器、二酸化炭素レーザー器等

 「C1-C4アルキル基」 ←メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等

 「ベルトコンベヤー」 ←平ベルトコンベヤー、三角ベルトコンベヤー、歯形ベルトコンベヤー

 並列選択化の例:

  「或いは」「と」を用いて具体的特徴を並列する。例:「A,B、C或いはD」

 「A、B、CとDから構成される物質から一種の物質を選択する」

 「A、B、C、D、或いは類似物」の記載は「類似物」が明確でないので、(A、B,C、D)と並列的に記載することができない。

 物の発明の請求項では、機能的または効果的特徴で発明を特定するのは出来る限り避けなければならない。構造的特徴で特定するよりも機能的または効果的特徴で特定することが適当であり、また機能的または効果的特徴の記載が明細書に規定された実験、操作または当該技術分野での慣用手段で直接に確認実証できる場合には、機能的または効果的特徴で特定することが認められる。

 機能的特徴で特定した発明は、前記機能を実施できるすべての実施形態を含むものと解釈される。

 機能的特徴が実施例に記載された特定方式で完成され、明細書に記載されていない他の代替方式で該機能的特徴を完成できることが当業者において知られていない場合、または機能的特徴に含まれる一の他の代替方式で、発明が解決しようとする課題を解決して同様の効果を得ることができないと疑う理由が存在すれば、機能的特徴で特定することが認められない。

 明細書において他の方式に適用できると曖昧に記載していても、当業者がこれら他の代替方式がどのようなものであるのか、どのように他の方式を適用するのかについての記載が明確でない場合は、機能的特徴による特定は認められない。

 独立請求項および従属請求項すべてが明細書にサポートされている必要がある。独立請求項にサポートがあっても、従属請求項にサポートがあるとは限らない。

 方法の請求項についてサポートがあったとしても、物の請求項についてサポートがあるとは言えない。

 技術方案が、出願時の権利請求書に記載があるが、明細書に記載が無い場合には、明細書の補正を認める。

 明細書において、請求項の技術方案と文字的に一致した記載があるとしても、サポートされているとは限らない。

 数値範囲のサポート

 境界値の内側の2点、または境界値の内側と中央の3点を実施形態として示すのが好ましい。

 *通常、請求の範囲を作製し、その説明文書として明細書を作成する方が多いと思うが、明細書を作成し終わった後、この概念化という手続を行って請求の範囲が適正かどうか見直す必要がある。

 見直しの結果請求の範囲が広すぎる場合には、請求の範囲を狭めるか、明細書の記載を補充するかしなければならない。具体的には、実施例を追加するこか、実施例がなくてもその範囲にまで広げることができることを論理的に説明する文書を追加する。

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April 07, 2008

中国 権利請求書の簡潔性

 ・権利請求書の簡潔性

 一つの出願に、保護範囲が実質的に同一である2つ以上の同類型の請求項があってはならない。

 請求項の数も合理的でなければならない。

 課題解決の原因や理由を記載する必要はない。商業的宣伝用語の使用はできない。

 *日本法36条5項の「一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない」と相反する。

 権利請求書に用いる用語について

 繋ぎの言葉:"consisting of"  vs  "comprising"

  日本語の「からなる」の翻訳  composing

  米国特許解釈におけるcomposingと同様に、日本語の「からなる」は、明細書の記載に応じて、開放的表現であったり、閉鎖的表現であったりする。

  中国語訳する際に、

  開放的表現「を含んでなるもの」なのか

  閉鎖的表現「によって製造されるもの」、「によって構成されるもの」なのかを明確にしておくことが必要。

 開放的表現: 「含有」(包含)、

           「・・を含む」(包括)、

                             「主に・・からなる」(主要由・・組成)

 閉鎖的表現: 「・・・からなる」(由・・組成)

 明細書の記載を引用するクレームは原則不可。

 例えば、「明細書に記載のように・・・」「図に示すように・・・」

 図でないと説明ができない場合は可。

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March 31, 2008

中国 権利請求書の明確性

 ・権利請求書の明確性

 1)用語は明確でなければならない

  当該技術分野における通常の意味で用語が用いられる。明細書において用語の意味を定義することによって、その意味でその用語を使用することができる。

 ただし、権利請求書の記載だけで意味を明確にするように補正を求められることがある。

 意味不明確な用語

  例えば、「厚い」「薄い」「強い」「弱い」「高温」「低温」「とても広い範囲」など

      例外、増幅器における高周波など

  例えば、「好ましい」「特に」「必要な場合」などの用語

  例えば、「約」、「接近」、「等」、「または類似の物」など

 図面や数式などに使用する括弧を除き、意味を不明確にする括弧は使用を避けるべき

 例えば、「(コンクリート)れんが型」

     例外、「(メタ)アクリル酸エステル」

        「10%~60%(重量)を含有するA」など

 数値範囲は数式で示すことが好まれる。

 日本語の「以上」「以下」「以内」の解釈

   中国語では、境界値を含むか、含まないかは、文脈から判断される。

   通常は含まないものとして解釈されていた。

   審査基準で、境界値を含む表現と、規定された。

 日本語の「より多い」「より小さい」「を超える」

   審査基準で、境界値を含まない表現と規定された。

 「~」「乃至」について境界値が含むのか否か? 文脈から判断される。

  粘度は1~10cPである。1cP未満では・・・、10cPを超えると・・・。

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March 17, 2008

中国 権利請求書

権利請求書

 専利法26条4項

 権利請求書は明細書に基づいて、特許保護を請求する範囲を説明しなければならない。

 実施細則20条1項

 権利請求書は、発明の技術的特徴を説明し権利保護請求の範囲を簡潔、明確に記載しなければならない。

 請求項の分類

   静的請求項 と 動的請求項

    静的請求項:時間要素を含まない発明   物の発明

    動的請求項:時間要素を含む発明    方法の発明

  物の発明と方法の発明では、保護範囲が異なる。

 物:製造、使用、販売申出、販売、輸入

 方法:

  ①製造方法:使用、方法で直接に得られた物の使用、販売申出、販売、輸入

  ②作業方法:使用 (単純方法:測定法、配列法、採掘法、運輸法など

   エネルギー転換または非物質に関わる法:発電法、熱供給法、通信法、計算法など、)

  ③使用方法:使用 (用途発明:既知物質の新たな使用)

 *製法のクレームでは、中間品と最終品の両方を記載する。

 *製法クレームでは、物クレームが規定できないか検討する。

 

   方法特徴による物の限定: 構造的特徴やパラメータで表現できない場合に方法の特徴で表現することができる。但し、方法の特徴で表現された物の発明は、依然として物であるから、その方法の特徴での表現による実質的な限定作用は、物に対してどのような影響をもたらしたかによって決められる。

  *方法の特徴によって、従来の物と区別できる何らかの影響作用があったことを明細書等で示す必要がある。

   用途特定により物の限定: 例えば、鋳込み用の型と、製氷用の型、型としては同じであっても、型に流し込む物の温度が異なるので、その温度に耐える型であると理解され、両者は区別され得る。

   化合物Xと  △△用化合物Xは、用途限定によって化合物に何らの影響が生じるわけではないので、両者は区別されない。

   用途の請求項(useクレーム)は、方法の請求項に属する。例えば、請求項「化合物Xを殺虫剤に用いる」、または「化合物Xの殺虫剤としての使用」→用途発明

  「化合物Xで作る殺虫剤」または「化合物Xを含む殺虫剤」は物の請求項である。

      *既知の組成の物質は、方法の発明として出願する。(米国運用)

 独立請求項(必須)  従属請求項

  独立請求項が最も広く、従属請求項は独立請求項を限定したものでなければならない。

  例えば、請求項1「特徴X、および特徴Yを含んだ工作機械」

                請求項2「特徴Yを特徴Zに代えた請求項1に記載の工作機械」

      この場合、請求項2は独立請求項である。

  各請求項は保護範囲を確定するためには、独立に解釈される。各請求項を組み合わせたり、累加したりなどして、権利範囲を請求項によって総合的に判断してはならない。

 請求項の構造

 前提部分と特徴部分に分けて記載すること(いわゆるジェプソン形式)が好ましいとされている。

  (審査官に発明の特徴部分を理解されやすく、審査が促進されるという理由による。)

  前提部分は発明の主題または該主題に最も近い従来技術と共通の技術的特徴を明確に記載する。

  特徴部分は従来技術と区別される技術的特徴を明確に記載する。

  前提部分と特徴部分とが一体になって発明を特定する。

 *前提部分の記載に手を抜かない。

  前提部分に従来技術と異なる技術的特徴を記載してしまった場合、

  審査時の判断では、該特徴が従来技術であるとの誤解を生じさせる可能性はある。

  侵害時の判断では、自由技術の抗弁等で影響があるかもしれない。

 *他の記載方法も許容されているので、前提部分と特徴部分に分けて記載する必要が無い場合には、米国式の記載方式(構成列挙方式)で記載する方が良いと思う。

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